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サムエル前書
🔝
〘500㌻〙
第1章
1
エフライムの
山地
やまち
のラマタイムゾビムにエルカナと
名
なづ
くる
人
ひと
ありエフライム
人
びと
にしてエロハムの
子
こ
なりエロハムはエリウの
子
こ
エリウはトフの
子
こ
トフはツフの
子
こ
なり
2
エルカナに
二人
ふたり
の
妻
つま
ありてひとりの
名
な
をハンナといひひとりの
名
な
をペニンナといふペニンナには
子
こ
ありたれどもハンナには
子
こ
あらざりき
3
是
この
人
ひと
每歳
としごと
に
其
その
邑
まち
をいで
上
のぼ
りてシロにおいて
萬軍
ばんぐん
のヱホバを
拜
をが
み
之
これ
に
祭物
そなへもの
をささぐ
其處
そこ
にエリの
二人
ふたり
の
子
こ
ホフニとピネハスをりてヱホバに
祭司
さいし
たり
4
エルカナ
祭物
そなへもの
をささぐる
時
とき
其
その
妻
つま
ペニンナと
其
その
すべての
息子
むすこ
女子
むすめ
にわかちあたへしが
5
ハンナには
其
その
倍
ばい
をあたふ
是
こ
はハンナを
愛
あい
するが
故
ゆゑ
なりされどヱホバ
其
その
孕
はら
みをとどめたまふ
6
其
その
敵
あだ
もまた
痛
いた
くこれをなやましてヱホバが
其
その
はらみをとどめしを
怒
いか
らせんとす
7
歳々
とし〴〵
ハンナ、ヱホバの
家
いへ
にのぼるごとにエルカナかくなせしかばペニンナかくのごとく
之
これ
をなやます
是故
このゆえ
にハンナないてものくはざりき
8
其
その
夫
をつと
エルカナ
之
これ
にいひけるはハンナよ
何故
なにゆゑ
になくや
何故
なにゆゑ
にものくはざるや
何故
なにゆゑ
に
心
こゝろ
かなしむや
我
われ
は
汝
なんぢ
のためには十
人
にん
の
子
こ
よりもまさるにあらずや
9
かくてシロにて
食󠄃
くひ
飮
のみ
せしのちハンナたちあがれり
時
とき
に
祭司
さいし
エリ、ヱホバの
宮
みや
の
柱
はしら
の
傍
かたはら
にある
壇
だん
に
坐
ざ
す
10
ハンナ
心
こゝろ
にくるしみヱホバにいのりて
甚
いた
く
哭
な
き
11
誓
ちかひ
をなしていひけるは
萬軍
ばんぐん
のヱホバよ
若
も
し
誠
まこと
に
婢
しもめ
の
惱
なやみ
をかへりみ
我
われ
を
憶
おも
ひ
婢
しもめ
を
忘
わす
れずして
婢
しもめ
に
男子
をとこのこ
をあたへたまはば
我
われ
これを
一生
しやう
のあひだヱホバにささげ
剃髮刀
かみそり
を
其
その
首
かうべ
にあつまじ
500㌻
12
ハンナ、ヱホバのまへに
長
なが
くいのりければエリ
其
その
口
くち
に
目
め
をとめたり
13
ハンナ
心
こゝろ
の
中
うち
にものいへば
只
たゞ
唇
くちびる
うごくのみにて
聲
こゑ
きこえず
是故
このゆえ
にエリこれを
醉
ゑひ
たる
者
もの
と
思
おも
ひ
14
之
これ
にいひけるは
何時
いつ
まで
醉
ゑ
ひをるか
爾
なんぢ
の
酒
さけ
をされよ
15
ハンナこたへていひけるは
主
しゆ
よ
然
しか
るにあらず
我
われ
は
氣
き
のわづらふ
婦󠄃人
をんな
にして
葡萄
ぶだう
酒
しゆ
をも
濃
こ
き
酒
さけ
をものまず
惟
たゞ
わが
心
こゝろ
をヱホバのまへに
明
あか
せるなり
16
婢
しもめ
を
邪
よこしま
なる
女
をんな
となすなかれ
我
われ
はわが
憂
うれひ
と
悲
かなし
みの
多
おほ
きよりして
今
いま
までかたれり
17
エリ
答
こた
へていひけるは
安
やす
んじて
去
さ
れ
願
ねがは
くはイスラエルの
神
かみ
汝
なんぢ
の
求
もと
むる
願
ねが
ひを
許
ゆる
したまはんことを
18
ハンナいひけるはねがはくは
仕女
つかへめ
の
汝
なんぢ
のまへに
恩
めぐみ
をえんことをと
斯
かく
てこの
婦󠄃
をんな
さりて
食󠄃
ものく
ひ
其
その
顏
かほ
ふたゝび
哀
かな
しげならざりき
〘383㌻〙
19
是
こゝ
に
於
おい
て
彼等
かれら
朝󠄃
あさ
はやくおきてヱホバの
前󠄃
まへ
に
拜
をがみ
をしかへりてラマの
家
いへ
にいたる
而
しか
してエルカナ
其
その
つまハンナとまじはるヱホバ
之
これ
をかへりみたまふ
20
ハンナ
孕
はら
みてのち
月
つき
みちて
男子
をのこ
をうみ
我
われ
これをヱホバに
求
もと
めし
故
ゆゑ
なりとて
其
その
名
な
をサムエル(ヱホバに
聽
きか
る)となづく
21
爰
こゝ
に
其人
そのひと
エルカナ
及
およ
び
其
その
家族
かぞく
みな
上
のぼ
りて
年々
とし〴〵
の
祭物
そなへもの
及
およ
び
其
その
誓
ちか
ひし
物
もの
をささぐ
22
然
しかれ
どもハンナは
上
のぼ
らず
其
その
夫
をつと
にいひけるは
我
われ
はこの
子
こ
の
乳󠄃
ち
ばなれするに
及
およ
びてのち
之
これ
をたづさへゆきヱホバのまへにあらはれしめ
恒
つね
にかしこに
居
を
らしめん
23
其
その
夫
をつと
エルカナ
之
これ
にいひけるは
汝
なんぢ
の
善
よし
と
思
おも
ふところを
爲
な
し
此
この
子
こ
を
乳󠄃
ち
ばなすまでとゞまるべし
只
たゞ
ヱホバの
其
その
言
ことば
を
確實
たしか
ならしめ
賜
たまは
んことをねがふと
斯
か
くこの
婦󠄃
をんな
止
とゞ
まりて
其
その
子
こ
に
乳󠄃
ちゝ
をのませ
其
その
ちばなれするをまちしが
24
乳󠄃
ち
ばなせしとき
牛
うし
三頭
みつ
粉
こな
一斗
いつと
酒
さけ
一嚢
ひとふくろ
を
取
と
り
其
その
子
こ
をたづさへてシロにあるヱホバの
家
いへ
にいたる
其
その
子
こ
なほ
幼稚
いとけな
し
25
是
こゝ
に
於
おい
て
牛
うし
をころしその
子
こ
をエリの
許
もと
に
携
たづさ
へゆきぬ
26
ハンナいひけるは
主
しゆ
よ
汝
なんぢ
のたましひは
活
い
くわれはかつてここにてなんぢの
傍
かたはら
にたちヱホバにいのりし
婦󠄃
をんな
なり
501㌻
27
われ
此
この
子
こ
のためにいのりしにヱホバわが
求
もと
めしものをあたへたまへり
28
此故
このゆゑ
にわれまたこれをヱホバにささげん
其
その
一生
いつしやう
のあひだ
之
これ
をヱホバにささぐ
斯
かく
てかしこにてヱホバををがめり
第2章
1
ハンナ
禱
いの
りて
言
いひ
けるは
我
わが
心
こゝろ
はヱホバによりて
喜
よろこ
び
我
わが
角
つの
はヱホバによりて
高
たか
し
我
わが
口
くち
はわが
敵
てき
の
上
うへ
にはりひらく
是
こ
は
我
われ
汝
なんぢ
の
救拯
すくひ
によりて
樂
たのし
むが
故
ゆゑ
なり
2
ヱホバのごとく
聖󠄄
きよ
き
者
もの
はあらず
其
そ
は
汝
なんぢ
の
外
ほか
に
有
あ
る
者
もの
なければなり
又󠄂
また
われらの
神
かみ
のごとき
磐
いは
はあることなし
3
汝等
なんぢら
重
かさ
ねて
甚
いた
く
誇
たかぶ
りて
語
かた
るなかれ
汝等
なんぢら
の
口
くち
より
漫
ほこり
言
ごと
を
出
いだ
すなかれヱホバは
全󠄃知
ぜんち
の
神
かみ
にして
行爲
わざ
を
裁度
はか
りたまふなり
4
勇者
ますらを
の
弓
ゆみ
は
折
を
れ
倒
たふ
るる
者
もの
は
勢力
ちから
を
帶
お
ぶ
5
飽󠄄
あき
足
たれ
る
者
もの
は
食󠄃
しよく
のために
身
み
を
傭
やと
はせ
饑
うゑ
たる
者
もの
は
憩
いこ
へり
石女
うまずめ
は七
人
にん
を
生
う
み
多
おほ
くの
子
こ
を
有
もて
る
者
もの
は
衰
おとろ
ふるにいたる
6
ヱホバは
殺
ころ
し
又󠄂
また
生
いか
したまひ
陰府
よみ
に
下
くだ
し
又󠄂
また
上
のぼ
らしめたまふ
7
ヱホバは
貧󠄃
まづし
からしめ
又󠄂
また
富
とま
しめたまひ
卑
ひく
くしまた
高
たか
くしたまふ
8
荏弱󠄃
よわき
者
もの
を
塵
ちり
の
中
うち
より
擧
あ
げ
窮乏
とぼしき
者
もの
を
埃
あくた
の
中
うち
より
升
のぼ
せて
王公
きみたち
の
中
うち
に
坐
ざ
せしめ
榮光
さかえ
の
位
くらゐ
をつがしめ
給
たま
ふ
地
ち
の
柱
はしら
はヱホバの
所󠄃屬
もの
なりヱホバ
其
その
上
うへ
に
世界
せかい
を
置
お
きたまへり
9
ヱホバ
其
その
聖󠄄徒
せいと
の
足
あし
を
守
まも
りたまはん
惡
あし
き
者
もの
は
黑暗󠄃
くらやみ
にありて
默
もだ
すべし
其
そ
は
人
ひと
力
ちから
をもて
勝󠄃
か
つべからざればなり
〘384㌻〙
10
ヱホバと
爭
あらそ
ふ
者
もの
は
破碎
くだ
かれんヱホバ
天
てん
より
雷
いかづち
を
彼等
かれら
の
上
うへ
にくだしヱホバは
地
ち
の
極
はて
を
審
さば
き
其
その
王
わう
に
力
ちから
を
與
あた
へ
其
その
膏
あぶら
そそぎし
者
もの
の
角
つの
を
高
たか
くし
給
たま
はん
11
エルカナ、ラマに
徃
ゆき
て
其
その
家
いへ
にいたりしが
稚子
をさなご
は
祭司
さいし
エリのまへにありてヱホバにつかふ
12
さてエリの
子
こ
は
邪
よこしま
なる
者
もの
にしてヱホバをしらざりき
13
祭司
さいし
の
民
たみ
に
於
おけ
る
習慣
ならはし
は
斯
かく
のごとし
人
ひと
祭物
そなへもの
をささぐる
時
とき
肉
にく
を
烹
に
るあひだに
祭司
さいし
の
僕
しもべ
三
みつ
の
齒
は
ある
肉叉
にくさし
を
手
て
にとりて
來
きた
り
502㌻
14
之
これ
を
釜
かま
あるひは
鍋
なべ
あるひは
鼎
かなへ
又󠄂
また
は
炮烙
はうらく
に
突
つ
きいれ
肉叉
にくさし
の
引
ひ
きあぐるところの
肉
にく
は
祭司
さいし
みなこれを
己
おのれ
にとる
是
か
くシロに
於
おい
て
凡
すべ
てそこに
來
きた
るイスラエル
人
びと
になせり
15
脂
あぶら
をやく
前󠄃
まへ
にも
亦
また
祭司
さいし
のしもべ
來
きた
り
祭物
そなへもの
をささぐる
人
ひと
にいふ
祭司
さいし
のために
燒
や
くべき
肉
にく
をあたへよ
祭司
さいし
は
汝
なんぢ
より
烹
に
たる
肉
にく
を
受
う
けず
生腥
なま
の
肉
にく
をこのむと
16
もし
其人
そのひと
これにむかひ
直
たゞ
ちに
脂
あぶら
をやくべければ
後
のち
心
こゝろ
のこのむままに
取
と
れといはば
僕
しもべ
之
これ
にいふ
否
いな
今
いま
あたへよ
然
しか
らずば
我
われ
强
しひ
て
取
とら
んと
17
故
ゆゑ
に
其
その
壯
わかき
者
もの
の
罪
つみ
ヱホバのまへに
甚
はなは
だ
大
おほい
なりそは
人々
ひと〴〵
ヱホバに
祭物
そなへもの
をささぐることをいとひたればなり
18
サムエルなほ
幼
をさなく
して
布
ぬの
のエポデを
著
き
てヱホバのまへにつかふ
19
また
其
その
母
はゝ
これがために
小
ちひさ
き
明衣
うはぎ
をつくり
歳
とし
每
ごと
にその
夫
をつと
とともに
年
とし
の
祭物
そなへもの
をささげにのぼる
時
とき
これをもちきたる
20
エリ、エルカナとその
妻
つま
を
祝
しゆく
していひけるは
汝
なんぢ
がヱホバにささげたる
者
もの
のためにヱホバ
此
これ
婦󠄃
をんな
よりして
子
たね
を
汝
なんぢ
にあたへたまはんことをねがふと
斯
かく
てかれら
其
その
郷
さと
にかへる
21
しかしてヱホバ、ハンナをかへりみたまひければハンナ
孕
はら
みて三
人
にん
の
男子
をとこのこ
と
二人
ふたり
の
女子
をんなのこ
をうめり
童子
わらべ
サムエルはヱホバのまへにありて
生育
そだ
てり
22
ここにエリ
甚
はなは
だ
老
おい
て
其
その
子
こ
等
ら
がイスラエルの
人々
ひと〴〵
になせし
諸
もろ〳〵
の
事
こと
を
聞
き
きまた
其
その
集會
しふくわい
の
幕屋
まくや
の
門
もん
にいづる
婦󠄃人
をんな
たちと
寢
いね
たるを
聞
きゝ
て
23
これにいひけるは
何
なん
ぞ
斯
かゝ
る
事
こと
をなすや
我
われ
このすべての
民
たみ
より
汝
なんぢ
らのあしき
行
おこなひ
をきく
24
わが
子
こ
よ
然
しか
すべからず
我
わが
きくところの
風聞
ふうぶん
よからず
爾
なんぢ
らヱホバの
民
たみ
をしてあやまたしむ
25
人
ひと
もし
人
ひと
にむかひて
罪
つみ
ををかさば
神
かみ
之
これ
をさばかんされど
人
ひと
もしヱホバに
向
むか
ひて
罪
つみ
ををかさば
誰
たれ
かこれがためにとりなしをなさんやとしかれども
其
その
子
こ
父󠄃
ちゝ
のことばを
聽
きか
ざりきそはヱホバかれらを
殺
ころ
さんと
思
おも
ひたまへばなり
26
童子
わらべ
サムエル
生長
そだち
ゆきてヱホバと
人
ひと
とに
愛
あい
せらる
503㌻
27
茲
こゝ
に
神
かみ
の
人
ひと
エリの
許
もと
に
來
きた
りこれにいひけるはヱホバ
斯
か
くいひたまふ
爾
なんぢ
の
父󠄃祖
ちゝ
の
家
いへ
エジプトにおいてパロの
家
いへ
にありしとき
我
われ
明
あきら
かに
之
これ
にあらはれしにあらずや
〘385㌻〙
28
我
われ
これをイスラエルの
諸
もろ〳〵
の
支派
わかれ
のうちより
選󠄄
えら
みてわが
祭司
さいし
となしわが
壇
だん
の
上
うへ
に
祭物
そなへもの
をささげ
香
かう
をたかしめ
我
わが
前󠄃
まへ
にエポデを
衣
き
しめまたイスラエルの
人
ひと
の
火
くわ
祭
さい
を
悉
こと〴〵
く
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
の
家
いへ
にあたへたり
29
なんぞわが
命
めい
ぜし
犧牲
いけにへ
と
禮物
そなへもの
を
汝
なんぢ
の
家
いへ
にてふみつくるや
何
なん
ぞ
我
われ
よりもなんぢの
子
こ
をたふとみわが
民
たみ
イスラエルの
諸
もろ〳〵
の
祭物
そなへもの
の
最
もつと
も
嘉
よ
きところをもて
己
おのれ
を
肥
こや
すや
30
是
この
ゆゑにイスラエルの
神
かみ
ヱホバいひたまはく
我
われ
誠
まこと
に
曾
かつ
ていへり
汝
なんぢ
の
家
いへ
およびなんぢの
父󠄃祖
ちゝ
の
家
いへ
永
なが
くわがまへにあゆまんと
然
しかれ
ども
今
いま
ヱホバいひたまふ
決
きは
めてしからず
我
われ
をたふとむ
者
もの
は
我
われ
もこれをたふとむ
我
われ
を
賤
いや
しむる
者
もの
はかろんぜらるべし
31
視
み
よ
時
とき
いたらん
我
われ
汝
なんぢ
の
腕
うで
と
汝
なんぢ
の
父󠄃祖
ちゝ
の
家
いへ
の
腕
うで
を
絕
た
ち
汝
なんぢ
の
家
いへ
に
老
おい
たるもの
无
なか
らしめん
32
我
われ
大
おほい
にイスラエルを
善
よく
すべけれど
汝
なんぢ
の
家內
うち
には
災
わざはひ
見
み
えん
汝
なんぢ
の
家
いへ
にはこののち
永
なが
く
老
おゆ
るものなかるべし
33
またわが
壇
だん
より
絕
たゝ
ざる
汝
なんぢ
の
族
やから
の
者
もの
は
汝
なんぢ
の
目
め
をそこなひ
汝
なんぢ
の
心
こゝろ
をいたましめん
又󠄂
また
汝
なんぢ
の
家
いへ
にうまれいづるものは
壯年
さかり
にして
死
し
なん
34
汝
なんぢ
のふたりの
子
こ
ホフニとピネスの
遇󠄃
あふ
ところの
事
こと
を
其
その
徴
しるし
とせよ
即
すなは
ち
二人
ふたり
ともに
同
おな
じ
日
ひ
に
死
し
なん
35
我
われ
はわがために
忠信
ちうしん
なる
祭司
さいし
をおこさん
其人
そのひと
わが
心
こゝろ
とわが
意󠄃
い
にしたがひておこなはんわれその
家
いへ
をかたうせんかれわが
膏
あぶら
そそぎし
者
もの
のまへに
恒
つね
にあゆむべし
36
しかして
汝
なんぢ
の
家
いへ
にのこれる
者
もの
は
皆
みな
きたりてこれに
屈
かが
み
一
いち
厘
りん
の
金
かね
と
一片
ひときれ
のパンを
乞
こ
ひ
且
かつ
いはんねがはくは
我
われ
を
祭司
さいし
の
職
つとめ
の
一
ひとつ
に
任
にん
じて
些少
すこし
のパンにても
食󠄃
くら
ふことをえせしめよと
504㌻
第3章
1
童子
わらべ
サムエル、エリのまへにありてヱホバにつかふ
當時
そのころ
はヱホバの
言
ことば
まれにして
默示
しめし
あること
恒
つね
ならざりき
2
偖
さて
エリ
目
め
漸
やうや
くくもりて
見
み
ることをえず
此時
このとき
其
その
室
しつ
に
寢
いね
たり
3
神
かみ
の
燈
ともしび
なほきえずサムエル
神
かみ
の
櫃
はこ
あるヱホバの
宮
みや
に
寢
い
ね
4
時
とき
にヱホバ、サムエルをよびたまふ
彼
かれ
我
われ
此
こゝ
にありといひて
5
エリの
許
もと
に
趨
はせ
ゆきいひけるは
汝
なんぢ
われをよぶ
我
われ
ここにありエリいひけるは
我
われ
よばず
反
かへ
りて
臥
いね
よと
乃
すなは
ちゆきていぬ
6
ヱホバまたかさねてサムエルよとよびたまへばサムエルおきてエリのもとにいたりいひけるは
汝
なんぢ
われをよぶ
我
われ
ここにありエリこたへけるは
我
われ
よばずわが
子
こ
よ
反
かへ
りていねよ
7
サムエルいまだヱホバをしらずまたヱホバのことばいまだかれにあらはれず
8
ヱホバ、
三
み
たびめに
又󠄂
また
サムエルをよびたまへばサムエルおきてエリの
許
もと
にいたりいひけるは
汝
なんぢ
われをよぶ
我
われ
ここにありとエリ
乃
すなは
ちヱホバの
童子
わらべ
をよびたまひしをさとる
〘386㌻〙
9
故
ゆゑ
にエリ、サムエルにいひけるはゆきて
寢
いね
よ
彼
かれ
若
も
し
汝
なんぢ
をよばば
僕
しもべ
聽
き
くヱホバ
語
かた
りたまへといへとサムエルゆきて
其
その
室
しつ
にいねしに
10
ヱホバ
來
きた
りて
立
た
ちまへの
如
ごと
くサムエル、サムエルとよびたまへばサムエル
僕
しもべ
きく
語
かた
りたまへといふ
11
ヱホバ、サムエルにいひ
賜
たまひ
けるは
視
み
よ
我
われ
イスラエルのうちに
一
ひとつ
の
事
こと
をなさんこれをきくものは
皆
みな
其
その
耳
みゝ
ふたつながら
鳴
なら
ん
12
其
その
日
ひ
にはわれ
甞
かつ
てエリの
家
いへ
について
言
いひ
しことを
始
はじめ
より
終󠄃
をはり
までことごとくエリになすべし
13
われかつてエリに
其
その
惡事
あくじ
のために
永
なが
くその
家
いへ
をさばかんとしめせりそは
其
その
子
こ
の
詛
のろ
ふべきことをなすをしりて
之
これ
をとどめざればなり
14
是故
このゆえ
に
我
われ
エリのいへに
誓
ちか
ひてエリの
家
いへ
の
惡
あく
は
犧牲
いけにへ
あるひは
禮物
そなへもの
をもて
永
なが
くあがなふ
能
あた
はずといへり
15
サムエル
朝󠄃
あさ
までいねてヱホバの
家
いへ
の
戶
と
を
開
ひら
きしが
其
その
異象
まぼろし
をエリにしめすことをおそる
16
エリ、サムエルをよびていひけるはわが
子
こ
サムエルよ
答
こた
へけるはわれここにあり
17
エリいひけるは
何事
なにごと
を
汝
なんぢ
につげたまひしや
請󠄃
こ
ふ
我
われ
にかくすなかれ
汝
なんぢ
もし
其
その
汝
なんぢ
に
吿
つ
げたまひしところを
一
ひとつ
にてもかくすときは
神
かみ
汝
なんぢ
にかくなし
又󠄂
また
かさねてかくなしたまヘ
505㌻
18
サムエル
其
その
事
こと
をことごとくしめして
彼
かれ
に
隱
かく
すことなかりきエリいひけるは
是
こ
はヱホバなり
其
その
よしと
見
み
たまふことをなしたまへと
19
サムエルそだちぬヱホバこれとともにいましてそのことばをして
一
ひとつ
も
地
ち
におちざらしめたまふ
20
ダンよりベエルシバにいたるまでイスラエルの
人
ひと
みなサムエルがヱホバの
預言者
よげんしや
とさだまれるをしれり
21
ヱホバふたゝびシロにてあらはれたまふヱホバ、シロにおいてヱホバの
言
ことば
によりてサムエルにおのれをしめしたまふなりサムエルの
言
ことば
あまねくイスラエル
人
びと
におよぶ
第4章
1
イスラエル
人
びと
ペリシテ
人
びと
にいであひて
戰
たゝか
はんとしエベネゼルの
邊
ほとり
に
陣
ぢん
をとりペリシテ
人
びと
はアベクに
陣
ぢん
をとる
2
ペリシテ
人
びと
イスラエル
人
びと
にむかひて
陣列
そなへ
をなせり
戰
たゝか
ふにおよびてイスラエル
人
びと
ペリシテ
人
びと
のまへにやぶるペリシテ
人
びと
戰
いくさ
場
ば
において
其
その
軍
ぐん
四
千
せん
人
にん
ばかりを
殺
ころ
せり
3
民
たみ
陣
ぢん
營
えい
にいたるにイスラエルの
長老
としより
曰
いひ
けるはヱホバ
何故
なにゆゑ
に
今日
けふ
我等
われら
をペリシテ
人
びと
のまへにやぶりたまひしやヱホバの
契󠄅約
けいやく
の
櫃
はこ
をシロより
此
こゝ
にたづさへ
來
きた
らん
其
その
櫃
はこ
われらのうちに
來
きた
らば
我
われ
らを
敵
てき
の
手
て
よりすくひいだすことあらんと
〘387㌻〙
4
かくて
民
たみ
人
ひと
をシロにつかはしてケルビムの
上
うへ
に
坐
ざ
したまふ
萬軍
ばんぐん
のヱホバの
契󠄅約
けいやく
の
櫃
はこ
を
其處
そこ
よりたづさへきたらしむ
時
とき
にエリの
二人
ふたり
の
子
こ
ホフニとピネハス
神
かみ
の
契󠄅約
けいやく
のはことともに
彼處
かしこ
にありき
5
ヱホバの
契󠄅約
けいやく
の
櫃
はこ
陣
ぢん
營
えい
にいたりしときイスラエル
人
びと
皆
みな
大
おほい
によばはりさけびければ
地
ち
なりひびけり
6
ペリシテ
人
びと
喊呼
さけび
の
聲
こゑ
を
聞
きゝ
ていひけるはヘブル
人
びと
の
陣
ぢん
營
えい
に
起󠄃
おこ
れる
此
この
大
おほい
なるさけびの
聲
こゑ
は
何
なん
ぞやと
遂󠄅
つひ
にヱホバの
櫃
はこ
の
其
その
陣
ぢん
營
えい
にいたれるを
知
し
る
506㌻
7
ペリシテ
人
びと
おそれていひけるは
神
かみ
陣
ぢん
營
えい
にいたる
又󠄂
また
いひけるは
鳴呼
あゝ
われら
禍
わざはひ
なるかな
今
いま
にいたるまで
斯
かゝ
ることなかりき
8
ああ
我等
われら
禍
わざはひ
なるかな
誰
たれ
かわれらを
是
これ
らの
强
つよ
き
神
かみ
の
手
て
よりすくひいださんや
此
これ
等
ら
の
神
かみ
は
昔
むか
し
諸
もろ〳〵
の
災
わざはひ
を
以
も
てエジプト
人
びと
を
曠野
あらの
に
擊
うち
し
者
もの
なり
9
ペリシテ
人
びと
よ
强
つよ
くなり
豪傑
をとこ
のごとく
爲
な
せヘブル
人
びと
がかつて
汝
なんぢ
らに
事
つか
へしごとく
汝
なんぢ
らこれに
事
つか
ふるなかれ
豪傑
をとこ
のごとく
爲
な
して
戰
たゝか
へよ
10
かくてペリシテ
人
びと
戰
たゝか
ひしかばイスラエル
人
びと
やぶれて
各々
おの〳〵
其
その
天
てん
幕
まく
に
逃󠄄
にげ
かへる
戰死
うちじに
はなはだ
多
おほ
くイスラエルの
步
ほ
兵
へい
の
仆
たふ
れし
者
もの
三
萬人
まんにん
なりき
11
又󠄂
また
神
かみ
の
櫃
はこ
は
奪
うば
はれエリの
二人
ふたり
の
子
こ
ホフニとピネハス
殺
ころ
さる
12
是
この
日
ひ
ベニヤミンの
一人
ひとり
軍
ぐん
中
ちう
より
走
はせ
來
きた
り
其
その
衣
ころも
を
裂
さ
き
土
つち
をかむりてシロにいたる
13
其
その
いたれる
時
とき
エリ
道󠄃
みち
の
傍
かたはら
に
壇
だん
に
坐
ざ
して
觀望󠄇
うかがひ
居
ゐ
たり
其心
そのこころ
に
神
かみ
の
櫃
はこ
のことを
思
おも
ひ
煩
わづ
らひたればなり
其人
そのひと
いたり
邑
まち
にて
人々
ひと〴〵
に
吿
つげ
ければ
邑
まち
こぞりてさけびたり
14
エリ
此
この
呼號
さけび
の
聲
こゑ
をききていひけるは
是
この
喧嘩
さわぎ
の
聲
こゑ
は
何
なに
なるやと
其人
そのひと
いそぎきたりてエリにつぐ
15
時
とき
にエリ九十八
歳
さい
にして
其
その
目
め
かたまりて
見
み
ることあたはず
16
其人
そのひと
エリにいひけるは
我
われ
は
軍
ぐん
中
ちう
より
來
きた
れるもの
我
われ
今日
けふ
軍
ぐん
中
ちう
より
逃󠄄
のが
れたりエリいひけるは
吾
わが
子
こ
よ
事
こと
いかん
17
使人
つかひ
答
こた
へていひけるはイスラエル
人
びと
ペリシテ
人
びと
の
前󠄃
まへ
に
逃󠄄
に
げ
且
かつ
民
たみ
の
中
うち
に
大
おほい
なる
戰死
うちじに
ありまた
汝
なんぢ
の
二人
ふたり
の
子
こ
ホフニとピネハスは
殺
ころ
され
神
かみ
の
櫃
はこ
は
奪
うば
はれたり
18
神
かみ
の
櫃
はこ
のことを
演
のべ
しときエリ
其
その
壇
だん
より
仰
あふむ
けに
門
もん
の
傍
かたはら
におち
頸
くび
をれて
死
し
ねり
是
これ
はかれ
老
おい
て
身
み
重
おも
かりければなり
其
その
イスラエルを
鞫
さばき
しは四十
年
ねん
なりき
19
エリの
媳
よめ
ピネハスの
妻
つま
孕
はら
みて
子
こ
產
うま
ん
時
とき
ちかかりしが
神
かみ
の
櫃
はこ
の
奪
うば
はれしと
舅
しうと
と
夫
をつと
の
死
し
にしとの
傳言
うはさ
を
聞
きゝ
しかば
其
その
痛
いた
みおこりきたり
身
み
をかがめて
子
こ
を
產
うめ
り
20
其
その
死
し
なんとする
時
とき
傍
かたはら
にたてる
婦󠄃人
をんな
これにいひけるは
懼
おそ
るるなかれ
汝
なんぢ
男子
をのこ
を
生
うめ
りと
然
しかれ
ども
答
こた
へず
又󠄂
また
かへりみず
507㌻
21
只
たゞ
榮光
さかえ
イスラエルをさりぬといひて
其
その
子
こ
をイカボデ(
榮
さかえ
なし)と
名
なづ
く
是
これ
は
神
かみ
の
櫃
はこ
奪
うば
はれしによりまた
舅
しうと
と
夫
をつと
の
故
ゆゑ
に
因
よ
るなり
〘388㌻〙
22
またいひけるは
榮光
さかえ
イスラエルをさりぬ
神
かみ
の
櫃
はこ
うばはれたればなり
第5章
1
ペリシテ
人
びと
神
かみ
の
櫃
はこ
をとりて
之
これ
をエベネゼルよりアシドドにもちきたる
2
即
すなは
ちペリシテ
人
びと
神
かみ
の
櫃
はこ
をとりて
之
これ
をダゴンの
家
いへ
にもちきたりダゴンの
傍
かたはら
に
置
おき
ぬ
3
アシドド
人
びと
次
つぎ
の
日
ひ
夙
はや
く
興
お
きヱホバの
櫃
はこ
のまへにダゴンの
俯伏
うつむき
に
地
ち
にたふれをるをみ
乃
すなは
ちダゴンをとりて
再
ふたゝ
びこれを
本
もと
の
處
ところ
におく
4
また
翌󠄃朝󠄃
つぐあさ
夙
はや
く
興
お
きヱホバの
櫃
はこ
のまへにダゴン
俯伏
うつむき
に
地
ち
にたふれをるを
見
み
るダゴンの
頭
かうべ
と
其
その
兩
ふたつの
手
て
門閾
しきゐ
のうへに
斷
た
ち
切
き
れをり
只
たゞ
ダゴンの
體
からだ
のみのこれり
5
是
これ
をもてダゴンの
祭司
さいし
およびダゴンの
家
いへ
にいるもの
今日
けふ
にいたるまでアシドドにあるダゴンの
閾
しきゐ
をふまず
6
かくてヱホバの
手
て
おもくアシドド
人
びと
にくははりヱホバこれをほろぼし
腫物
はれもの
をもてアシドドおよび
其
その
四周󠄃
まはり
の
人
ひと
をくるしめたまふ
7
アシドド
人
びと
その
斯
かゝ
るを
見
み
ていひけるはイスラエルの
神
かみ
の
櫃
はこ
を
我
われ
らのうちにとどむべからず
其
そ
は
其
その
手
て
いたくわれらおよび
我
われ
らの
神
かみ
ダゴンにくははればなり
8
是故
このゆえ
に
人
ひと
をつかはしてペリシテ
人
びと
の
諸君主
きみたち
を
集
あつ
めていひけるはイスラエルの
神
かみ
の
櫃
はこ
をいかにすべきや
彼
かれ
らいひけるはイスラエルの
神
かみ
のはこはガテに
移
うつ
さんと
遂󠄅
つひ
にイスラエルの
神
かみ
のはこをうつす
9
之
これ
をうつせるのち
神
かみ
の
手
て
其
その
邑
まち
にくははりて
滅亡
ほろぶ
るもの
甚
はなは
だおほし
即
すなは
ち
老
おい
たると
幼
いとけなき
とをいはず
邑
まち
の
人
ひと
をうちたまひて
腫物
はれもの
人々
ひと〴〵
におこれり
10
是
こゝ
において
神
かみ
のはこをエクロンにおくりたるに
神
かみ
の
櫃
はこ
エクロンにいたりしときエクロン
人
びと
さけびていひけるは
我等
われら
とわが
民
たみ
をころさんとてイスラエルの
神
かみ
のはこを
我等
われら
にうつすと
508㌻
11
かくて
人
ひと
を
遣󠄃
つかは
してペリシテ
人
びと
の
諸君主
きみたち
をあつめていひけるはイスラエルの
神
かみ
の
櫃
はこ
をおくりて
本
もと
のところにかへさん
然
しか
らば
我等
われら
とわが
民
たみ
をころすことなからん
蓋
そ
は
邑
まち
中
ぢう
に
恐
おそ
ろしき
滅亡
ほろび
おこり
神
かみ
の
手
て
甚
はなは
だおもく
其處
そこ
にくははればなり
12
死
し
なざる
者
もの
は
腫物
はれもの
にくるしめられ
邑
まち
の
號呼
さけび
天
てん
に
達󠄃
たつ
せり
第6章
1
ヱホバの
櫃
はこ
七
なゝ
月
つき
のあひだペリシテ
人
びと
の
國
くに
にあり
2
ペリシテ
人
びと
祭司
さいし
と
卜筮師
うらなひし
をよびていひけるは
我
われ
らヱホバの
櫃
はこ
をいかがせんや
如何
いか
にして
之
これ
をもとの
所󠄃
ところ
にかへすべきか
我
われ
らにつげよ
3
答
こた
へけるはイスラエルの
神
かみ
の
櫃
はこ
をかへすときはこれを
空󠄃
むな
しくかへすなかれ
必
かな
らず
彼
かれ
に
過󠄃
とがの
祭
そなへもの
をなすべし
然
しか
なさば
汝
なんぢ
ら
愈
いゆる
ことをえ
且
かつ
彼
かれ
の
手
て
の
汝
なんぢ
らをはなれざる
故
ゆゑ
を
知
しる
にいたらん
〘389㌻〙
4
人々
ひと〴〵
いひけるは
如何
いか
なる
過󠄃
とがの
祭
そなへもの
を
彼
かれ
になすべきや
答
こた
へけるはペリシテ
人
びと
の
諸君主
きみたち
の
數
かず
にしたがひて
五
いつつ
の
金
きん
の
腫物
はれもの
と
五
いつつ
の
金
きん
の
鼠
ねづみ
をつくれ
是
こ
は
汝
なんぢ
ら
皆
みな
と
汝
なんぢ
らの
諸伯
きみたち
におよべる
災
わざはひ
は
一
ひとつ
なるによる
5
汝
なんぢ
らの
腫物
はれもの
の
像
かたち
および
地
ち
をあらす
鼠
ねづみ
の
像
かたち
をつくりイスラエルの
神
かみ
に
榮光
さかえ
を
皈
き
すべし
庶幾
こひねがはく
はその
手
て
を
汝等
なんぢら
およびなんぢらの
神
かみ
と
汝等
なんぢら
の
地
ち
にくはふることを
輕
かろ
くせん
6
汝
なんぢ
らなんぞエジプト
人
びと
とパロの
其心
そのこころ
を
頑
かたくな
にせしごとくおのれの
心
こゝろ
をかたくなにするや
神
かみ
かれらの
中
うち
に
數
あまた
度
たび
其
その
力
ちから
をしめせしのち
彼
かれ
ら
民
たみ
をゆかしめ
民
たみ
つひにさりしにあらずや
7
されば
今
いま
あたらしき
車
くるま
一輛
ひとつ
をつくり
乳󠄃
ちゝ
牛
うし
のいまだ
軛
くびき
をつけざるもの
二頭
ふたつ
をとり
其
その
牛
うし
を
車
くるま
に
繋
つな
ぎ
其
その
犢
こ
をはなして
家
いへ
につれゆき
8
ヱホバの
櫃
はこ
をとりて
之
これ
を
其
その
車
くるま
に
載
の
せ
汝
なんぢ
らが
過󠄃
とがの
祭
そなへもの
として
彼
かれ
になす
金
きん
の
製作物
つくりもの
を
檟
ひつ
にをさめて
其
その
傍
かたはら
におき
之
これ
をおくりて
去
さ
らしめ
9
しかして
見
み
よ
若
も
し
其
その
境
さかひ
のみちよりベテシメシにのぼらばこの
大
おほい
なる
災
わざはひ
を
我
われ
らになせるものは
彼
かれ
なり
若
も
ししかせずば
我等
われら
をうちしは
彼
かれ
の
手
て
にあらずしてそのことの
偶然
ぐうぜん
なりしをしるべし
509㌻
10
人々
ひと〴〵
つひに
斯
かく
なし
二
ふた
つの
乳󠄃
ちゝ
牛
うし
をとりて
之
これ
を
車
くるま
につなぎその
犢
こ
を
室
いへ
にとぢこめ
11
ヱホバの
櫃
はこ
および
金
きん
の
鼠
ねづみ
と
其
その
腫物
はれもの
の
像
かたち
ををさめたる
檟
ひつ
を
車
くるま
に
載
の
す
12
牝牛
うし
直
すぐ
にあゆみてベテシメシの
路
みち
をゆき
鳴
なき
つつ
大路
おほぢ
をすすみゆきて
右左
みぎひだり
にまがらずペリシテ
人
びと
の
君主
きみたち
ベテシメシの
境
さかひ
まで
其
その
うしろにしたがひゆけり
13
時
とき
にベテシメシ
人
びと
谷
たに
に
麥
むぎ
を
刈
か
り
居
ゐ
たりしが
目
め
をあげて
其
その
櫃
はこ
をみ
之
これ
を
見
み
るをよろこべり
14
車
くるま
ベテシメシ
人
びと
ヨシユアの
田
はた
にいりて
其處
そこ
にとゞまる
此
こゝ
に
大
おほい
なる
石
いし
あり
人々
ひと〴〵
車
くるま
の
木
き
を
劈
わ
り
其
その
牝牛
うし
を
燔祭
はんさい
としてヱホバにささげたり
15
レビの
人
ひと
ヱホバの
櫃
はこ
とこれとともなる
檟
ひつ
の
金
きん
の
製作物
つくりもの
ををさめたる
者
もの
をとりおろし
之
これ
を
其
その
大
おほ
石
いし
のうへにおくしかしてベテシメシ
人
びと
此
この
日
ひ
ヱホバに
燔祭
はんさい
をそなへ
犧牲
いけにへ
をささげたり
16
ペリシテ
人
びと
の五
人
にん
の
君主
きみたち
これを
見
み
て
同
おな
じ
日
ひ
にエクロンにかへれり
17
さてペリシテ
人
びと
が
過󠄃
とがの
祭
そなへもの
としてヱホバにたせし
金
きん
の
腫物
はれもの
はこれなり
即
すなは
ちアシドドのために
一
ひとつ
ガザのために
一
ひとつ
アシケロンのために
一
ひとつ
ガテのために
一
ひとつ
エクロンのために
一
ひとつ
なりき
18
また
金
きん
の
鼠
ねづみ
は
城邑
しろ
と
郷里
むらざと
をいはず
凡
すべ
て五
人
にん
の
君主
きみ
に
屬
ぞく
するペリシテ
人
びと
の
邑
まち
の
數
かず
にしたがひて
造󠄃
つく
れりヱホバの
櫃
はこ
をおろせし
大
おほ
石
いし
今日
こんにち
にいたるまでベテシメシ
人
びと
ヨシユアの
田
はたけ
にあり
〘390㌻〙
19
ベテシメシの
人々
ひと〴〵
ヱホバの
櫃
はこ
をうかがひしによりヱホバこれをうちたまふ
即
すなは
ち
民
たみ
の
中
うち
七十
人
にん
をうてりヱホバ
民
たみ
をうちて
大
おほい
にこれをころしたまひしかば
民
たみ
なきさけべり
20
ベテシメシ
人
びと
いひけるは
誰
たれ
かこの
聖󠄄
きよ
き
神
かみ
たるヱホバのまへに
立
た
つことをえんヱホバ
我
われ
らをはなれて
何人
たれ
のところにのぼりゆきたまふべきや
21
かくて
使者
つかひ
をキリアテヤリムの
人
ひと
に
遣󠄃
つか
はしていひけるはペリシテ
人
びと
ヱホバの
櫃
はこ
をかへしたれば
汝
なんぢ
らくだりて
之
これ
を
汝
なんぢ
らの
所󠄃
ところ
に
携
たづさ
へのぼるべし
510㌻
第7章
1
キリアテヤリムの
人
ひと
來
きた
りヱホバのはこを
携
たづさ
へのぼりこれを
山
やま
のうへなるアビナダブの
家
いへ
にもちきたり
其
その
子
こ
エレアザルを
聖󠄄
きよめ
てヱホバの
櫃
はこ
をまもらしむ
2
其
その
櫃
はこ
キリアテヤリムにとゞまること
久
ひさ
しくして二十
年
ねん
をへたりイスラエルの
全󠄃家
ぜんか
ヱホバをしたひて
歎
なげ
けり
3
時
とき
にサムエル、イスラエルの
全󠄃家
ぜんか
に
吿
つげ
ていひけるは
汝
なんぢ
らもし
一心
いつしん
を
以
も
てヱホバにかへり
異
ことな
る
神
かみ
とアシタロテを
汝
なんぢ
らの
中
うち
より
棄
す
て
汝
なんぢ
らの
心
こゝろ
をヱホバに
定
さだ
め
之
これ
にのみ
事
つか
へなばヱホバ
汝
なんぢ
らをペリシテ
人
びと
の手より
救
すく
ひださん
4
ここにおいてイスラエルの
人々
ひと〴〵
バアルとアシタロテをすててヱホバにのみ
事
つか
ふ
5
サムエルいひけるはイスラエル
人
びと
をことごとくミズパにあつめよ
我
われ
汝
なんぢ
らのためにヱホバにいのらん
6
かれらミズパに
集
あつま
り
水
みづ
を
汲
くみ
て
之
これ
をヱホバのまへに
注
そゝ
ぎ
其
その
日
ひ
斷食󠄃
だんじき
して
彼處
かしこ
にいひけるは
我等
われら
ヱホバに
罪
つみ
ををかしたりとサムエル、ミズパに
於
おい
てイスラエルの
人
ひと
を
鞫
さば
く
7
ペリシテ
人
びと
イスラエルの
人々
ひと〴〵
のミズパに
集
あつま
れるを
聞
きゝ
しかばペリシテ
人
びと
の
諸君主
きみたち
イスラエルにせめのぼれりイスラエル
人
びと
これを
聞
きゝ
てペリシテ
人
びと
をおそれたり
8
イスラエルの
人々
ひと〴〵
サムエルに
云
いひ
けるは
我
われ
らのために
我
われ
らの
神
かみ
ヱホバに
祈
いの
ることをやむるなかれ
然
しか
らばヱホバ
我
われ
らをペリシテ
人
びと
の
手
て
よりすくひいださん
9
サムエル
哺乳󠄃
ちちのむ
羊
こひつじ
をとり
燔祭
はんさい
となしてこれをまつたくヱホバにささぐまたサムエル、イスラエルのためにヱホバにいのりければヱホバこれにこたへたまふ
10
サムエル
燔祭
はんさい
をささげ
居
をり
し
時
とき
ペリシテ
人
びと
イスラエル
人
びと
と
戰
たゝか
はんとて
近󠄃
ちか
づきぬ
是
この
日
ひ
ヱホバ
大
おほい
なる
雷
いかづち
をくだしペリシテ
人
びと
をうちて
之
これ
を
亂
みだ
し
賜
たまひ
ければペリシテ
人
びと
イスラエル
人
びと
のまへに
敗
やぶ
れたり
11
イスラエル
人
びと
ミズパをいでてペリシテ
人
びと
をおひ
之
これ
をうちてベテカルの
下
しも
にいたる
511㌻
12
サムエル
一
ひとつ
の
石
いし
をとりてミズパとセンの
間
あひだ
におきヱホバ
是
これ
まで
我
われ
らを
助
たす
けたまへりといひて
其
その
名
な
をエベネゼル(
助
たす
けの
石
いし
)と
呼
よ
ぶ
〘391㌻〙
13
ペリシテ
人
びと
攻伏
せめふせ
られて
再
ふたゝ
びイスラエルの
境
さかひ
にいらずサムエルの
一生
いつしやう
のあひだヱホバの
手
て
ペリシテ
人
びと
をふせげり
14
ペリシテ
人
びと
のイスラエルより
取
とり
たる
邑々
まち〳〵
はエクロンよりガテまでイスラエルにかへりぬまた
其
その
周󠄃圍
まはり
の
地
ち
はイスラエル
人
びと
これをペリシテ
人
びと
の
手
て
よりとりかへせりまたイスラエル
人
びと
とアモリ
人
びと
と
好
よしみ
をむすべり
15
サムエル
一生
いつしやう
のあひだイスラエルをさばき
16
歳々
とし〴〵
ベテルとギルガルおよびミズパをめぐりて
其
その
處々
ところどころ
にてイスラエル
人
びと
をさばき
17
またラマにかへれり
此處
こゝ
に
其
その
家
いへ
あり
此
こゝ
にてイスラエルをさばき
又󠄂
また
此
こゝ
にてヱホバに
壇
だん
をきづけり
第8章
1
サムエル
年
とし
老
おい
て
其
その
子
こ
をイスラエルの
士師
さばきつかさ
となす
2
兄
あに
の
名
な
をヨエルといひ
弟
おとうと
の
名
な
をアビヤといふベエルシバにありて
士師
さばきつかさ
たり
3
其
その
子
こ
父󠄃
ちゝ
の
道󠄃
みち
をあゆまずして
利
り
にむかひ
賄賂
まひなひ
をとりて
審判󠄄
さばき
を
曲
ま
ぐ
4
是
こゝ
においてイスラエルの
長老
としより
みなあつまりてラマにゆきサムエルの
許
もと
に
至
いた
りて
5
これにいひけるは
視
み
よ
汝
なんぢ
は
老
お
い
汝
なんぢ
の
子
こ
は
汝
なんぢ
の
道󠄃
みち
をあゆまずさればわれらに
王
わう
をたててわれらを
鞫
さば
かしめ
他
ほか
の
國々
くに〴〵
のごとくならしめよと
6
その
我
われ
らに
王
わう
をあたへて
我
われ
らを
鞫
さば
かしめよといふを
聞
きゝ
てサムエルよろこばず
而
しか
してサムエル、ヱホバにいのりしかば
7
ヱホバ、サムエルにいひたまひけるは
民
たみ
のすべて
汝
なんぢ
にいふところのことばを
聽
き
け
其
そ
は
汝
なんぢ
を
棄
すつ
るにあらず
我
われ
を
棄
す
て
我
われ
をして
其
その
王
わう
とならざらしめんとするなり
8
かれらはわがエジプトより
救
すく
ひいだせし
日
ひ
より
今日
こんにち
にいたるまで
我
われ
をすてて
他
ほか
の
神
かみ
につかへて
種々
さま〴〵
の
所󠄃行
わざ
をなせしごとく
汝
なんぢ
にもまた
然
しか
す
512㌻
9
然
しか
れどもいま
其
その
言
ことば
をきけ
但
たゞ
し
深
ふか
くいさめて
其
その
治
をさ
むべき
王
わう
の
常例
ならはし
をしめすべし
10
サムエル
王
わう
を
求
もと
むる
民
たみ
にヱホバのことばをことごとく
吿
つげ
て
11
いひけるは
汝等
なんぢら
ををさむる
王
わう
の
常例
ならはし
は
斯
かく
のごとし
汝
なんぢ
らの
男子
むすこ
をとり
己
おの
れのために
之
これ
をたてて
車
くるま
の
御者
ぎよしや
となし
騎兵
きへい
となしまた
其
その
車
くるま
の
前󠄃驅
さきばしり
となさん
12
また
之
これ
をおのれの
爲
ため
に
千夫
せんにんの
長
かしら
五十夫
ごじふにんの
長
かしら
となしまた
其
その
地
ち
をたがへし
其
その
作
さく
物
もつ
を
刈
か
らしめまた
武器
ぶき
と
車
しや
器
き
とを
造󠄃
つく
らしめん
13
また
汝
なんぢ
らの
女子
むすめ
をとりて
製香者
かをりづくり
となし
厨婢
くりやびと
となし
灸麺者
ぱんやき
となさん
14
又󠄂
また
汝
なんぢ
らの
田畝
たはた
と
葡萄園
ぶだうばたけ
と
橄欖
かんらん
園
ばたけ
の
最
もつと
も
善
よ
きところを
取
とり
て
其
その
臣僕
けらい
にあたへ
15
汝
なんぢ
らの
穀物
こくもつ
と
汝
なんぢ
らの
葡萄
ぶだう
の
什分󠄃
じふぶ
一
いち
をとりて
其
その
官吏
くわんり
と
臣僕
けらい
にあたへ
〘392㌻〙
16
また
汝
なんぢ
らの
僕
しもべ
婢
しもめ
および
汝
なんぢ
らの
最
もつと
も
善
よ
き
牛
うし
と
汝
なんぢ
らの
驢馬
ろば
を
取
とり
ておのれのために
作
はたら
かしめ
17
又󠄂
また
汝
なんぢ
らの
羊
ひつじ
の
十分󠄃
じふぶ
一
いち
をとり
又󠄂
また
汝
なんぢ
らを
其
その
僕
しもべ
となさん
18
其
その
日
ひ
において
汝等
なんぢら
己
おのれ
のために
擇
えら
みし
王
わう
のことによりて
呼號
よばは
らんされどヱホバ
其
その
日
ひ
に
汝
なんぢ
らに
聽
きゝ
たまはざるべしと
19
然
しか
るに
民
たみ
サムエルの
言
ことば
にしたがふことをせずしていひけるは
否
いな
われらに
王
わう
なかるべからず
20
我
われ
らも
他
ほか
の
國々
くに〴〵
の
如
ごと
くになり
我
われ
らの
王
わう
われらを
鞫
さば
きわれらを
率󠄃
ひきゐ
て
我
われ
らの
戰
いくさ
にたたかはん
21
サムエル
民
たみ
のことばを
盡
こと〴〵
く
聞
きゝ
て
之
これ
をヱホバの
耳
みゝ
に
吿
つ
ぐ
22
ヱホバ、サムエルにいひたまひけるはかれらのことばを
聽
き
きかれらのために
王
わう
をたてよサムエル、イスラエルの
人々
ひと〴〵
にいひけるは
汝
なんぢ
らおのおの
其
その
邑
まち
にかへるべし
第9章
1
茲
こゝ
にベニヤミンの
人
ひと
にてキシと
名
なづ
くる
力
ちから
の
大
おほい
なるものありキシはアビエルの
子
こ
アビニルはゼロンの
子
こ
ゼロンはベコラテの
子
こ
ベコラテはアビヤの
子
こ
アビヤはベニヤミンの
子
こ
なり
2
キシにサウルと
名
なづ
くる
子
こ
あり
壯
さかり
にして
美
うる
はしイスラエルの
子孫
ひと〴〵
の
中
うち
に
彼
かれ
より
美
うる
はしき
者
もの
たく
肩
かた
より
上
うへ
民
たみ
のいづれの
人
ひと
よりも
高
たか
し
513㌻
3
サウルの
父󠄃
ちゝ
キシの
驢馬
ろば
失
うせ
ぬキシ
其
その
子
こ
サウルにいひけるは
一人
ひとり
の
僕
わかもの
をともなひ
起󠄃
た
ちてゆき
驢馬
ろば
を
尋󠄃
たづ
ねよ
4
サウル、ニフライムの
山地
やまち
を
通󠄃
とほ
り
過󠄃
す
ぎシヤリシヤの
地
ち
を
通󠄃
とほ
りすぐれども
見
み
あたらずシヤリムの
地
ち
を
通󠄃
とほ
りすぐれども
居
を
らずベニヤミンの
地
ち
をとほりすぐれども
見
み
あたらず
5
かれらツフの
地
ち
にいたれる
時
とき
サウル
其
その
ともなへる
僕
わかもの
にいひけるはいざ
還󠄃
かへ
らん
恐
おそ
らくはわが
父󠄃
ちゝ
驢馬
ろば
の
事
こと
を
措
おき
て
我等
われら
の
事
こと
を
思
おも
ひ
煩
わづら
はん
6
僕
わかもの
これにいひけるは
此
この
邑
まち
に
神
かみ
の
人
ひと
あり
尊󠄅
たふと
き
人
ひと
にして
其
その
言
い
ふところは
皆
みな
必
かな
らず
成
な
る
我
われ
らかしこにいたらんかれ
我
われ
らがゆくべき
路
みち
をわれらにしめすことあらん
7
サウル
僕
わかもの
にいひけるは
我
われ
らもしゆかば
何
なに
を
其人
そのひと
におくらんか
器
うつは
のパンは
旣
すで
に
罄
つき
て
神
かみ
の
人
ひと
におくるべき
禮物
もの
あらず
何
なに
かあるや
8
僕
わかもの
またサウルにこたへていひけるは
視
み
よわが
手
て
に
銀
ぎん
一シケルの四
分󠄃
ぶん
の一あり
我
われ
これを
神
かみ
の
人
ひと
にあたへて
我
われ
らに
路
みち
をしめさしめんと
9
昔
むか
しイスラエルにおいては
人
ひと
神
かみ
にとはんとてゆく
時
とき
はいざ
先見者
せんけんしや
にゆかんといへり
其
そ
は
今
いま
の
預言者
よげんしや
は
昔
むか
しは
先見者
せんけんしや
とよばれたればなり
10
サウル
僕
わかもの
にいひけるは
善
よ
くいへりいざゆかんとて
神
かみ
の
人
ひと
のをる
邑
まち
におもむけり
11
かれら
邑
まち
にいる
坂
さか
をのぼれる
時
とき
童
わかき
女
をんな
數人
すにん
の
水
みづ
くみにいづるにあひ
之
これ
にいひけるは
先見者
せんけんしや
は
此
こゝ
にをるや
〘393㌻〙
12
答
こたへ
ていひけるはをる
視
み
よ
汝
なんぢ
のまへにをる
急󠄃
いそ
ぎゆけ
今日
けふ
民
たみ
崇邱
たかをか
にて
祭
まつり
をなすにより
彼
かれ
けふ
邑
まち
にきたれり
13
汝
なんぢ
ら
邑
まち
にる
時
とき
かれが
崇邱
たかをか
にのぼりて
食󠄃
しよく
に
就
つ
くまへに
直
たゞち
ちにかれにあはん
其
そ
は
彼
かれ
まづ
祭品
そなへもの
を
祝
しゆく
してしかるのち
招
まね
かれたる
者
もの
食󠄃
くら
ふべきに
因
よ
りかれが
來
きた
るまでは
民
たみ
食󠄃
くら
はざるなり
故
ゆゑ
に
汝
なんぢ
らのぼれ
今
いま
かれにあはんと
14
かれら
邑
まち
にのぼりて
邑
まち
のなかにいるとき
視
み
よサムエル
崇邱
たかをか
にのぼらんとてかれらにむかひて
出
いで
きたりぬ
514㌻
15
ヱホバ、サウルのきたる
一日
いちにち
まへにサムエルの
耳
みゝ
につげていひたまひけるは
16
明日
あくるひ
いまごろ
我
われ
ベニヤミンの
地
ち
より
一箇
ひとり
の
人
ひと
を
汝
なんぢ
につかはさん
汝
なんぢ
かれに
膏
あぶら
を
注
そゝ
ぎてわが
民
たみ
イスラエルの
長
かしら
となせかれわが
民
たみ
をペリシテ
人
びと
の
手
て
より
救
すく
ひいださんわが
民
たみ
のさけび
我
われ
に
達󠄃
たつ
せしにより
我
われ
是
これ
をかへりみるなり
17
サムエル、サウルを
見
み
るときヱホバこれにいひたまひけるは
視
み
よわが
汝
なんぢ
につげしは
此人
このひと
なり
是
この
人
ひと
わが
民
たみ
ををさむべし
18
サウル
門
もん
の
中
なか
にてサムエルにちかづきいひけるは
先見者
せんけんしや
の
家
いへ
はいづくにあるや
請󠄃
こ
ふ
我
われ
につげよ
19
サムエル、サウルにこたへていひけるは
我
われ
はすなはち
先見者
せんけんしや
なり
汝
なんぢ
わがまへにゆきて
崇邱
たかをか
にのぼれ
汝
なんぢ
ら
今日
けふ
我
われ
とともに
食󠄃
しよく
す
可
べ
し
明日
あくるひ
われ
汝
なんぢ
をさらしめ
汝
なんぢ
の
心
こゝろ
にあることを
悉
こと〴〵
く
汝
なんぢ
にしめさん
20
三日
みつか
まへに
失
うせ
たる
汝
なんぢ
の
驢馬
ろば
は
旣
すで
に
見
み
あたりたれば
之
これ
をおもふなかれ
抑
そもそ
もイスラエルの
總
すべ
ての
寶
たから
は
誰
たれ
の
者
もの
なるや
即
すなは
ち
汝
なんぢ
と
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
の
家
いへ
のものならずや
21
サウルこたへていひけるは
我
われ
はイスラエルの
支派
わかれ
の
最
もつと
も
小
ちひさ
き
支派
わかれ
なるベニヤミンの
人
ひと
にしてわが
族
やから
はベニヤミンの
支派
わかれ
の
諸
もろ〳〵
の
族
やから
の
最
もつと
も
小
ちひさ
き
者
もの
に
非
あらず
やなんぞ
斯
かゝ
る
事
こと
を
我
われ
にかたるや
22
サムエル、サウルと
其
その
僕
わかもの
をみちびきて
堂
だう
にいり
招
まね
かれたる三十
人
にん
ばかりの
者
もの
の
中
うち
の
最
もつと
も
上
かみ
に
坐
ざ
せしむ
23
サムエル
庖人
くりやびと
にいひけるはわが
汝
なんぢ
にわたして
汝
なんぢ
の
許
もと
におけといひし
分󠄃
ぶん
をもちきたれ
24
庖人
くりやびと
肩
かた
と
肩
かた
に
屬
つけ
る
者
もの
をとりあげて
之
これ
をサウルのまへに
置
お
くサムエルいひけるは
視
み
よ
是
これ
は
存
たくは
へおきたる
物
もの
なり
汝
なんぢ
のまへにおきて
食󠄃
くら
へ
其
そ
はわれ
民
たみ
をまねきし
時
とき
よりこれを
汝
なんぢ
の
爲
ため
にたくはへおきたればなりかくてサウル
此
この
日
ひ
サムエルとともに
食󠄃
しよく
せり
25
崇邱
たかをか
をくだりて
邑
まち
にいりし
時
とき
サムエル、サウルとともに
屋背
やね
の
上
うへ
にてものがたる
26
かれら
早
はや
くおく
即
すなは
ちサムエル
曙
あけぼの
に
屋背
やね
の
上
うへ
なるサウルをよびていけるは
起󠄃
おき
よわれ
汝
なんぢ
をかへさんとサウルすなはちおきあがるサウルとサムエルともに
外
そと
にいで
〘394㌻〙
515㌻
27
邑
まち
の
極處
はて
にくだれるときサムエル、サウルにいひけるは
僕
わかもの
に
命
めい
じて
我等
われら
の
先
さき
にゆかしめよ(
僕
わかもの
先
さき
にゆく)しかして
汝
なんぢ
暫
しばら
くとゞまれ
我
われ
汝
なんぢ
に
神
かみ
の
言
ことば
をしめさん
第10章
1
サムエルすなはち
膏
あぶら
の
瓶
びん
をとりてサウルの
頭
かうべ
に
沃
そゝ
ぎ
口
くち
接
つけ
して
曰
いひ
けるはヱホバ
汝
なんぢ
をたてて
其
その
產業
さんげふ
の
長
かしら
となしたまふにあらずや
2
汝
なんぢ
今日
けふ
我
われ
をはなれて
去
さ
りゆく
時
とき
ベニヤミンの
境
さかひ
のゼルザにあるラケルの
墓
はか
のかたはらにて
二人
ふたり
の
人
ひと
にあふべしかれら
汝
なんぢ
にいはん
汝
なんぢ
がたづねにゆきし
驢馬
ろば
は
見
み
あたりぬ
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
驢馬
ろば
のことをすてて
汝
なんぢ
らのことをおもひわづらひわが
子
こ
の
事
こと
をいかがすべきやといへりと
3
其處
そこ
より
汝
なんぢ
尙
なほ
すすみてタボルの
橡
かし
の
樹
き
のところにいたらんに
彼處
かしこ
にてベテルにのぼり
神
かみ
にまうでんとする三
人
にん
の
者
もの
汝
なんぢ
にあはん
一人
ひとり
は
三頭
みつ
の
山羊羔
やぎのこ
を
携
たづさ
へ
一人
ひとり
は
三團
みつ
のパンをたづさへ
一人
ひとり
は
一嚢
ひとふくろ
の
酒
さけ
をたづさふ
4
かれら
汝
なんぢ
に
安否
あんぴ
をとひ
二團
ふたつ
のパンを
汝
なんぢ
にあたへん
汝
なんぢ
之
これ
を
其
その
手
て
よりうくべし
5
其
そ
の
後
のち
汝
なんぢ
神
かみ
のギベアにいたらん
其處
そこ
にペリシテ
人
びと
の
代
だい
官
くわん
あり
汝
なんぢ
彼處
かしこ
にゆきて
邑
まち
にいるとき
一群
ひとくみ
の
預言者
よげんしや
の
瑟
しつ
と
鼗
つづみ
と
笛
ふえ
と
琴
こと
を
前󠄃
まへ
に
執
と
らせて
預言
よげん
しつつ
崇邱
たかをか
をくだるにあはん
6
其
そ
の
時
とき
神
かみ
のみたま
汝
なんぢ
にのぞみて
汝
なんぢ
かれらとともに
預言
よげん
し
變
かは
りて
新
あたら
しき
人
ひと
とならん
7
是
これ
らの
徴
しるし
汝
なんぢ
の
身
み
におこらば
手
て
のあたるにまかせて
事
こと
を
爲
な
すべし
神
かみ
汝
なんぢ
とともにいませばなり
8
汝
なんぢ
我
われ
にさきだちてギルガルにくだるべし
我
われ
汝
なんぢ
の
許
もと
にくだりて
燔祭
はんさい
を
供
そな
へ
酬恩祭
しうおんさい
を
献
さゝ
げんわが
汝
なんぢ
のもとに
至
いた
り
汝
なんぢ
の
爲
な
すべきことを
示
しめ
すまで
汝
なんぢ
七日
なぬか
のあひだ
待
ま
つべし
9
サウル
背
せ
をかへしてサムエルを
離
はな
れし
時
とき
神
かみ
之
これ
に
新
あたら
しき
心
こゝろ
をあたへたまふしかして
此
この
しるし
皆
みな
其
その
日
ひ
におこれり
10
ふたり
彼處
かしこ
にゆきてギベアにいたれるときみよ
一群
ひとくみ
の
預言者
よげんしや
これにあふしかして
神
かみ
の
靈
みたま
サウルにのぞみてサウルかれらの
中
うち
にありて
預言
よげん
せり
516㌻
11
素
もと
よりサウルを
識
し
る
人々
ひと〴〵
サウルの
預言
よげん
者
しや
と
偕
とも
に
預言
よげん
するを
見
み
て
互
たが
ひにいひけるはキシの
子
こ
サウル
今
いま
何事
なにごと
にあふやサウルも
預言者
よげんしや
の
中
うち
にあるやと
12
其
その
處
ところ
の
人
ひと
ひとり
答
こた
へて
彼等
かれら
の
父󠄃
ちゝ
は
誰
たれ
ぞやといふ
是故
このゆえ
にサウルも
預言者
よげんしや
の
中
うち
にあるやといふは
諺
ことわざ
となれり
13
サウル
預言
よげん
を
終󠄃
をへ
て
崇邱
たかをか
にいたるに
14
サウルの
叔父󠄃
をぢ
サウルと
僕
わかもの
にいひけるは
汝
なんぢ
ら
何處
いづく
にゆきしやサウルいひけるは
驢馬
ろば
を
尋󠄃
たづ
ねに
出
いで
しが
何處
いづく
にもをらざるを
見
み
てサムエルの
許
もと
にいたれり
15
サウルの
叔父󠄃
をぢ
いひけるはサムエルは
汝
なんぢ
に
何
なに
をいひしか
請󠄃
こ
ふ
我
われ
につげよ
〘395㌻〙
16
サウル
叔父󠄃
をぢ
にいひけるは
明
あきら
かに
驢馬
ろば
の
見
み
あたりしを
吿
つ
げたりと
然
しか
れどもサムエルが
言
いへ
る
國
こく
王
わう
の
事
こと
はこれにつげざりき
17
サムエル
民
たみ
をミヅパにてヱホバのまへに
集
あつ
め
18
イスラエルの
子孫
ひと〴〵
にいひけるはイスラエルの
神
かみ
ヱホバ
斯
か
くいひたまふ
我
われ
イスラエルをみちびきてエジプトより
出
いだ
し
汝
なんぢ
らをエジプト
人
びと
の
手
て
および
凡
すべ
て
汝
なんぢ
らを
虐󠄃遇󠄃
しへたぐ
る
國人
くにびと
の
手
て
より
救
すく
ひいだせり
19
然
しか
るに
汝
なんぢ
らおのれを
患難
なやみ
と
難苦
くるしみ
のうちより
救
すく
ひいだしたる
汝
なんぢ
らの
神
かみ
を
棄
す
て
且
かつ
否
いな
われらに
王
わう
をたてよといへり
是故
このゆえ
にいま
汝等
なんぢら
の
支派
わかれ
と
群
ぐん
にしたがひてヱホバのまへに
出
いで
よ
20
サムエル、イスラエルの
諸
もろ〳〵
の
支派
わかれ
を
呼
よび
よせし
時
とき
ベニヤミンの
支派
わかれ
籤
くじ
にあたりぬ
21
またベニヤミンの
支派
わかれ
を
其
その
族
やから
のかずにしたがひて
呼
よび
よせしときマテリの
族
やから
籤
くじ
にあたりキシの
子
こ
サウル
籤
くじ
にあたれり
人々
ひと〴〵
かれを
尋󠄃
たづ
ねしかども
見
み
出
いださ
ざれば
22
またヱホバに
其人
そのひと
は
此
こゝ
に
來
きた
るや
否
いな
やを
問
とひ
しにヱホバ
答
こたへ
たまはく
視
み
よ
彼
かれ
は
行李
に
のあひだにかくると
23
人々
ひと〴〵
はせゆきて
彼
かれ
を
其處
そこ
よりつれきたれり
彼
かれ
民
たみ
の
中
うち
にたつに
肩
かた
より
以上
うへ
民
たみ
の
何
いづれ
の
人
ひと
よりも
高
たか
かりき
24
サムエル
民
たみ
にいひけるは
汝
なんぢ
らヱホバの
擇
えら
みたまひし
人
ひと
を
見
み
るか
民
たみ
のうちに
是
この
人
ひと
の
如
ごと
き
者
もの
とし
民
たみ
みなよばはりいひけるは
願
ねがは
くは
王
わう
いのちながかれ
517㌻
25
時
とき
にサムエル
王
わう
國
こく
の
典章
のり
を
民
たみ
にしめして
之
これ
を
書
しよ
にしるし
之
これ
をヱホバのまへに
藏
をさ
めたりしかしてサムエル
民
たみ
をことごとく
其
その
家
いへ
にかへらしむ
26
サウルもまたギベアの
家
いへ
にかへるに
神
かみ
に
心
こゝろ
を
感
かん
ぜられたる
勇士
ゆうし
等
ら
これとともにゆけり
27
然
しか
れども
邪
よこしま
なる
人々
ひと〴〵
は
彼人
かのひと
いかで
我
われ
らを
救
すく
はんやといひて
之
これ
を
蔑視
あなど
り
之
これ
に
禮物
れいもつ
をおくらざりしかどサウルは
啞
あふし
のごとくせり
第11章
1
アンモニ
人
びと
ナハシ、ギレアデのヤベシにのぼりて
之
これ
を
圍
かこ
むヤベシの
人々
ひと〴〵
ナハシにいひけるは
我
われ
らと
約
やく
をなせ
然
しか
らば
汝
なんぢ
につかへん
2
アンモニ
人
びと
ナハシこれに
答
こた
へけるは
我
われ
かくして
汝
なんぢ
らと
約
やく
をなさん
即
すなは
ち
我
われ
汝
なんぢ
らの
右
みぎ
の
目
め
を
抉
くじ
りてイスラエルの
全󠄃地
ぜんち
に
恥辱
はぢ
をあたへん
3
ヤベシの
長老
としより
これにいひけるは
我
われ
らに
七日
なぬか
の
猶予
ひま
をあたへて
使
つかひ
をイスラエルの
四方
よも
の
境
さかひ
におくることを
得
え
さしめよ
而
しか
して
若
も
し
我
われ
らを
救
すく
ふ
者
もの
なくば
我
われ
ら
汝
なんぢ
にくだらん
4
斯
かく
て
使
つかひ
サウルのギベアにいたり
此事
このこと
を
民
たみ
の
耳
みゝ
に
吿
つげ
しかば
民
たみ
皆
みな
聲
こゑ
をあげて
哭
な
きぬ
5
爰
こゝ
にサウル
田
はた
より
牛
うし
にしたがひて
來
きた
るサウルいひけるは
民
たみ
何
なに
によりて
哭
な
くやと
人々
ひと〴〵
これにヤベシ
人
びと
の
事
こと
を
吿
つ
ぐ
〘396㌻〙
6
サウル
之
これ
を
聞
きけ
るとき
神
かみ
の
靈
みたま
これに
臨
のぞ
みてその
怒
いかり
甚
はなは
だしく
燃
も
えたち
7
一
ひと
軛
くびき
の
牛
うし
をころしてこれを
切
き
り
割󠄅
さ
き
使
つかひ
の
手
て
をもてこれをイスラエルの
四方
よも
の
境
さかひ
にあまねくおくりていはしめけるは
誰
たれ
にてもサウルとサムエルにしたがひて
出
いで
ざる
者
もの
は
其
その
牛
うし
かくのごとくせらるべしと
民
たみ
ヱホバを
畏
かしこ
み
一人
ひとり
のごとく
均
ひとし
くいでたり
8
サウル、ベゼクにてこれを
數
かぞ
ふるにイスラエルの
子孫
ひと〴〵
三十
萬
まん
ユダの
人
ひと
三
萬
まん
ありき
9
斯
かく
て
人々
ひと〴〵
來
きた
れる
使
つかひ
にいひけるはギレアデのヤベシの
人
ひと
にかくいへ
明日
あす
日
ひ
の
熱
あつ
き
時
とき
汝
なんぢ
ら
助
たすけ
を
得
え
んと
使
つかひ
かへりてヤベシ
人
びと
に
吿
つ
げければ
皆
みな
よろこびぬ
10
是
こゝ
をもてヤベシの
人
ひと
云
いひ
けるは
明日
あす
汝
なんぢ
らに
降
くだ
らん
汝
なんぢ
らの
善
よし
と
思
おも
ふところを
爲
な
せ
518㌻
11
明日
あくるひ
サウル
民
たみ
を
三隊
みくみ
にわかち
曉更
あかつき
に
敵
てき
の
軍
ぐん
の
中
なか
にいりて
日
ひ
の
熱
あつ
くなる
時
とき
までアンモニ
人
びと
をころしければ
遺󠄃
のこ
れる
者
もの
は
皆
みな
ちりぢりになりて
二人
ふたり
俱
とも
にあるものなかりき
12
民
たみ
サムエルにいひけるはサウル
豈
いかで
我
われ
らの
王
わう
となるべけんやと
言
いひ
しは
誰
たれ
ぞや
其人
そのひと
を
引
ひ
き
來
きた
れ
我
われ
ら
之
これ
をころさん
13
サウルいひけるは
今日
けふ
ヱホバ
救
すくひ
をイスラエルに
施
ほどこ
したまひたれば
今日
けふ
は
人
ひと
をころすべからず
14
茲
こゝ
にサムエル
民
たみ
にいひけるはいざギルガルに
徃
ゆき
て
彼處
かしこ
にて
王
わう
國
こく
を
新
あらた
にせんと
15
民
たみ
みなギルガルにゆきて
彼處
かしこ
にてヱホバのまへにサウルを
王
わう
となし
彼處
かしこ
にて
酬恩祭
しうおんさい
をヱホバのまへに
献
さゝ
げサウルとイスラエルの
人々
ひと〴〵
皆
みな
かしこにて
大
おほい
に
祝
いは
へり
第12章
1
サムエル、イスラエルの
人々
ひと〴〵
にいひけるは
視
み
よ
我
われ
汝
なんぢ
らが
我
われ
にいひし
言
ことば
をことごとく
聽
きゝ
て
汝
なんぢ
らに
王
わう
を
立
たて
たり
2
見
み
よ
今
いま
王
わう
汝
なんぢ
らのまへにあゆむ
我
われ
は
老
おい
て
髮
かみ
しろし
視
み
よわが
子
こ
ども
汝
なんぢ
らと
共
とも
にあり
我
われ
幼稚時
いとけなきとき
より
今日
こんにち
にいたるまで
汝等
なんぢら
のまへにあゆめり
3
視
み
よ
我
われ
ここにありヱホバのまへと
其
その
膏
あぶら
そそぎし
者
もの
のまへに
我
われ
を
訴
うつた
へよ
我
われ
誰
たれ
の
牛
うし
を
取
と
りしや
誰
たれ
の
驢馬
ろば
をとりしや
誰
たれ
を
掠
かす
めしや
誰
たれ
を
虐󠄃遇󠄃
くるしめ
しや
誰
たれ
の
手
て
より
賄賂
まひなひ
をとりてわが
目
め
を
矇
くらま
せしや
有
あら
ば
我
われ
これを
汝
なんぢ
らにかへさん
4
彼
かれ
らいひけるは
汝
なんぢ
は
我
われ
らをかすめずくるしめず
又󠄂
また
何
なに
をも
人
ひと
の
手
て
より
取
と
りしことなし
5
サムエルかれらにいひけるは
汝
なんぢ
らが
我
わが
手
て
のうちに
何
なに
をも
見
み
いださざるをヱホバ
汝
なんぢ
らに
證
あかし
したまふ
其
その
膏
あぶら
そそぎし
者
もの
も
今日
こんにち
證
あかし
す
彼
かれ
ら
答
こた
へけるは
證
あかし
したまふ
6
サムエル
民
たみ
にいひけるはヱホバはモーセとアロンをたてし
者
もの
汝
なんぢ
らの
先祖
せんぞ
をエジプトの
地
ち
より
導󠄃
みちび
きいだせしものなり
〘397㌻〙
519㌻
7
立
た
ちあがれヱホバが
汝
なんぢ
らおよび
汝
なんぢ
らの
先祖
せんぞ
になしたまひし
諸
もろ〳〵
の
義
たゞ
しき
行爲
わざ
につきて
我
われ
ヱホバのまへに
汝
なんぢ
らと
論
ろん
ぜん
8
ヤコブのエジプトにいたるにおよびて
汝
なんぢ
らの
先祖
せんぞ
のヱホバに
呼
よば
はりし
時
とき
ヱホバ、モーセとアロンを
遣󠄃
つか
はしたまひて
此
この
二人
ふたり
汝
なんぢ
らの
先祖
せんぞ
をエジプトより
導󠄃
みちび
きいだして
此處
このところ
にすましめたり
9
しかるに
彼
かれ
ら
其
その
神
かみ
ヱホバを
忘
わす
れしかばヱホバこれをハゾルの
軍
ぐん
の
長
かしら
シセラの
手
て
とペリシテ
人
びと
の
手
て
およびモアブ
王
わう
の
手
て
にわたしたまへり
斯
かく
て
彼
かれ
らこれを
攻
せめ
ければ
10
民
たみ
ヱホバに
呼
よば
はりていひけるは
我
われ
らヱホバを
棄
すて
てバアルとアシタロテに
事
つか
へてヱホバに
罪
つみ
を
犯
をか
したりされど
今
いま
我
われ
らを
敵
てき
の
手
て
より
救
すく
ひいだしたまへ
我
われ
ら
汝
なんぢ
につかへんと
11
是
こゝ
においてヱホバ、ヱルバアルとバラクとエフタとサムエルを
遣󠄃
つか
はして
汝
なんぢ
らを
四方
よも
の
敵
てき
の
手
て
より
救
すく
ひいだしたまひて
汝
なんぢ
ら
安
やす
らかに
住󠄃
す
めり
12
しかるに
汝
なんぢ
らアンモンの
子孫
ひと〴〵
の
王
わう
ナハシの
汝
なんぢ
らを
攻
せめ
んとて
來
きた
るを
見
み
て
汝
なんぢ
らの
神
かみ
ヱホバ
汝
なんぢ
らの
王
わう
なるに
汝
なんぢ
ら
我
われ
にいふ
否
いな
我
われ
らををさむる
王
わう
なかるべからずと
13
今
いま
汝
なんぢ
らが
選󠄄
えら
みし
王
わう
汝
なんぢ
らがねがひし
王
わう
を
見
み
よ
視
み
よヱホバ
汝
なんぢ
らに
王
わう
をたてたまへり
14
汝
なんぢ
らもしヱホバを
畏
かしこ
みて
之
これ
につかへ
其
その
言
ことば
にしたがひてヱホバの
命
めい
にそむかずまた
汝
なんぢ
らと
汝
なんぢ
らををさむる
王
わう
恒
つね
に
汝
なんぢ
らの
神
かみ
ヱホバに
從
したが
はば
善
よ
し
15
しかれども
汝
なんぢ
らもしヱホバの
言
ことば
にしたがはずしてヱホバの
命
めい
にそむかばヱホバの
手
て
汝
なんぢ
らの
先祖
せんぞ
をせめしごとく
汝
なんぢ
らをせむべし
16
汝
なんぢ
ら
今
いま
たちてヱホバが
爾
なんぢ
らの
目
め
のまへになしたまふ
此
この
大
おほい
なる
事
こと
を
見
み
よ
17
今日
けふ
は
麥
むぎ
刈
かり
時
どき
にあらずや
我
われ
ヱホバを
呼
よば
んヱホバ
雷
いかづち
と
雨
あめ
をくだして
汝
なんぢ
らが
王
わう
をもとめてヱホバのまへに
爲
な
したる
罪
つみ
の
大
おほい
なるを
見
しめ
しらしめたまはん
18
かくてサムエル、ヱホバをよびければヱホバ
其
その
日
ひ
雷
いかづち
と
雨
あめ
をくだしたまへり
民
たみ
みな
大
おほい
にヱホバとサムエルを
恐
おそ
る
520㌻
19
民
たみ
みなサムエルにいひけるは
僕
しもべ
らのために
汝
なんぢ
の
神
かみ
ヱホバにいのりて
我
われ
らを
死
し
なざらしめよ
我
われ
ら
諸
もろ〳〵
の
罪
つみ
にまた
王
わう
を
求
もと
むるの
惡
あく
をくはへたればなり
20
サムエル
民
たみ
にいひけるは
懼
おそ
るなかれ
汝
なんぢ
らこの
總
すべ
ての
惡
あく
をなしたりされどヱホバに
從
したが
ふことを
息
やめ
ず
心
こゝろ
をつくしてヱホバに
事
つか
へ
21
虛
むな
しき
物
もの
に
迷󠄃
まよ
ひゆくなかれ
是
これ
は
虛
むな
しき
物
もの
なれば
汝
なんぢ
らを
助
たす
くることも
救
すく
ふことも
得
え
ざるなり
22
ヱホバ
其
その
大
おほい
なる
名
な
のために
此
この
民
たみ
をすてたまはざるべし
其
そ
はヱホバ
汝
なんぢ
らをおのれの
民
たみ
となすことを
善
よし
としたまへばなり
23
また
我
われ
は
汝
なんぢ
らのために
祈
いの
ることをやめてヱホバに
罪
つみ
ををかすことは
決
きはめ
てせざるべし
且
かつ
われ
善
よ
き
正
たゞ
しき
道󠄃
みち
をもて
汝
なんぢ
らををしへん
〘398㌻〙
24
汝
なんぢ
ら
只
たゞ
ヱホバをかしこみ
心
こゝろ
をつくして
誠
まこと
にこれにつかへよ
而
しか
して
如何
いか
に
大
おほい
なることをヱホバ
汝
なんぢ
らになしたまひしかを
思
おも
ふ
可
べ
し
25
しかれども
汝
なんぢ
らもしなほ
惡
あく
をなさば
汝
なんぢ
らと
汝
なんぢ
らの
王
わう
ともにほろぼさるべし
第13章
1
サウル三十
歳
さい
にて
王
わう
の
位
くらゐ
に
即
つ
く
彼
かれ
二
年
ねん
イスラエルををさめたり
2
爰
こゝ
にサウル、イスラエル
人
びと
三
千
せん
を
擇
えら
む
其
その
二
千
せん
はサウルとともにミクマシおよびベテルの
山地
やまち
にあり
其
その
一
千
せん
はヨナタンとともにベニヤミンのギベアにあり
其
その
餘
よ
の
民
たみ
はサウルおのおの
其
その
幕屋
まくや
にかへらしむ
3
ヨナタン、ゲバにあるペリシテ
人
びと
の
代
だい
官
くわん
をころせりペリシテ
人
びと
之
こ
れをきく
是
こゝ
においてサウル
國
こく
中
ちう
にあまねくラツパを
吹
ふい
ていはしめけるはヘブル
人
びと
よ
聞
き
くべし
4
イスラエル
人
びと
皆
みな
聞
き
けるに
云
いは
くサウル、ペリシテ
人
びと
の
代
だい
官
くわん
を
擊
うて
りしかしてイスラエル、ペリシテ
人
びと
の
中
うち
に
惡
にく
まると
斯
かく
て
民
たみ
めされてサウルにしたがひギルガルにいたる
5
ペリシテ
人
びと
イスラエルと
戰
たゝか
はんとて
集
あつま
りけるが
兵
いくさ
車
ぐるま
三
百
びやく
騎兵
きへい
六
千
せん
にして
民
たみ
は
濱
はま
の
沙
いさご
の
多
おほ
きがごとくなりき
彼
かれ
らのぼりてベテアベンにむかへるミクマシに
陣
ぢん
をとれり
6
イスラエルの
人
ひと
苦
くるし
められ
其
その
危
あやふ
きを
見
み
て
皆
みな
巖穴󠄄
ほら
に
林叢
やぶ
に
崗巒
いは
に
高塔
たふ
に
坎阱
あな
にかくれたり
521㌻
7
また
或
あ
るヘブル
人
びと
はヨルダンを
渉
わた
りてガドとギレアデの
地
ち
にいたる
然
しか
るにサウルは
尙
なほ
ギルガルにあり
民
たみ
皆
みな
戰慄
ふるひ
て
之
これ
にしたがふ
8
サウル、サムエルの
定
さだ
めし
期
き
にしたがひて
七日
なぬか
とゞまりしがサムエル、ギルガルに
來
きた
らず
民
たみ
はなれて
散
ちり
ければ
9
サウルいひけるは
燔祭
はんさい
と
酬恩祭
しうおんさい
を
我
われ
にもちきたれと
遂󠄅
つひ
に
燔祭
はんさい
をささげたり
10
燔祭
はんさい
をささぐることを
終󠄃
をへ
しときに
視
み
よサムエルいたるサウル
安否
あんぴ
を
問
と
はんとてこれをいで
迎󠄃
むか
ふに
11
サムエルいひけるは
汝
なんぢ
何
なに
をなせしやサウルいひけるは
我民
わがたみ
の
我
われ
をはなれてちりまた
汝
なんぢ
の
定
さだ
まれる
日
ひ
のうちに
來
きた
らずしてペリシテ
人
びと
のミクマシに
集
あつ
まれるを
見
み
しかば
12
ペリシテ
人
びと
ギルガルに
下
くだ
りて
我
われ
をおそはんに
我
われ
いまだヱホバをなごめずといひて
勉
つとめ
て
燔祭
はんさい
をささげたり
13
サムエル、サウルにいひけるは
汝
なんぢ
おろかなることをなせり
汝
なんぢ
その
神
かみ
ヱホバのなんぢに
命
めい
じたまひし
命令
めいれい
を
守
まも
らざりしなり
若
も
し
守
まも
りしならばヱホバ、イスラエルををさむる
位
くらゐ
を
永
なが
く
汝
なんぢ
に
定
さだ
めたまひしならん
14
然
しかれ
どもいま
汝
なんぢ
の
位
くらゐ
たもたざるべしヱホバ
其心
そのこころ
に
適󠄄
かな
ふ
人
ひと
を
求
もと
めてヱホバ
之
これ
に
其
その
民
たみ
の
長
かしら
を
命
めい
じたまへり
汝
なんぢ
がヱホバの
命
めい
ぜしことを
守
まも
らざるによる
〘399㌻〙
15
かくてサムエルたちてギルガルよりベニヤミンのギベアにのぼりいたる
サウルおのれとともにある
民
たみ
をかぞふるに
凡
およ
そ六
百
ぴやく
人
にん
ありき
16
サウルおよび
其
その
子
こ
ヨナタン
並
ならび
にこれとともにある
民
たみ
はベニヤミンのゲバに
居
を
りペリシテ
人
びと
はミクマシに
陣
ぢん
を
張
は
る
17
劫掠
ぶんどり
人
びと
三隊
みくみ
にわかれてペリシテ
人
びと
の
陣
ぢん
よりいで
一隊
ひとくみ
はオフラの
路
みち
にむかひてシユアルの
地
ち
にいたり
18
一隊
ひとくみ
はベテホロンの
道󠄃
みち
に
向
むか
ひ
一隊
ひとくみ
は
曠野
あらの
の
方
かた
にあるゼボイムの
谷
たに
をのぞむ
境
さかひ
の
路
みち
にむかふ
19
時
とき
にイスラエルの
地
ち
のうち
何處
いづこ
にも
鐵工
かぢ
なかりき
是
こ
はペリシテ
人
びと
ヘブル
人
びと
の
劍
かたな
あるひは
槍
やり
を
作
つく
ることを
恐
おそ
れたればなり
522㌻
20
-21 イスラエル
人
びと
皆
みな
其
その
耜
すき
鋤
くは
斧
をの
耒
からすき
即
すなは
ち
耜
すき
鋤
くは
三齒
みつば
鍬
ぐは
斧
をの
の
錣
は
に
缺
かけ
ありてこれを
鍛
きた
ひ
改
なほ
さんとする
時
とき
又󠄂
また
は
鞭
むち
を
尖
とが
らさんとする
時
とき
は
常
つね
にペリシテ
人
びと
の
所󠄃
ところ
にくだれり
22
是
こゝ
をもて
戰
たたかひ
の
日
ひ
にサウルおよびヨナタンとともにある
民
たみ
の
手
て
には
劍
かたな
も
槍
やり
も
見
み
えず
只
たゞ
サウルと
其
その
子
こ
ヨナタンのみ
持
もて
り
23
茲
こゝ
にペリシテ
人
びと
の
先陣
さきぞなへ
ミクマシの
渡口
わたり
に
進󠄃
すゝ
む
第14章
1
其時
そのとき
サウルの
子
こ
ヨナタン
武器
ぶき
を
執
と
る
若
わか
者
もの
にいひけるはいざ
對面
むかふ
にあるペリシテ
人
びと
の
先
さき
陣
ぞなへ
に
渉
わた
りゆかんと
然
され
ど
其
その
父󠄃
ちゝ
には
吿
つげ
ざりき
2
サウル、ギベアの
極
はて
においてミグロンにある
石榴
じやくろ
の
樹
き
の
下
した
に
住󠄃
とゞ
まりしが
俱
とも
にある
民
たみ
はおよそ六
百
ぴやく
人
にん
なりき
3
又󠄂
また
アヒヤ、エポデを
衣
き
てともにをるアヒヤはアヒトブの
子
こ
アヒトブはイカボデの
兄弟
きやうだい
イカボデばピネハスの
子
こ
ピネハスはシロにありてヱホバの
祭司
さいし
たりしエリの
子
こ
なり
民
たみ
ヨナタンの
行
ゆ
けるをしらざりき
4
ヨナタンの
渉
わた
りてペリシテ
人
びと
の
先
さき
陣
ぞなへ
にいたらんとする
渡口
わたり
の
間
あひだ
に
此傍
こなた
に
巉巖
いはほ
あり
彼傍
かなた
にも
巉巖
いはほ
あり
一
ひとつ
の
名
な
をボゼツといひ
一
ひとつ
の
名
な
をセネといふ
5
其
その
一
ひとつ
は
北
きた
に
向
むか
ひてミクマシに
對
たい
し
一
ひとつ
に
南
みなみ
にむかひてゲバに
對
たい
す
6
ヨナタン
武器
ぶき
を
執
と
る
少者
わかもの
にいふいざ
我
われ
ら
此
この
割󠄅禮
かつれい
なき
者
もの
どもの
先
さき
陣
ぞなへ
にわたらんヱホバ
我
われ
らのためにはたらきたまことあらん
多
おほ
くの
人
ひと
をもて
救
すく
ふも
少
すくな
き
人
ひと
をもてすくふもヱホバにおいては
妨
さまた
げなし
7
武器
ぶき
をとるもの
之
これ
にいひけるは
總
すべ
て
汝
なんぢ
の
心
こゝろ
にあるところをなせ
進󠄃
すゝ
めよ
我
われ
汝
なんぢ
の
心
こゝろ
にしたがひて
汝
なんぢ
とともにあり
8
ヨナタンいひけるは
見
み
よ
我
われ
らかの
人々
ひと〴〵
のところにわたり
身
み
をかれらにあらはさん
9
かれら
若
も
し
我
われ
らが
汝
なんぢ
らにいたるまでとゞまれと
斯
か
く
我
われ
らにいはば
我
われ
らはこのままとゞまりてかれらの
所󠄃
ところ
にのぼらじ
〘400㌻〙
10
されど
若
も
し
我
われ
らのところにのぼれとかくいはば
我
われ
らのぼらんヱホバかれらを
我
われ
らの
手
て
にわたしたまふなり
是
これ
を
徴
しるし
となさんと
523㌻
11
斯
かく
て
二人
ふたり
其
その
身
み
をペリシテ
人
びと
の
先
さき
陣
ぞなへ
にあらはしければペリシテ
人
びと
いひけるは
視
み
よヘブル
人
びと
其
その
かくれたる
穴󠄄
あな
よりいで
來
きた
ると
12
すなはち
先
さき
陣
ぞなへ
の
人
ひと
ヨナタンと
其
その
武器
ぶき
を
執
と
る
者
もの
にこたへて
我等
われら
の
所󠄃
ところ
に
上
のぼ
りきたれ
目
め
に
物
もの
見
み
せんといひしかばヨナタン
武器
ぶき
を
執
と
る
者
もの
にいひけるは
我
われ
にしたがひてのぼれヱホバ
彼
かれ
らをイスラエルの
手
て
にわたしたまふなり
13
ヨナタン
攀
よぢ
のぼり
其
その
武器
ぶき
を
執
と
るもの
之
これ
にしたがふペリシテ
人
びと
ヨナタンのまへに
仆
たふ
る
武器
ぶき
をとる
者
もの
も
後
うしろ
にしたがひて
之
これ
をころす
14
ヨナタンと
其
その
武器
ぶき
を
取
と
るもの
手
て
はじめに
殺
ころ
せし
者
もの
およそ二十
人
にん
此事
このこと
田畑
はたけ
半󠄃
はん
段
だん
の
內
うち
になれり
15
しかして
野
の
にある
陣
ぢん
のものおよび
凡
すべ
ての
民
たみ
の
中
うち
に
戰慄
おののき
おこり
先陣
さきぞなへ
の
人
ひと
および
劫掠
ぶんどり
人
びと
もまたおののき
地
ち
ふるひ
動
うご
けり
是
こ
は
神
かみ
よりの
戰慄
をののき
なりき
16
ベニヤミンのギベアにあるサウルの
戌卒
ものみ
望󠄇
のぞみ
見
み
しに
視
み
よペリシテ
人
びと
の
群衆
ぐんしう
くづれて
此彼
ここかしこ
にちらばる
17
時
とき
にサウルおのれとともなる
民
たみ
にいひけるは
汝
なんぢ
ら
點驗
しらべ
て
誰
た
が
我
われ
らの
中
うち
よりゆきしかを
見
み
よとすなはちしらべたるにヨナタンとその
武器
ぶき
を
執
と
るもの
居
を
らざりき
18
サウル、アヒヤにエポデを
持
もち
きたれといふ
其
そ
はかれ
此時
このとき
イスラエルのまへにエポデを
著
き
たれば
也
なり
19
サウル
祭司
さいし
にかたれる
時
とき
ペリシテ
人
びと
の
軍
ぐん
の
騷
さはぎ
いよいよましたりければサウル
祭司
さいし
にいふ
姑
しばら
く
汝
なんぢ
の
手
て
を
措
お
けと
20
かくてサウルおよびサウルと
共
とも
にある
民
たみ
皆
みな
呼
よば
はりて
戰
たゝか
ひに
至
いた
るにペリシテ
人
びと
おのおの
劍
かたな
を
以
も
て
互
たがひ
に
相
あひ
擊
う
ちければその
敗績
やぶれ
はなはだ
大
おほい
なりき
21
また
此時
このとき
よりまへにペリシテ
人
びと
とともにありてペリシテ
人
びと
と
共
とも
に
上
のぼ
りて
陣
ぢん
に
來
きたれ
るところのヘブル
人
びと
もまた
飜
ひるが
へりてサウルおよびヨナタンと
共
とも
にあるイスラエル
人
びと
に
合
がつ
せり
22
又󠄂
また
エフライムの
山地
やまち
にかくれたるイスラエル
人
びと
皆
みな
ペリシテ
人
びと
の
逃󠄄
にぐ
るを
聞
きゝ
てまた
戰
たゝか
ひに
出
いで
て
之
これ
を
追󠄃擊
おひうて
り
524㌻
23
是
かく
の
如
ごと
くヱホバ
此
この
日
ひ
イスラエルをすくひたまふ
而
しか
して
戰
たたかひ
はベテアベンにうつれり
24
されど
此
この
日
ひ
イスラエル
人
びと
苦
くるし
めり
其
そ
はサウル
民
たみ
を
誓
ちか
はせて
夕
よひ
まで
即
すなは
ちわが
敵
てき
に
仇
あだ
をむくゆるまでに
食󠄃物
しよくもつ
を
食󠄃
くら
ふ
者
もの
は
呪詛
のろは
れんと
言
いひ
たればなり
是故
このゆえ
に
民
たみ
の
中
うち
に
食󠄃物
しよくもつ
を
味
あじは
ひし
者
もの
なし
25
爰
こゝ
に
民
たみ
みな
林森
もり
に
至
いたる
に
地
ち
の
表
おもて
に
蜜
みつ
あり
26
即
すなは
ち
民
たみ
森
もり
にいたりて
蜜
みつ
のながるるをみる
然
しかれ
ども
民
たみ
誓
ちかひ
を
畏
おそ
るれば
誰
たれ
も
手
て
を
口
くち
につくる
者
もの
なし
〘401㌻〙
27
然
しかる
にヨナタンは
其
その
父󠄃
ちゝ
が
民
たみ
をちかはせしを
聞
きか
ざりければ
手
て
にある
杖
つゑ
の
末
さき
をのばして
蜜
みつ
にひたし
手
て
を
口
くち
につけたり
是
これ
に
由
より
て
其
その
目
め
あきらかになりぬ
28
時
とき
に
民
たみ
のひとり
答
こたへ
て
言
いひ
けるは
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
かたく
民
たみ
をちかはせて
今日
けふ
食󠄃物
しよくもつ
をくらふ
人
ひと
は
呪詛
のろ
はれんと
言
いへ
り
是
これ
に
由
より
て
民
たみ
つかれたり
29
ヨナタンいひけるはわが
父󠄃
ちゝ
國
くに
を
煩
わづらは
せり
請󠄃
こ
ふ
我
わが
この
蜜
みつ
をすこしく
甞
なめ
しによりて
如何
いか
にわが
目
め
の
明
あきら
かになりしかを
見
み
よ
30
ましてや
民
たみ
今日
けふ
敵
てき
よりうばひし
物
もの
を
十分󠄃
じふぶん
に
食󠄃
くらひ
しならばペリシテ
人
びと
をころすこと
更
さら
におほかるべきにあらずや
31
イスラエル
人
びと
かの
日
ひ
ペリシテ
人
びと
を
擊
うち
てミクマシよりアヤロンにいたる
而
しか
して
民
たみ
はなはだ
疲
つかれ
たり
32
是
こゝ
において
民
たみ
劫掠
ぶんどり
物
もの
に
走
はせ
かかり
羊
ひつじ
と
牛
うし
と
犢
こうし
とを
取
と
りて
之
これ
を
地
ち
のうへにころし
血
ち
のままに
之
これ
をくらふ
33
人々
ひと〴〵
サウルにつげていひけるは
民
たみ
肉
にく
を
血
ち
のままに
食󠄃
くら
ひて
罪
つみ
をヱホバにをかすとサウルいひけるは
汝
なんぢ
ら
背
そむ
けり
直
たゞ
ちにわがもとに
大
おほ
石
いし
をまろばしきたれ
34
サウルまたいひけるは
汝
なんぢ
らわかれて
民
たみ
のうちにいりていへ
人
ひと
各
おの〳〵
其
その
牛
うし
と
各
おの〳〵
其
その
羊
ひつじ
をわがもとに
引
ひ
ききたり
此處
こゝ
にてころしくらへ
血
ち
のままにくらひて
罪
つみ
をヱホバに
犯
をか
すなかれと
此
こゝ
において
民
たみ
おのおのこの
夜
よ
其
その
牛
うし
を
手
て
にひききたりて
之
これ
をかしこにころせり
35
しかしてサウル、ヱホバに一つの
壇
だん
をきづく
是
これ
はサウルのヱホバに
壇
だん
を
築
きづ
ける
始
はじめ
なり
525㌻
36
斯
かく
てサウルいひけるは
我
われ
ら
夜
よ
のうちにペリシテ
人
びと
を
追󠄃
おひ
くだり
夜明
よあけ
までかれらを
掠
かす
めて
一人
ひとり
をも
殘
のこ
すまじ
皆
みな
いひけるは
凡
すべ
て
汝
なんぢ
の
目
め
に
善
よし
とみゆる
所󠄃
ところ
をなせと
時
とき
に
祭司
さいし
いひけるは
我
われ
ら
此
こゝ
にちかより
神
かみ
にもとめんと
37
サウル
神
かみ
に
我
われ
ペリシテ
人
びと
をおひくだるべきか
汝
なんぢ
かれらをイスラエルの
手
て
にわたしたまふやと
問
とひ
けれど
此
この
日
ひ
はこたへたまはざりき
38
是
こゝ
においてサウルいひけるは
民
たみ
の
長
かしら
たちよ
皆
みな
此
こゝ
にちかよれ
汝
なんぢ
らみて
今日
けふ
のこの
罪
つみ
のいづくにあるを
知
し
れ
39
イスラエルを
救
すく
ひたまへるヱホバはいく
假令
たとひ
わが
子
こ
ヨナタンにもあれ
必
かなら
ず
死
し
なざるべからずとされど
民
たみ
のうち
一人
ひとり
もこれにこたへざりき
40
サウル、イスラエルの
人々
ひと〴〵
にいひけるはなんぢらは
彼處
かなた
にをれ
我
われ
とわが
子
こ
ヨナタンは
此處
こなた
にをらんと
民
たみ
いひけるは
汝
なんぢ
の
目
め
によしとみゆるところをなせ
41
サウル、イスラエルの
神
かみ
ヱホバにいひけるはねがはくは
眞實
まこと
をしめしたまへとかくてヨナタンとサウル
籤
くじ
にあたり
民
たみ
はのがれたり
42
サウルいひけるは
我
われ
とわが
子
こ
のあひだの
䰗
くじ
を
掣
ひ
けと
即
すなは
ちヨナタンこれにあたれり
〘402㌻〙
43
サウル、ヨナタンにいひけるは
汝
なんぢ
がなせしところを
我
われ
に
吿
つげ
よヨナタンつげていひけるは
我
われ
は
只
たゞ
わが
手
て
の
杖
つゑ
の
末
さき
をもて
少許
すこし
の
蜜
みつ
をなめしのみなるが
我
われ
しなざるをえず
44
サウルこたへけるは
神
かみ
かくなしまたかさねてかくなしたまヘヨナタンよ
汝
なんぢ
死
しな
ざるべからず
45
民
たみ
サウルにいひけるはイスラエルの
中
うち
に
此
この
大
おほい
なるすくひをなせるヨナタン
死
し
ぬべけんや
決
きは
めてしからずヱホバは
生
い
くヨナタンの
髮
かみ
の
毛
け
ひとすぢも
地
ち
におつべからず
其
そ
はかれ
神
かみ
とともに
今日
けふ
はたらきたればなりとかく
民
たみ
ヨナタンをすくひて
死
し
なざらしむ
46
サウル、ペリシテ
人
びと
を
追󠄃
おふ
ことを
息
やめ
てのぼりぬペリシテ
人
びと
其
その
國
くに
にかへれり
47
かくてサウル、イスラエルの
王
わう
の
位
くらゐ
につきて
四方
よも
の
敵
てき
を
攻
せ
む
即
すなは
ちモアブ、アンモンの
子孫
ひと〴〵
エドム、ゾバの
王
わう
たちおよびペリシテ
人
びと
をせめけるに
凡
すべ
てむかふところにて
勝󠄃利
かち
を
得
え
たり
526㌻
48
サウル
力
ちから
をえアマレク
人
びと
をうちてイスラエルを
其
その
劫掠
あらす
人
ひと
の
手
て
よりすくひいだせり
49
サウルの
男子
むすこ
はヨナタン、ヱスイおよびマルキシユアなり
其
その
二人
ふたり
の
女子
むすめ
の
名
な
は
姉
あね
はメラブといひ
妹
いもうと
はミカルといふ
50
サウルの
妻
つま
の
名
な
はアヒノアムといひてアヒマアズの
女子
むすめ
なり
其
その
軍
ぐん
の
長
かしら
の
名
な
はアブネルといひてサウルの
叔父󠄃
をぢ
なるネルの
子
こ
なり
51
サウルの
父󠄃
ちゝ
キシとアブネルの
父󠄃
ちゝ
ネルはアビエルの
子
こ
なり
52
サウルの
一生
いつしやう
のあひだ
恒
つね
にペリシテ
人
びと
と
烈
はげ
しき
戰
たたかひ
ありサウルは
力
ちから
ある
人
ひと
または
勇
ゆう
ある
人
ひと
を
見
み
るごとにこれをかかへたり
第15章
1
茲
こゝ
にサムエル、サウルにいひけるはヱホバ
我
われ
をつかはし
汝
なんぢ
に
膏
あぶら
を
沃
そゝ
ぎて
其
その
民
たみ
イスラエルの
王
わう
となさしめたりさればヱホバの
言
ことば
の
聲
こゑ
をきけ
2
萬軍
ばんぐん
のヱホバかくいひたまふ
我
われ
アマレクがイスラエルになせし
事
こと
すなはちエジプトよりのぼれる
時
とき
其
その
途󠄃
みち
を
遮󠄄
さへぎ
りしをかへりみる
3
今
いま
ゆきてアマレクを
擊
う
ち
其
その
有
もて
る
物
もの
をことごとく
滅
ほろぼ
しつくし
彼
かれ
らを
憐
あはれ
むなかれ
男
をとこ
女
をんな
童稚
をさなご
哺乳󠄃兒
ちのみご
牛
うし
羊
ひつじ
駱駝
らくだ
驢馬
ろば
を
皆
みな
殺
ころ
せ
4
サウル
民
たみ
をよびあつめてこれをテライムに
核
かぞ
ふ
步兵
ほへい
二十
萬
まん
ユダの
人
ひと
一
萬
まん
あり
5
しかしてサウル、アマレクの
邑
まち
にいたりて
谷
たに
に
兵
へい
を
伏
ふせ
たり
6
サウル、ケニ
人
びと
にいひけるは
汝
なんぢ
らゆきてさりアマレク
人
びと
をはなれくだるべし
恐
おそ
らくはかれらとともに
汝
なんぢ
らをほろぼすにいたらんイスラエルの
子孫
ひと〴〵
のエジプトよりのぼれる
時
とき
汝
なんぢ
らこれに
恩
めぐ
みをほどこしたりと
即
すなは
ちケニ
人
びと
アマレク
人
びと
をはなれてさりぬ
〘403㌻〙
7
サウル、アマレク
人
びと
をうちてハビラよりエジプトの
東面
まへ
なるシユルにいたる
8
サウル、アマレク
人
びと
の
王
わう
アガグを
生
いけ
擒
ど
り
刃󠄃
やいば
をもて
其
その
民
たみ
をことごとくほろぼせり
527㌻
9
然
しかれ
ども、サウルと
民
たみ
アガグをゆるしまた
羊
ひつじ
と
牛
うし
の
最
もつと
も
嘉
よ
きもの
及
およ
び
肥
こえ
たる
物
もの
並
ならび
に
羔
こひつじ
と
凡
すべ
て
善
よ
き
物
もの
を
殘
のこ
して
之
これ
をほろぼしつくすをこのまず
但
たゞ
惡
あし
き
弱󠄃
よわ
き
物
もの
をほろぼしつくせり
10
時
とき
にヱホバの
言
ことば
サムエルにのぞみていはく
11
我
われ
サウルを
王
わう
となせしを
悔
く
ゆ
其
そ
は
彼
かれ
背
そむ
きて
我
われ
にしたがはずわが
命
めい
をおこなはざればなりとサムエル
憂
うれへ
て
終󠄃夜
よもすがら
ヱホバによばはれり
12
かくてサムエル、サウルにあはんとて
夙
はや
く
起󠄃
お
きけるにサムエルにつぐるものありていふサウル、カルメルにいたり
勝󠄃利
しやうり
の
表
しるし
を
立
た
て
轉
まは
り
進󠄃
すゝ
みてギルガルにくだれりと
13
サムエル、サウルの
許
もと
に
至
いた
りければサウルこれにいひけるは
汝
なんぢ
がヱホバより
福祉
さいはひ
を
得
え
んことをねがふ
我
われ
ヱホバの
命
めい
を
行
おこな
へりと
14
サムエルいひけるは
然
しか
らばわが
耳
みゝ
にいる
此
この
羊
ひつじ
の
聲
こゑ
およびわがきく
牛
うし
のこゑは
何
なん
ぞや
15
サウルいひけるは
人々
ひと〴〵
これをアマレク
人
びと
のところより
引
ひ
ききたれり
其
そ
は
民
たみ
汝
なんぢ
の
神
かみ
ヱホバにささげんために
羊
ひつじ
と
牛
うし
の
最
もつと
も
嘉
よ
きものをのこせばなり
其
その
ほかは
我
われ
らほろぼしつくせり
16
サムエル、サウルにいけるは
止
とゞ
まれ
昨夜
さくや
ヱホバの
我
われ
にかたりたまひしことを
汝
なんぢ
につげんサウルいひけるはいへ
17
サムエルいひけるはさきに
汝
なんぢ
が
微
ちひさ
き
者
もの
とみづから
憶
おも
へる
時
とき
に
爾
なんぢ
イスラエルの
支派
わかれ
の
長
かしら
となりしに
非
あら
ずや
即
すなは
ちヱホバ
汝
なんぢ
に
膏
あぶら
を
注
そゝ
いでイスラエルの
王
わう
となせり
18
ヱホバ
汝
なんぢ
を
途󠄃
みち
に
遣󠄃
つか
はしていひたまはく
徃
ゆき
て
惡人
あくにん
なるアマレク
人
びと
をほろぼし
其
その
盡
つく
るまで
戰
たゝか
へよと
19
何故
なにゆゑ
に
汝
なんぢ
ヱホバの
言
ことば
をきかずして
敵
てき
の
所󠄃有物
もの
にはせかかりヱホバの
目
め
のまへに
惡
あく
をなせしや
20
サウル、サムエルにひけるは
我
われ
誠
まこと
にヱホバの
言
ことば
にしたがひてヱホバのつかはしたまふ
途󠄃
みち
にゆきアマレクの
王
わう
アガグを
執
とり
きたりアマレクをほろぼしつくせり
21
ただ
民
たみ
其
その
ほろぼしつくすべき
物
もの
の
最初
はつ
としてギルガルにて
汝
なんぢ
の
神
かみ
ヱホバにささげんとて
敵
てき
の
物
もの
の
中
うち
より
羊
ひつじ
と
牛
うし
をとれり
22
サムエルいひけるはヱホバはその
言
ことば
にしたがふ
事
こと
を
善
よみ
したまふごとく
燔祭
はんさい
と
犧牲
いけにへ
を
善
よみ
したまふや
夫
そ
れ
順
したが
ふ
事
こと
は
犧牲
いけにへ
にまさり
聽
き
く
事
こと
は
牡羔
をひつじ
の
脂
あぶら
にまさるなり
528㌻
23
其
そ
は
違󠄇逆󠄃
そむくこと
は
魔󠄃術
まじゆつ
の
罪
つみ
のごとく
抗戻
さからふこと
は
虛
むな
しき
物
もの
につかふる
如
ごと
く
偶像
ぐうざう
につかふるがごとし
汝
なんぢ
ヱホバの
言
ことば
を
棄
すて
たるによりヱホバもまた
汝
なんぢ
をすてて
王
わう
たらざらしめたまふ
〘404㌻〙
24
サウル、サムエルにいひけるに
我
われ
ヱホバの
命
めい
と
汝
なんぢ
の
言
ことば
をやぶりて
罪
つみ
ををかしたり
是
こ
は
民
たみ
をおそれて
其
その
言
ことば
にしたがひたるによりてなり
25
されば
今
いま
ねがはくはわがつみをゆるし
我
われ
とともにかへりて
我
われ
をしてヱホバを
拜
はい
することをえさしめよ
26
サムエル、サウルにいひけるは
我
われ
汝
なんぢ
とともにかへらじ
汝
なんぢ
ヱホバの
言
ことば
を
棄
すて
たるによりヱホバ
汝
なんぢ
をすててイスラエルに
王
わう
たらしめたまはざればなり
27
サムエル
去
さ
らんとて
振
ふり
還󠄃
かへり
しときサウルその
明衣
うはぎ
の
裾
すそ
を
捉
とら
へしかば
裂
さけ
たり
28
サムエルかれにいひけるは
今日
けふ
ヱホバ、イスラエルの
國
くに
を
裂
さき
て
汝
なんぢ
よりはなし
汝
なんぢ
の
隣
となり
なる
汝
なんぢ
より
善
よ
きものにこれをあたへたまふ
29
またイスラエルの
能力
ちから
たる
者
もの
は
謊
いつは
らず
悔
くい
ず
其
そ
はかれは
人
ひと
にあらざればくゆることなし
30
サウルいひけるは
我
われ
罪
つみ
ををかしたれどねがはくはわが
民
たみ
の
長老
としより
のまへおよびイスラエルのまへにて
我
われ
をたふとみて
我
われ
とともにかへり
我
われ
をして
汝
なんぢ
の
神
かみ
ヱホバを
拜
をが
むことをえさしめよ
31
ここにおいてサムエル、サウルにしたがひてかへるしかしてサウル、ヱホバを
拜
をが
む
32
時
とき
にサムエルいひけるは
汝
なんぢ
らわが
許
もと
にアマレクの
王
わう
アガグをひききたれとアガグ
喜
よろこ
ばしげにサムエルの
許
もと
にきたりアガグいひけるは
死
し
の
苦
くるし
みは
必
かなら
ず
過󠄃
すぎ
さりぬ
33
サムエルいひけるに
汝
なんぢ
の
劍
つるぎ
はおほくの
婦󠄃人
をんな
を
子
こ
なき
者
もの
となせりかくのごとく
汝
なんぢ
の
母
はゝ
は
婦󠄃人
をんな
の
中
うち
の
最
もつと
も
子
こ
なき
者
もの
となるべしとサムエル、ギルガルにてヱホバのまへにおいてアガグを
斬
きれ
り
529㌻
34
かくてサムエルはラマにゆきサウルはサウルのギベアにのぼりてその
家
いへ
にいたる
35
サムエル
其
その
しぬる
日
ひ
までふたゝびきたりてサウルをみざりきしかれどもサムエル、サウルのためにかなしめりまたヱホバはサウルをイスラエルの
王
わう
となせしを
悔
くい
たまへり
第16章
1
爰
こゝ
にヱホバ、サムエルにいひたまひけるは
我
われ
すでにサウルを
棄
すて
てイスラエルに
王
わう
たらしめざるに
汝
なんぢ
いつまでかれのために
歎
なげ
くや
汝
なんぢ
の
角
つの
に
膏油
あぶら
を
滿
みた
してゆけ
我
われ
汝
なんぢ
をベテレヘム
人
びと
ヱサイの
許
もと
につかはさん
其
そ
は
我
われ
其
その
子
こ
の
中
うち
にひとりの
王
わう
を
尋󠄃
たづ
ねえたればなり
2
サムエルいひけるは
我
われ
いかで
徃
ゆ
くことをえんサウル
聞
きい
て
我
われ
をころさんヱホバいひたまひけるは
汝
なんぢ
一犢
こうし
を
携
たづさ
へゆきて
言
い
へヱホバに
犧牲
いけにへ
をささげんために
來
きた
ると
3
しかしてヱサイを
犧牲
いけにへ
の
場
ば
によべ
我
われ
汝
なんぢ
が
爲
な
すべき
事
こと
をしめさん
我
わが
汝
なんぢ
に
吿
つぐ
るところの
人
ひと
に
膏
あぶら
をそそぐ
可
べ
し
4
サムエル、ヱホバの
語
いひ
たまひしごとくなしてベテレヘムにいたる
邑
まち
の
長老
としより
おそれて
之
これ
をむかへいひけるは
汝
なんぢ
平󠄃康
おだやか
なる
事
こと
のためにきたるや
〘405㌻〙
5
サムエルいひけるは
平󠄃康
おだやか
なることのためなり
我
われ
はヱホバに
犧牲
いけにへ
をささげんとてきたる
汝
なんぢ
ら
身
み
をきよめて
我
われ
とともに
犧牲
いけにへ
の
場
ば
にきたれと
斯
かく
てヱサイと
其
その
諸子
こどもら
を
潔󠄄
きよ
めて
犧牲
いけにへ
の
場
ば
によびきたる
6
かれらが
至
いた
れる
時
とき
サムエル、エリアブを
見
み
ておもへらくヱホバの
膏
あぶら
そそぐものは
必
かなら
ず
此人
このひと
ならんと
7
しかるにヱホバ、サムエルにいひたまひけるは
其
その
容貌
かたち
と
身
みの
長
たけ
を
觀
み
るなかれ
我
われ
すでにかれをすてたりわが
視
み
るところは
人
ひと
に
異
こと
なり
人
ひと
は
外
そと
の
貌
かたち
を
見
み
ヱホバは
心
こゝろ
をみるなり
8
ヱサイ、ヘアビナダブをよびてサムエルのまへを
過󠄃
すぎ
しむサムエルいひけるは
此人
このひと
もまたヱホバ
擇
えら
みたまはず
9
ヱサイ、シヤンマを
過󠄃
すぎ
しむサムエルいひけるは
此人
このひと
もまたヱホバえらみたまはず
530㌻
10
ヱサイ
其
その
七
人
にん
の
子
こ
をしてサムエルの
前󠄃
まへ
をすぎしむサムエル、ヱサイにいふヱホバ
是等
これら
をえらみたまはず
11
サムエル、ヱサイにいひけるは
汝
なんぢ
の
男子
むすこ
は
皆
みな
此
こゝ
にをるやヱサイいひけるは
尙
なほ
季子
すゑのこ
のこれり
彼
かれ
は
羊
ひつじ
を
牧
かひ
をるなりとサムエル、ヱサイにいひけるは
彼
かれ
を
迎󠄃
むか
へきたらしめよかれが
此
こゝ
にいたるまでは
我
われ
ら
食󠄃
しよく
に
就
つ
かざるべし
12
是
こゝ
において
人
ひと
をつかはしてかれをつれきたらしむ
其人
そのひと
色
いろ
赤
あか
く
目
め
美
うるは
しくして
其
その
貌
かたち
麗
うつく
しヱホバいひたまひけるは
起󠄃
たち
てこれにあぶらを
沃
そゝ
げ
是
これ
其人
そのひと
なり
13
サムエル
膏
あぶら
の
角
つの
をとりて
其
その
兄弟
きやうだい
の
中
なか
にてこれに
膏
あぶら
をそそげり
此
この
日
ひ
よりのちヱホバの
靈
みたま
ダビデにのぞむサムエルはたちてラマにゆけり
14
かくてヱホバの
靈
みたま
サウルをはなれヱホバより
來
きた
る
惡
あく
鬼
き
これを
惱
なやま
せり
15
サウルの
臣僕
しもべ
これにいひけるは
視
み
よ
神
かみ
より
來
きた
れる
惡
あく
鬼
き
汝
なんぢ
をなやます
16
ねがはくはわれらの
主
しゆ
汝
なんぢ
のまへにつかふる
臣僕
しもべ
に
命
めい
じて
善
よ
く
琴
こと
を
鼓
ひ
く
者
もの
一人
ひとり
を
求
もと
めしめよ
神
かみ
よりきたれる
惡
あく
鬼
き
汝
なんぢ
に
臨
のぞ
む
時
とき
彼
かれ
手
て
をもて
琴
こと
を
鼓
ひい
て
汝
なんぢ
いゆることをえん
17
サウル
臣僕
しもべ
にいひけるはわがために
巧
たくみ
に
鼓琴
ことひく
者
もの
をたづねてわがもとにつれきたれ
18
時
とき
に
一人
ひとり
の
少者
わかもの
こたへていひけるは
我
われ
ベテレヘム
人
びと
ヱサイの
子
こ
を
見
み
しが
琴
こと
に
巧
たくみ
にしてまた
豪氣
たけく
して
善
よ
くたたかふ
辯舌
ことば
さはやかなる
美
うるは
しき
人
ひと
なりかつヱホバこれとともにいます
19
サウルすなはち
使者
つかひ
をヱサイにつかはしていひけるは
羊
ひつじ
をかふ
汝
なんぢ
の
子
こ
ダビデをわがもとに
遣󠄃
つか
はせと
20
ヱサイすなはち
驢馬
ろば
にパンを
負󠄅
おは
せ
一
ひと
嚢
ふくろ
の
酒
さけ
と
山羊
やぎ
の
羔
こ
を
執
と
りてこれを
其
その
子
こ
ダビデの
手
て
によりてサウルにおくれり
〘406㌻〙
21
ダビデ、サウルの
許
もと
にいたりて
其
その
まへに
事
つか
ふサウル
大
おほい
にこれを
愛
あい
し
其
その
武器
ぶき
を
執
と
る
者
もの
となす
22
サウル
人
ひと
をヱサイにつかはしていひけるはねがはくはダビデをしてわが
前󠄃
まへ
に
事
つか
へしめよ
彼
かれ
はわが
心
こゝろ
にかなへりと
531㌻
23
神
かみ
より
出
いで
たる
惡
あく
鬼
き
サウルに
臨
のぞ
めるときダビデ
琴
こと
を
執
と
り
手
て
をもてこれを
彈
ひく
にサウル
慰
なぐ
さみて
愈
い
え
惡
あく
鬼
き
かれをはなる
第17章
1
爰
こゝ
にペリシテ
人
びと
其
その
軍
ぐん
を
集
あつ
めて
戰
たゝか
はんとしユダに
屬
ぞく
するシヨコにあつまりシヨコとアゼカの
間
あひだ
なるバスダミムに
陣
ぢん
をとる
2
サウルとイスラエルの
人々
ひと〴〵
集
あつ
まりてエラの
谷
たに
に
陣
ぢん
をとりペリシテ
人
びと
にむかひて
軍
いくさ
の
陣列
そなへ
をたつ
3
ペリシテ
人
びと
は
此方
こなた
の
山
やま
にたちイスラエルは
彼方
かなた
の
山
やま
にたつ
谷
たに
は
其
その
あひだにあり
4
時
とき
にペリシテ
人
びと
の
陣
ぢん
よりガテのゴリアテと
名
なづ
くる
挑戰
たたかひをいどむ
者
もの
いできたる
其
その
身
み
の
長
たけ
六キユビト
半󠄃
はん
5
首
かうべ
に
銅
あかがね
の
盔
かぶと
を
戴
いただ
き
身
み
に
鱗綴
うろことぢ
の
鎧甲
よろひ
を
着
き
たり
其
その
よろひの
銅
あかがね
のおもさは五
千
せん
シケルなり
6
また
脛
あし
には
銅
あかがね
の
脛
すね
當
あて
を
着
つ
け
肩
かた
の
間
あひだ
に
銅
あかがね
の
矛戟
ほこ
を
負󠄅
お
ふ
7
其
その
槍
やり
の
柄
え
は
機
はた
の
梁
はり
のごとく
槍
やり
の
鋒刃󠄃
ほ
の
鐵
てつ
は六
百
ぴやく
シケルなり
楯
たて
を
執
と
る
者
もの
其
その
前󠄃
まへ
にゆく
8
ゴリアテ
立
たち
てイスラエルの
諸行伍
そなへぞなへ
によばはり
云
いひ
けるは
汝
なんぢ
らはなんぞ
陣列
そなへ
をなして
出
いで
きたるや
我
われ
はペリシテ
人
びと
にして
汝
なんぢ
らはサウルの
臣下
しもべ
にあらずや
汝
なんぢ
ら
一人
ひとり
をえらみて
我
わが
ところにくだせ
9
其人
そのひと
もし
我
われ
とたたかひて
我
われ
をころすことをえば
我
われ
ら
汝
なんぢ
らの
臣僕
しもべ
とならんされど
若
も
し
我
われ
かちてこれを
殺
ころ
さば
汝
なんぢ
ら
我
われ
らの
僕
しもべ
となりて
我
われ
らに
事
つか
ふ
可
べ
し
10
かくて
此
この
ペリシテ
人
びと
いひけるは
我
われ
今日
こんにち
イスラエルの
諸行伍
そなへぞなへ
を
挑
いど
む
一人
ひとり
をいだして
我
われ
と
戰
たゝか
はしめよと
11
サウルおよびイスラエルみなペリシテ
人
びと
のこの
言
ことば
を
聞
き
き
驚
おどろ
きて
大
おほい
に
懼
おそ
れたり
12
抑
そも〳〵
ダビデはかのベテレヘムユダのエフラタ
人
びと
ヱサイとなづくる
者
もの
の
子
こ
なり
此人
このひと
八
人
にん
の
子
こ
ありしがサウルの
世
よ
には
年邁
としすす
みてすでに
老
おい
たり
13
ヱサイの
長子
しやうし
三
人
にん
ゆきてサウルにしたがひて
戰爭
いくさ
にいづ
其
その
戰
いくさ
にいでし三
人
にん
の
子
こ
の
名
な
は
長
あに
をエリアブといひ
次
つぎ
をアビナダブといひ
第
だい
三をシヤンマといふ
14
ダビデは
季子
すゑのこ
にして
其
その
兄
あに
三
人
にん
はサウルにしたがへり
532㌻
15
ダビデはサウルに
徃來
ゆきき
してベテレヘムにて
其
その
父󠄃
ちゝ
の
羊
ひつじ
を
牧
か
ふ
16
彼
かの
ペリシテ
人
びと
四十
日
にち
のあひだ
朝󠄃夕
あさゆふ
近󠄃
ちか
づきて
前󠄃
まへ
にたてり
17
時
とき
にヱサイ
其
その
子
こ
ダビデにいひけるは
今
いま
汝
なんぢ
の
兄
あに
のために
此
この
烘麥
やきむぎ
一
斗
と
と
此
この
十
とを
のパンを
取
と
りて
陣
ぢん
營
えい
にをる
兄
あに
のところにいそぎゆけ
18
また
此
この
十
とを
の
乾酪
かんらく
をとりて
其
その
千夫
せんにん
の
長
かしら
におくり
兄
あに
の
安否
あんぴ
を
視
み
て
其
その
返󠄄
かへり
事
ごと
をもちきたれと
〘407㌻〙
19
サウルと
彼等
かれら
およびイスラエルの
人
ひと
は
皆
みな
ペリシテ
人
びと
とたたかひてエラの
谷
たに
にありき
20
ダビデ
朝󠄃
あさ
夙
はや
くおきて
羊
ひつじ
をひとりの
牧者
ぼくしや
にあづけヱサイの
命
めい
ぜしごとく
携
たづさ
へゆきて
車
くるま
營
がこひ
にいたるに
軍勢
ぐんぜい
いでて
行伍
そなへ
をなし
鯨波
ときのこゑ
をあげたり
21
しかしてイスラエルとペリシテ
人
びと
陣列
そなへ
をたてて
行伍
そなへ
を
行伍
そなへ
に
相
あひ
むかはせたり
22
ダビデ
其
その
荷
に
をおろして
荷
に
をまもる
者
もの
の
手
て
にわたし
行伍
そなへ
の
中
うち
にはせゆきて
兄
あに
の
安否
あんぴ
を
問
と
ふ
23
ダビデ
彼等
かれら
と
俱
とも
に
語
かた
れる
時
とき
視
み
よペリシテ
人
びと
の
行伍
そなへ
よりガテのペリシテのゴリアテとなづくる
彼
か
の
挑戰
たたかひをいどむ
者
もの
のぼりきたり
前󠄃
さき
のことばのごとく
言
いひ
しかばダビデ
之
これ
を
聞
き
けり
24
イスラエルの
人
ひと
其人
そのひと
を
見
み
て
皆
みな
逃󠄄
にげ
て
之
これ
をはなれ
痛
いた
く
懼
おそ
れたり
25
イスラエルの
人
ひと
いひけるは
汝
なんぢ
らこののぼり
來
きた
る
人
ひと
を
見
み
しや
誠
まこと
にイスラエルを
挑
いどま
んとて
上
のぼ
りきたるなり
彼
かれ
をころす
人
ひと
は
王
わう
大
おほい
なる
富
とみ
を
以
も
てこれをとまし
其
その
女子
むすめ
をこれにあたへて
其
その
父󠄃
ちゝ
の
家
いへ
にはイスラエルの
中
うち
にて
租税
そぜい
をまぬかれしめん
26
ダビデ
其
その
傍
かたはら
にたてる
人々
ひと〴〵
にかたりていひけるは
此
この
ペリシテ
人
びと
をころしイスラエルの
耻辱
はぢ
を
雪󠄃
すゝ
ぐ
人
ひと
には
如何
いか
なることをなすや
此
この
割󠄅禮
かつれい
なきペリシテ
人
びと
は
誰
たれ
なればか
活
いけ
る
神
かみ
の
軍
ぐん
を
搦
いど
む
27
民
たみ
まへのごとく
答
こた
へていひけるはかれを
殺
ころ
す
人
ひと
には
斯
かく
のごとくせらるべしと
28
兄
あに
エリアブ、ダビデが
人々
ひと〴〵
とかたるを
聞
きゝ
しかばエリアブ、ダビデにむかひて
怒
いか
りを
發
はつ
しいひけるは
汝
なんぢ
なにのために
此
こゝ
に
下
くだ
りしや
彼
か
の
野
の
にあるわづかの
羊
ひつじ
を
誰
たれ
にあづけしや
我
われ
汝
なんぢ
の
傲慢
ほこり
と
惡
あし
き
心
こゝろ
を
知
し
る
其
そ
は
汝
なんぢ
戰爭
いくさ
を
見
み
んとて
下
くだ
ればなり
533㌻
29
ダビデいひけるは
我
われ
今
いま
なにをなしたるや
只
たゞ
一言
ひとこと
にあらずやと
30
又󠄂
また
ふりむきて
他
ほか
の
人
ひと
にむかひ
前󠄃
まへ
のごとく
語
かた
れるに
民
たみ
まへのごとく
答
こたへ
たり
31
人々
ひと〴〵
ダビデが
語
かた
れる
言
ことば
をききてこれをサウルのまへにつげければサウルかれを
召
め
す
32
ダビデ、サウルにいひけるは
人々
ひと〴〵
かれがために
氣
き
をおとすべからず
僕
しもべ
ゆきてかのペリシテ
人
びと
とたたかはん
33
サウル、ダビデにいひけるは
汝
なんぢ
はかのペリシテ
人
びと
をむかへてたたかふに
勝󠄃
たへ
ず
其
そ
は
汝
なんぢ
は
少年
わかきもの
なるにかれは
若
わか
き
時
とき
よりの
戰
いくさ
士
びと
なればなり
34
ダビデ、サウルにいひけるは
僕
しもべ
さきに
父󠄃
ちゝ
の
羊
ひつじ
を
牧
かへ
るに
獅子
しゝ
と
熊
くま
と
來
きた
りて
其
その
群
むれ
の
羔
つつが
を
取
とり
たれば
35
其
その
後
あと
をおひて
之
これ
を
搏
う
ち
羔
こひつじ
を
其
その
口
くち
より
援
すく
ひいだせりしかして
其
その
獸
けもの
我
われ
に
猛
たけ
りかかりたれば
其
その
鬚
ひげ
をとらへてこれを
擊
う
ちころせり
36
僕
しもべ
は
旣
すで
に
獅子
しゝ
と
熊
くま
とを
殺
ころ
せり
此
この
割󠄅禮
かつれい
なきペリシテ
人
びと
活
いけ
る
神
かみ
の
軍
ぐん
をいどみたれば
亦
また
かの
獸
けもの
の
一
ひとつ
のごとくなるべし
〘408㌻〙
37
ダビデまたいひけるはヱホバ
我
われ
を
獅子
しゝ
の
爪
つめ
と
熊
くま
の
爪
つめ
より
援
すく
ひいだしたまひたれば
此
この
ペリシテ
人
びと
の
手
て
よりも
援
すく
ひいだしたまはんとサウル、ダビデにいふ
徃
ゆ
けねがはくはヱホバ
汝
なんぢ
とともにいませ
38
是
こゝ
においてサウルおのれの
戎
いくさ
衣
ごろも
をダビデに
衣
き
せ
銅
あかがね
の
盔
かぶと
を
其
その
首
かうべ
にかむらせ
亦
また
鱗綴
うろことぢ
の
鎧
よろひ
をこれにきせたり
39
ダビデ
戎
いくさ
衣
ごろも
のうへに
劍
かたな
を
佩
おび
て
徃
ゆ
かんことを
試
こゝろ
む
未
いま
だ
驗
ため
せしことなければなりしかしてダビデ、サウルにいひけるは
我
われ
いまだ
驗
ため
せしことなければ
是
これ
を
衣
き
ては
徃
ゆ
くあたはずと
40
ダビデこれを
脱
ぬ
ぎすて
手
て
に
杖
つゑ
をとり
谿間
たにま
より
五
いつつ
の
光滑
なめらか
なる
石
いし
を
拾
ひろ
ひて
之
これ
を
其
その
持
も
てる
牧羊者
ひつじかひ
の
具󠄄
ぐ
なる
袋
ふくろ
に
容
い
れ
手
て
に
投石索
いしなげ
を
執
と
りて
彼
かの
ペリシテ
人
びと
にちかづく
41
ペリシテ
人
びと
進󠄃
すゝ
みきてダビデに
近󠄃
ちか
づけり
楯
たて
を
執
と
るもの
其
その
まへにあり
534㌻
42
ペリシテ
人
びと
環視
みまはし
てダビデを
見
み
て
之
これ
を
藐視
あなど
る
其
そ
は
少
わか
くして
赤
あか
くまた
美
うるは
しき
貌
かたち
なればなり
43
ペリシテ
人
びと
ダビデにいひけるは
汝
なんぢ
杖
つゑ
を
持
もち
てきたる
我
われ
豈
あに
犬
いぬ
ならんやとペリシテ
人
びと
其
その
神
かみ
の
名
な
をもってダビデを
呪詛
のろ
ふ
44
しかしてペリシテ
人
びと
ダビデにいひけるは
我
わ
がもとに
來
きた
れ
汝
なんぢ
の
肉
にく
を
空󠄃
そら
の
鳥
とり
と
野
の
の
獸
けもの
にあたへんと
45
ダビデ、ペリシテ
人
びと
にいひけるは
汝
なんぢ
は
劍
かたな
と
槍
やり
と
矛戟
ほこ
をもて
我
われ
にきたる
然
され
ど
我
われ
は
萬軍
ばんぐん
のヱホバの
名
な
すなはち
汝
なんぢ
が
搦
いど
みたるイスラエルの
軍
ぐん
の
神
かみ
の
名
な
をもて
汝
なんぢ
にゆく
46
今日
けふ
ヱホバ
汝
なんぢ
をわが
手
て
に
付
わた
したまはんわれ
汝
なんぢ
をうちて
汝
なんぢ
の
首級
くび
を
取
と
りペリシテ
人
びと
の
軍勢
ぐんぜい
の
尸體
しかばね
を
今日
けふ
空󠄃
そら
の
鳥
とり
と
地
ち
の
野
の
獸
けもの
にあたへて
全󠄃地
ぜんち
をしてイスラエルに
神
かみ
あることをしらしめん
47
且
かつ
又󠄂
また
この
群衆
ぐんしう
みなヱホバは
救
すく
ふに
劍
かたな
と
槍
やり
を
用
もち
ひたまはざることをしるにいたらん
其
そ
は
戰
たゝかひ
はヱホバによれば
汝
なんぢ
らを
我
われ
らの
手
て
にわたしたまはんと
48
ペリシテ
人
びと
すなはち
立
たち
あがり
進󠄃
すゝ
みちかづきてダビデをむかへしかばダビデいそぎ
陣
ぢん
にはせゆきてペリシテ
人
びと
をむかふ
49
ダビデ
手
て
を
嚢
ふくろ
にいれて
其
その
中
うち
より一つの
石
いし
をとり
投
なげ
てペリシテ
人
びと
の
顙
ひたひ
を
擊
うち
ければ
石
いし
其
その
顙
ひたひ
に
突
つ
きいりて
俯伏
うちぶせ
に
地
ち
にたふれたり
50
かくダビデ
投石索
いしなげ
と
石
いし
をもてペリシテ
人
びと
にかちペリシテ
人
びと
をうちて
之
これ
をころせり
然
され
どダビデの
手
て
には
劍
かたな
なかりしかば
51
ダビデはしりてペリシテ
人
びと
の
上
うへ
にのり
其
その
劍
かたな
を
取
とり
て
之
これ
を
鞘
さや
より
拔
ぬ
きはなしこれをもて
彼
かれ
をころし
其
その
首級
くび
を
斬
き
りたり
爰
こゝ
にペリシテの
人々
ひと〴〵
其
その
勇士
ゆうし
の
死
しぬ
るを
見
み
てにげしかば
52
イスラエルとユダの
人
ひと
おこり
喊呼
とき
をあげてペリシテ
人
びと
をおひガテの
入
いり
口
くち
およびエクロンの
門
もん
にいたるペリシテ
人
びと
の
負󠄅傷人
ておひ
シヤライムの
路
みち
に
仆
たふ
れてガテおよびエクロンにおよぶ
〘409㌻〙
53
イスラエルの
子孫
ひと〴〵
ペリシテ
人
びと
をおふてかへり
其
その
陣
ぢん
を
掠
かす
む
54
ダビデかのペリシテ
人
びと
の
首
くび
を
取
と
りて
之
これ
をエルサレムにたづさへきたりしが
其
その
甲冑
かつちう
はおのれの
天
てん
幕
まく
におけり
55
サウル、ダビデがペリシテ
人
びと
にむかひて
出
いづ
るを
見
み
て
軍長
ぐんのかしら
アブネルにいひけるはアブネル
此
この
少者
わかきもの
はたれの
子
こ
なるやアブネルいひけるは
王
わう
汝
なんぢ
の
靈魂
たましひ
は
生
い
くわれしらざるなり
535㌻
56
王
わう
いひけるはこの
少年
せうねん
はたれの
子
こ
なるかを
尋󠄃
たづ
ねよ
57
ダビデかのペリシテ
人
びと
を
殺
ころ
してかへれる
時
とき
アブネルこれをひきて
其
その
ペリシテ
人
びと
の
首級
くび
を
手
て
にもてるままサウルのまへにつれゆきければ
58
サウルかれにいひけるは
若
わか
き
人
ひと
よ
汝
なんぢ
はたれの
子
こ
なるやダビデこたへけるは
汝
なんぢ
の
僕
しもべ
ベテレヘム
人
びと
ヱサイの
子
こ
なり
第18章
1
ダビデ、サウルにかたることを
終󠄃
をへ
しときヨナタンの
心
こゝろ
ダビデの
心
こゝろ
にむすびつきてヨナタンおのれの
命
いのち
のごとくダビデを
愛
あい
せり
2
此
この
日
ひ
サウル、ダビデをかかへて
父󠄃
ちゝ
の
家
いへ
にかへらしめず
3
ヨナタンおのれの
命
いのち
のごとくダビデを
愛
あい
せしかばヨナタンとダビデ
契󠄅約
けいやく
をむすべり
4
ヨナタンおのれの
衣
き
たる
明衣
うはぎ
を
脱
ぬぎ
てダビデにあたふ
其
その
戎衣
いくさごろも
および
其
その
刀
かたな
も
弓
ゆみ
も
帶
おび
もまたしかせり
5
ダビデは
凡
すべ
てサウルが
遣󠄃
つか
はすところにいでゆきて
功
こう
をあらはしければサウルかれを
兵隊
つはもの
の
長
かしら
となせりしかしてダビデ
民
たみ
の
心
こゝろ
にかなひ
又󠄂
また
サウルの
僕
しもべ
の
心
こゝろ
にもかなふ
6
衆人
ひと〴〵
かへりきたれる
時
とき
すなはちダビデ、ペリシテ
人
びと
をころして
還󠄃
かへ
れる
時
とき
婦󠄃女
をんな
イスラエルの
邑々
まち〳〵
よりいできたり
鼗
つづみ
と
祝
いはひ
歌
うた
と
磬
けい
をもちて
歌
うた
ひまひつつサウル
王
わう
を
迎󠄃
むか
ふ
7
婦󠄃人
をんな
踴躍󠄃
をどり
つつ
相
あひ
こたへて
歌
うた
ひけるはサウルは
千
せん
をうち
殺
ころ
しダビデは
萬
まん
をうちころすと
8
サウル
甚
はなは
だ
怒
いか
りこの
言
ことば
をよろこばずしていひけるは
萬
まん
をダビデに
歸
き
し
千
せん
をわれに
歸
き
す
此
この
上
うへ
かれにあたふべき
者
もの
は
唯
たゞ
國
くに
のみと
9
サウルこの
日
ひ
より
後
のち
ダビデを
目
め
がけたり
10
次
つぎ
の
日
ひ
神
かみ
より
出
いで
たる
惡
あく
鬼
き
サウルにのぞみてサウル
家
いへ
のなかにて
預言
よげん
したりしかばダビデ
故
もと
のごとく
手
て
をもつて
琴
こと
をひけり
時
とき
にサウルの
手
て
に
投
なげ
槍
やり
ありければ
11
サウル
我
われ
ダビデを
壁
かべ
に
刺
さし
とほさんといひて
其
その
投
なげ
槍
やり
をさしあげしがダビデ
二度
ふたゝび
身
み
をかはしてサウルをさけたり
536㌻
12
ヱホバ、サウルをはなれてダビデと
共
とも
にいますによりてサウル
彼
かれ
をおそれたり
〘410㌻〙
13
是故
このゆえ
にサウル
彼
かれ
を
遠󠄄
とほ
ざけて
千夫
せんにんの
長
かしら
となせりダビデすなはち
民
たみ
のまへに
出
で
入
いり
す
14
またダビデすべて
其
その
ゆくところにて
功
こう
をあらはし
且
かつ
ヱホバかれとともにいませり
15
サウル、ダビデが
大
おほい
に
功
こう
をあらはすをみてこれを
恐
おそ
れたり
16
しかれどもイスラエルとユダの
人
ひと
はみなダビデを
愛
あい
せり
彼
かれ
が
其
その
前󠄃
まへ
に
出
で
入
いり
するによりてなり
17
サウル、ダビデにいひけるはわれわが
長女
あねむすめ
メラブを
汝
なんぢ
に
妻
めあは
さん
汝
なんぢ
ただわがために
勇
いさ
みヱホバの
軍
いくさ
に
戰
たゝか
ふべしと
其
そ
はサウルわが
手
て
にてかれを
殺
ころ
さでペリシテ
人
びと
の
手
て
にてころさんとおもひたればなり
18
ダビデ、サウルにいひけるは
我
われ
は
誰
たれ
ぞわが
命
いのち
はなんぞわが
父󠄃
ちゝ
の
家
いへ
はイスラエルにおいて
何
いか
なる
者
もの
ぞや
我
われ
いかでか
王
わう
の
婿
むこ
となるべけんと
19
然
しか
るにサウルの
女子
むすめ
メラブはダビデに
嫁
とつ
ぐべき
時
とき
におよびてメホラ
人
びと
アデリエルに
妻
めあは
されたり
20
サウルの
女
むすめ
ミカル、ダビデを
愛
あい
す
人
ひと
これを
王
わう
に
吿
つげ
ければサウル
其
その
事
こと
を
善
よ
しとせり
21
サウルいひけるは
我
われ
ミカルをかれにあたへて
彼
かれ
を
謀
はか
る
手段
てだて
となしペリシテ
人
びと
の
手
て
にてかれを
殺
ころ
さんといひてサウル、ダビデにいひけるは
汝
なんぢ
今日
こんにち
ふたゝびわが
婿
むこ
となるべし
22
かくてサウル
其
その
僕
しもべ
に
命
めい
じけるは
汝
なんぢ
ら
密
ひそか
にダビデにかたりて
言
い
へ
視
み
よ
王
わう
汝
なんぢ
を
悅
よろこ
び
王
わう
の
僕
しもべ
みな
汝
なんぢ
を
愛
あい
すされば
汝
なんぢ
王
わう
の
婿
むこ
となるべしと
23
サウルの
僕
しもべ
此
この
言
ことば
をダビデの
耳
みゝ
に
語
かた
りしかばダビデいひけるは
王
わう
の
婿
むこ
となること
汝
なんぢ
らの
目
め
には
易
やす
き
事
こと
とみゆるや
且
かつ
われは
貧󠄃
まづ
しく
賤
いや
しき
者
もの
なりと
24
サウルの
僕
しもべ
サウルにつげてダビデ
是
かく
の
如
ごと
くかたれりといへり
537㌻
25
サウルいひけるはなんぢらかくダビデにいへ
王
わう
は
聘禮
おくりもの
を
望󠄇
のぞ
まずただペリシテ
人
びと
の
陽
まへの
皮
かは
一
百
ひやく
をえて
王
わう
の
仇
あだ
をむくいんことを
望󠄇
のぞ
むと
是
こ
はサウル、ダビデをペリシテ
人
びと
の
手
て
に
殞沒
たふれ
しめんとおもへるなり
26
サウルの
僕
しもべ
此
この
言
ことば
をダビデにつげしかばダビデは
王
わう
の
婿
むこ
となることを
善
よし
とせり
斯
かく
て
其時
そのとき
いまだ
滿
みた
ざるあひだに
27
ダビデ
起󠄃
たち
て
其
その
從者
じふしや
とともにゆきペリシテ
人
びと
二百
人
にん
をころして
其
その
陽
まへの
皮
かは
をたづさへきたり
之
これ
を
悉
こと〴〵
く
王
わう
にささげて
王
わう
の
婿
むこ
とならんとすサウル
乃
すな
はち
其
その
女
むすめ
ミカルをダビデに
妻
めあは
せたり
28
サウル
見
み
てヱホバのダビデとともにいますを
知
し
りぬまたサウルの
女
むすめ
ミカルはダビデを
愛
あい
せり
29
サウルさらにますますダビデを
恐
おそ
れサウル
一生
いつしやう
のあひだダビデの
敵
てき
となれり
30
爰
こゝ
にペリシテ
人
びと
の
諸伯
きみたち
攻
せめ
きたりしがダビデかれらが
攻
せ
めきたるごとにサウルの
諸
もろ〳〵
の
臣僕
しもべ
よりは
多
おほく
の
功
こう
をたてしかば
其
その
名
な
はなはだ
尊󠄅
たふと
まる
〘411㌻〙
第19章
1
サウル
其
その
子
こ
ヨナタンおよび
諸
もろ〳〵
の
臣僕
しもべ
にダビデをころさんとすることを
語
かた
れり
2
されどサウルの
子
こ
ヨナタン
深
ふか
くダビデを
愛
あい
せしかばヨナタン、ダビデにつげていひけるはわが
父󠄃
ちゝ
サウル
汝
なんぢ
をころさんことを
求
もと
むこのゆゑに
今
いま
ねがはくは
汝
なんぢ
翌󠄃朝󠄃
あくるあさ
謹恪
つつしん
で
潜
ひそ
みをりて
身
み
を
隱
かく
せ
3
我
われ
いでゆきて
汝
なんぢ
がをる
野
の
にてわが
父󠄃
ちゝ
の
傍
かたはら
にたちわが
父󠄃
ちゝ
とともに
汝
なんぢ
の
事
こと
を
談
かたら
はんしかして
我
われ
其
その
事
こと
の
如何
いか
なるを
見
み
て
汝
なんぢ
に
吿
つ
ぐべし
4
ヨナタン
其
その
父󠄃
ちゝ
サウルに
向
むか
ひダビデを
褒揚
ほめ
ていひけるは
願
ねがは
くは
王
わう
其
その
僕
しもべ
ダビデにむかひて
罪
つみ
ををかすなかれ
彼
かれ
は
汝
なんぢ
に
罪
つみ
ををかさずまた
彼
かれ
が
汝
なんぢ
になす
行爲
わざ
ははなはだ
善
よ
し
5
またかれは
生命
いのち
をかけてかのペリシテ
人
びと
をころしたりしかしてヱホバ、イスラエルの
人々
ひと〴〵
のためにおほいなる
救
すくひ
をほどこしたまふ
汝
なんぢ
見
み
てよろこべりしかるに
何
なん
ぞゆゑなくしてダビデをころし
無辜者
つみなきもの
の
血
ち
をながして
罪
つみ
ををかさんとするや
538㌻
6
サウル、ヨナタンの
言
ことば
を
聽
きゝ
いれサウル
誓
ちか
ひけるはヱホバはいくわれかならずかれをころさじ
7
ヨナタン、ダビデをよびてヨナタン
其
その
事
こと
をみなダビデにつげ
遂󠄅
つひ
にダビデをサウルの
許
もと
につれきたりければダビデさきのごとくサウルの
前󠄃
まへ
にをる
8
爰
こゝ
に
再
ふたゝ
び
戰爭
いくさ
おこりぬダビデすなはちいでてペリシテ
人
びと
とたたかひ
大
おほい
にかれらを
殺
ころ
せしかばかれら
其
その
まへを
逃󠄄
に
げされり
9
サウル
手
て
に
投
なげ
槍
やり
を
執
とり
て
室
いへ
に
坐
ざ
する
時
とき
ヱホバより
出
いで
たる
惡
あく
鬼
き
これにのりうつれり
其時
そのとき
ダビデ
乃
すなは
ち
手
て
をもて
琴
こと
を
彈
ひ
く
10
サウル
投
なげ
槍
やり
をもてダビデを
壁
かべ
に
刺
さし
とほさんとしたりしがダビデ、サウルのまへを
避󠄃
さけ
ければ
投
なげ
槍
やり
を
壁
かべ
に
衝
つき
たてたりダビデ
其
その
夜
よ
逃󠄄
にげ
さりぬ
11
サウル
使者
つかひ
をダビデの
家
いへ
につかはしてかれを
守
まも
らしめ
朝󠄃
あさ
におよびてかれをころさしめんとすダビデの
妻
つま
ミカル、ダビデにつげていひけるは
若
も
し
今夜
こんや
爾
なんぢ
の
命
いのち
を
援
すくは
ずば
明
あくる
朝󠄃
あさ
汝
なんぢ
は
殺
ころ
されんと
12
ミカル
即
すなは
ち
牖
まど
よりダビデを
縋
つり
おろしければ
徃
ゆき
て
逃󠄄
のがれ
されり
13
斯
かく
てミカル
像
ざう
をとりて
其
その
牀
とこ
に
置
お
き
山羊
やぎ
の
毛
け
の
編物
あみもの
を
其
その
頭
あたま
におき
衣服󠄃
ころも
をもて
之
これ
をおほへり
14
サウル、ダビデを
執
とら
ふる
使者
つかひ
をつかはしければミカルいふかれは
疾
やまひ
ありと
15
サウル
使者
つかひ
をつかはしダビデを
見
み
させんとていひけるはかれを
牀
とこ
のまま
我
われ
にたづさきたれ
我
われ
これをころさん
16
使者
つかひ
いりて
見
み
たるに
牀
とこ
には
像
ぞう
ありて
其
その
頭
あたま
に
山羊
やぎ
の
毛
け
の
編物
あみもの
ありき
17
サウル、ミカルにいひけるはなんぞかく
我
われ
をあざむきてわが
敵
てき
を
逃󠄄
にが
しやりしやミカル、サウルにこたへけるは
彼
かれ
我
われ
にいへり
我
われ
をはなちてさらしめよ
然
しか
らずば
我
われ
汝
なんぢ
をころさんと
〘412㌻〙
18
ダビデにげさりてラマにゆきサムエルの
許
もと
にいたりてサウルがおのれになせしことをことごとくつげたりしかしてダビデとサムエルはゆきてナヨテにすめり
19
サウルに
吿
つぐ
る
者
もの
ありていふ
視
み
よダビデはラマのナヨテにをると
539㌻
20
サウル
乃
すなは
ちダビデを
執
とら
ふる
使者
つかひ
をつかはせしが
彼等
かれら
預言者
よげんしや
の
一群
くみ
の
預言
よげん
しをりてサムエルが
其
その
中
うち
の
長
かしら
となりて
立
た
てるを
見
み
るにおよび
神
かみ
の
靈
みたま
サウルの
使者
つかひ
にのぞみて
彼等
かれら
もまた
預言
よげん
せり
21
人々
ひと〴〵
これを
吿
つぐ
ければサウル
他
ほか
の
使者
つかひ
を
遣󠄃
つかは
しけるにかれらも
亦
また
預言
よげん
せしかばサウルまた
三度
みたび
使者
つかひ
を
遣󠄃
つか
はしけるが
彼等
かれら
もまた
預言
よげん
せり
22
是
こゝ
においてサウルもまたラマにゆきけるがセクの
大
おほ
井
ゐど
にいたれる
時
とき
問
とふ
ていひけるはサムエルとダビデは
何處
いづく
にをるや
答
こたへ
ていふラマのナヨテにをる
23
サウルかしこにゆきてラマのナヨテに
至
いた
りけるに
神
かみ
の
靈
みたま
また
彼
かれ
にのぞみて
彼
かれ
ラマのナヨテにいたるまで
步
ある
きつつ
預言
よげん
せり
24
彼
かれ
もまた
其
その
衣服󠄃
ころも
をぬぎすて
同
おなじ
くサムエルのまへに
預言
よげん
し
其
その
一日
いちにち
一夜
いちや
裸體
はだか
にて
仆
たふれ
臥
ふし
たり
是故
このゆえ
に
人々
ひと〴〵
サウルもまた
預言者
よげんしや
のうちにあるかといふ
第20章
1
ダビデ、ラマのナヨテより
逃󠄄
にげ
きたりてヨナタンにいひけるは
我
われ
何
なに
をなし
何
なに
のあしき
事
こと
あり
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
のまへに
何
なに
の
罪
つみ
を
得
え
てか
彼
かれ
わが
命
いのち
を
求
もと
むる
2
ヨナタンかれにいひけるは
汝
なんぢ
決
きはめ
て
殺
ころ
さるることあらじ
視
み
よわが
父󠄃
ちゝ
は
事
こと
の
大
おほい
なるも
小
ちひさ
なるも
我
われ
につげずしてなすことなしわが
父󠄃
ちゝ
なんぞこの
事
こと
を
我
われ
にかくさんやこの
事
こと
しからず
3
ダビデまた
誓
ちか
ひていひけるは
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
必
かなら
ずわが
汝
なんぢ
のまへに
恩惠
めぐみ
をうるを
知
し
る
是
こゝ
をもてかれ
思
おも
へらく
恐
おそ
らくはヨナタン
悲
かなし
むべければこの
事
こと
をかれにしらしむべからずとしかれどもヱホバはいくまたなんぢの
靈魂
たましひ
はいくわれは
死
し
をさること
只
たゞ
一步
ひとあし
のみ
4
ヨナタン、ダビデにいひけるはなんぢの
心
こゝろ
なにをねがふか
我
われ
爾
なんぢ
のために
之
これ
をなさんと
5
ダビデ、ヨナタンにいひけるは
明日
あす
は
月朔
ついたち
なれば
我
われ
王
わう
とともに
食󠄃
しよく
につかざるべからず
然
しかれ
ども
我
われ
をゆるして
去
さ
らしめ
三日
みつか
の
晩
よひ
まで
野
の
に
隱
かく
るることをえさしめよ
6
若
もし
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
まことに
我
われ
をもとめなば
其時
そのとき
言
い
へダビデ
切
せつ
に
其
その
邑
まち
ベテレヘムにはせゆかんことを
我
われ
に
請󠄃
こへ
り
其
そ
は
彼處
かしこ
に
全󠄃家
ぜんか
の
歳
とし
祭
まつり
あればなりと
7
彼
かれ
もし
善
よ
しといはば
僕
しもべ
やすからんされど
彼
かれ
もし
甚
はばはだ
しく
怒
いか
らば
彼
かれ
の
害󠄅
がい
をくはへんと
決
さだめ
しを
知
し
れ
〘413㌻〙
540㌻
8
汝
なんぢ
ヱホバのまへに
僕
しもべ
と
契󠄅約
けいやく
をむすびたれば
願
ねがは
くは
僕
しもべ
に
恩
めぐみ
をほどこせ
然
され
ど
若
もし
我
われ
に
惡
あし
き
事
こと
あらば
汝
なんぢ
自
みづか
ら
我
われ
をころせ
何
なん
ぞ
我
われ
を
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
に
引
ひき
ゆくべけんや
9
ヨナタンいひけるは
斯
かゝ
る
事
こと
かならず
汝
なんぢ
にあらざれ
我
われ
わが
父󠄃
ちゝ
の
害󠄅
がい
を
汝
なんぢ
にくはへんと
決
きはむ
るをしらば
必
かなら
ず
之
これ
を
汝
なんぢ
につげん
10
ダビデ、ヨナタンにいひけるは
若
も
し
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
荒々
あら〳〵
しく
汝
なんぢ
にこたふる
時
とき
は
誰
たれ
か
其
その
事
こと
を
我
われ
に
吿
つ
ぐべきや
11
ヨナタン、ダビデにいひけるは
來
きた
れ
我
われ
ら
野
の
にいでゆかんと
俱
とも
に
野
の
にいでゆけり
12
しかしてヨナタン、ダビデにいひけるはイスラエルの
神
かみ
ヱホバよ
明日
あす
か
明後日
あさて
の
今
いま
ごろ
我
われ
わが
父󠄃
ちゝ
を
窺
うかゞ
ひて
事
こと
のダビデのために
善
よ
きを
見
み
ながら
人
ひと
を
汝
なんぢ
に
遣󠄃
つか
はして
吿
つげ
しらさずばヱホバ、ヨナタンに
斯
かく
なしまた
重
かさね
て
斯
かく
くなしたまへ
13
されど
若
も
しわが
父󠄃
ちゝ
汝
なんぢ
に
害󠄅
がい
をくはへんと
欲
ほつ
せば
我
われ
これを
吿
つ
げしらせて
汝
なんぢ
をにがし
汝
なんぢ
を
安
やす
らかにさらしめん
願
ねがは
くはヱホバわが
父󠄃
ちゝ
とともに
坐
いま
せしごとく
汝
なんぢ
とともにいませ
14
汝
なんぢ
只
たゞ
わが
生
いけ
るあひだヱホバの
恩
めぐみ
を
我
われ
にしめして
死
しな
ざらしむるのみならず
15
ヱホバがダビデの
敵
てき
を
悉
こと〴〵
く
地
ち
の
表
おもて
より
絕
た
ちさりたまふ
時
とき
にもまた
汝
なんぢ
わが
家
いへ
を
永
なが
く
汝
なんぢ
の
恩
めぐみ
にはなれしむるなかれ
16
かくヨナタン、ダビデの
家
いへ
と
契󠄅約
けいやく
をむすぶヱホバ
之
これ
に
關
つき
てダビデの
敵
てき
を
討
たゞ
したまへり
17
しかしてヨナタンふたゝびダビデに
誓
ちか
はしむかれを
愛
あい
すればなり
即
すなは
ちおのれの
生命
いのち
を
愛
あい
するごとく
彼
かれ
を
愛
あい
せり
18
またヨナタン、ダビデにいひけるは
明日
あす
は
月朔
ついたち
なるが
汝
なんぢ
の
座
ざ
空󠄃
むなし
かるべければ
汝
なんぢ
求
もと
めらるべし
19
汝
なんぢ
三日
みつか
とゞまりて
速󠄃
すみや
かに
下
くだ
り
嘗
かつ
てかの
事
こと
の
日
ひ
に
隱
かく
れたるところに
至
いた
りてエゼルの
石
いし
の
傍
かたはら
に
居
を
るべし
20
我
われ
的
まと
を
射
い
るごとくして
其
その
石
いし
の
側
そば
に
三本
みすぢ
の
矢
や
をはなたん
21
しかしてゆきて
矢
や
をたづねよといひて
僮子
わらべ
をつかはすべし
我
われ
もし
故
ことさら
に
僮子
わらべ
に
視
み
よ
矢
や
は
汝
なんぢ
の
此旁
こなた
にあり
其
それ
を
取
とれ
と
曰
いは
ばなんぢきたるべしヱホバは
生
い
く
汝
なんぢ
安
やす
くして
何
なに
もなかるべければなり
541㌻
22
されど
若
も
し
我
われ
少年
せうねん
に
視
み
よ
矢
や
は
汝
なんぢ
の
彼旁
さき
にありといはば
汝
なんぢ
さるべしヱホバ
汝
なんぢ
をさらしめたまふなり
23
汝
なんぢ
と
我
われ
とかたれることについては
願
ねが
はくはヱホバ
恒
つね
に
汝
なんぢ
と
我
われ
との
間
あひだ
にいませと
24
ダビデ
即
すなは
ち
野
の
にかくれぬ
偖
さて
月朔
ついたち
になりければ
王
わう
坐
ざ
して
食󠄃
しよく
に
就
つ
く
25
即
すなは
ち
王
わう
は
常
つね
のごとく
壁
かべ
によりて
座
ざ
を
占
し
むヨナタン
立
たち
あがりアブネル、サウルの
側
そば
に
坐
ざ
すダビデの
座
ざ
はなむし
26
されど
其
その
日
ひ
にはサウル
何
なに
をも
曰
いは
ざりき
其
そ
は
何事
なにごと
か
彼
かれ
におこりしならん
彼
かれ
きよからず
定
さだめ
て
潔󠄄
きよ
からずと
思
おも
ひたればなり
〘414㌻〙
27
明日
あくるひ
すなはち
月
つき
の
二日
ふつか
におよびてダビデの
座
ざ
なほ
虛
むな
しサウル
其
その
子
こ
ヨナタンにいひけるは
何
なに
ゆゑにヱサイの
子
こ
は
昨日
きのふ
も
今日
けふ
も
食󠄃
しよく
に
來
きた
らざるや
28
ヨナタン、サウルにこたへけるはダビデ
切
せつ
にベテレヘムにゆかんことを
我
われ
にこひて
曰
いひ
けるは
29
ねがはくは
我
われ
をゆるしてゆかしめよわが
家
いへ
邑
まち
にて
祭
まつり
をなすによりわが
兄
あに
我
われ
にきたることを
命
めい
ぜり
故
ゆゑ
に
我
われ
もし
汝
なんぢ
のまへにめぐみをえたるならばねがはくは
我
われ
をゆるして
去
さら
しめ
兄弟
きやうだい
をみることを
得
え
さしめよと
是故
このゆえ
にかれは
王
わう
の
席
せき
に
來
きた
らざるなり
30
サウル、ヨナタンにむかひて
怒
いか
りを
發
いだ
しかれにいひけるは
汝
なんぢ
は
曲
まが
り
且
かつ
悖
もと
れる
婦󠄃
をんな
の
子
こ
なり
我
われ
あに
汝
なんぢ
がヱサイの
子
こ
を
簡
えら
みて
汝
なんぢ
の
身
み
をはづかしめまた
汝
なんぢ
の
母
はゝ
の
膚
はだへ
を
辱
はづか
しむることを
知
しら
ざらんや
31
ヱサイの
子
こ
の
此
この
世
よ
にながらふるあひだは
汝
なんぢ
と
汝
なんぢ
の
位
くらゐ
固
かた
くたつを
得
え
ず
是故
このゆえ
に
今
いま
人
ひと
をつかはして
彼
かれ
をわが
許
もと
に
引
ひき
きたれ
彼
かれ
は
死
し
ぬべき
者
もの
なり
32
ヨナタン
父󠄃
ちゝ
サウルに
對
こた
へていひけるは
彼
かれ
なにによりて
殺
ころ
さるべきか
何
なに
をなしたるやと
33
ここにおいてサウル、ヨナタンを
擊
うた
んとて
投
なげ
槍
やり
をさしあげたりヨナタンすなはち
其
その
父󠄃
ちゝ
のダビデを
殺
ころ
さんと
決
きはめ
しをしれり
34
かくてヨナタン
烈
はげ
しく
怒
いか
りて
席
せき
を
立
た
ち
月
つき
の
二日
ふつか
には
食󠄃
しよく
をなさざりき
其
そ
は
其
その
父󠄃
ちゝ
のダビデをはづかしめしによりてダビデのために
憂
うれ
へたればなり
542㌻
35
翌󠄃朝󠄃
つぐあさ
ヨナタン
一
ひとりの
小
こ
童子
わらべ
を
從
した
がヘダビデと
約
やく
せし
時刻
じこく
に
野
の
にいでゆき
36
童
わらべ
にいひけるは
走
はし
りて
我
わが
はなつ
矢
や
をたづねよと
童子
わらべ
はしる
時
とき
ヨナタン
矢
や
を
彼
かれ
のさきに
發
はな
てり
37
童子
わらべ
がヨナタンの
發
はな
ちたる
矢
や
のところにいたれる
時
とき
ヨナタン
童子
わらべ
のうしろに
呼
よば
はりていふ
矢
や
は
汝
なんぢ
のさきにあるにあらずや
38
ヨナタンまた
童子
わらべ
のうしろによばはりていひけるは
速󠄃
すみや
かにせよ
急󠄃
いそ
げ
止
とゞ
まるなかれとヨナタンの
童子
わらべ
矢
や
をひろひあつめて
其
その
主人
あるじ
のもとにかへる
39
されど
童子
わらべ
は
何
なに
をも
知
しら
ざりき
只
たゞ
ヨナタンとダビデ
其
その
事
こと
をしりたるのみ
40
かくてヨナタン
其
その
武器
ぶき
を
童子
わらべ
に
授
わたし
ていひけるは
徃
ゆ
けこれを
邑
まち
に
携
たづさ
へよと
41
童子
わらべ
すなはち
徃
ゆ
けり
時
とき
にダビデ
石
いし
の
傍
かたはら
より
立
た
ちあがり
地
ち
にふして三たび
拜
はい
せりしかしてふたり
互
たがひ
に
接吻
くちつけ
してたがひに
哭
な
くダビデ
殊
こと
にはなはだし
42
ヨナタン、ダビデにいひけるは
安
やすん
じて
徃
ゆ
け
我
われ
ら
二人
ふたり
ともにヱホバの
名
な
に
誓
ちか
ひて
願
ねがは
くはヱホバ
恒
つね
に
我
われ
と
汝
なんぢ
のあひだに
坐
いま
し
我
わ
が
子孫
しそん
と
汝
なんぢ
の
子孫
しそん
のあひだにいませといへりとダビデすなはちたちて
去
さ
るヨナタン
邑
まち
にいりぬ
〘415㌻〙
第21章
1
ダビデ、ノブにゆきて
祭司
さいし
アヒメレクにいたるアヒメレク
懼
おそ
れてダビデを
迎󠄃
むか
へこれにいひけるは
汝
なんぢ
なんぞ
獨
ひとり
にして
誰
たれ
も
汝
なんぢ
とともならざるや
2
ダビデ
祭司
さいし
アヒメレクにいふ
王
わう
我
われ
に
一
ひとつ
の
事
こと
を
命
めい
じて
我
われ
にいふ
我
わ
が
汝
なんぢ
を
遣󠄃
つか
はすところの
事
こと
およびわが
汝
なんぢ
に
命
めい
じたる
所󠄃
ところ
については
何
なに
をも
人
ひと
にしらするなかれと
我
われ
某
それの
處
ところ
に
我
わが
少者
わかもの
を
出
いだし
おけり
3
いま
何
なに
か
汝
なんぢ
の
手
て
にあるや
我
わが
手
て
に
五
いつつ
のパンか
或
あるひ
はなににてもある
所󠄃
ところ
を
與
あたへ
よ
4
祭司
さいし
ダビデに
對
こたへ
ていひけるは
常
つね
のパンはわが
手
て
になしされど
若
も
し
少者
わかきもの
婦󠄃女
をんな
をだに
愼
つゝし
みてありしならば
聖󠄄
きよ
きパンあるなりと
5
ダビデ
祭司
さいし
に
對
こた
へていひけるは
實
まこと
にわがいでしより
此
これ
三日
みつか
は
婦󠄃女
をんな
われらにちかづかず
且
かつ
少者
わかきもの
等
ら
の
器
うつは
は
潔󠄄
きよ
し
又󠄂
また
パンは
常
つね
の
物
もの
のごとし
今日
こんにち
器
うつは
に
潔󠄄
きよ
きパンあれば
殊
こと
に
然
しかり
と
6
祭司
さいし
かれに
聖󠄄
きよ
きパンを
與
あたへ
たり
其
そ
はかしこに
供前󠄃
そなへ
のパンの
外
ほか
はパン
无
なか
りければなり
即
すなは
ち
其
その
パンは
下
さげ
る
日
ひ
に
熱
あつ
きパンをささげんとて
之
これ
をヱホバのまへより
取
とり
されるなり
543㌻
7
其
その
日
ひ
かしこにサウルの
僕
しもべ
一人
ひとり
留
とど
められてヱホバのまへにあり
其
その
名
な
をドエグといふエドミ
人
びと
にしてサウルの
牧者
ぼくしや
の
長
かしら
なり
8
ダビデまたアヒメレクにいふ
此
こゝ
に
汝
なんぢ
の
手
て
に
槍
やり
か
劍
かたな
あらぬか
王
わう
の
事
こと
急󠄃
きふ
なるによりて
我
われ
は
刀
かたな
も
武器
ぶき
も
携
たづさ
へざりしと
9
祭司
さいし
いひけるは
汝
なんぢ
がエラの
谷
たに
にて
殺
ころ
したるペリシテ
人
びと
ゴリアテの
劍
かたな
布
ぬの
に
裏
つゝ
みてエポデの
後
うしろ
にあり
汝
なんぢ
もし
之
これ
をとらんとおもはば
取
と
れ
此
こゝ
にはほかの
劍
かたな
なしダビデいひけるはそれにまさるものなし
我
われ
にあたへよと
10
ダビデ
其
その
日
ひ
サウルをおそれて
立
たち
てガテの
王
わう
アキシのところに
逃󠄄
に
げゆきぬ
11
アキシの
臣僕
しもべ
アキシに
曰
いひ
けるは
此
これ
は
其
その
地
ち
の
王
わう
ダビデにあらずや
人々
ひと〴〵
舞踏
をどり
のうちにこの
人
ひと
のことを
歌
うた
ひあひてサウルは
千
せん
をうちころしダビデは
萬
まん
をうちころすといひしにあらずや
12
ダビデこの
言
ことば
を
心
こゝろ
に
藏
をさ
め
深
ふか
くガテの
王
わう
アキシをおそれ
13
人々
ひと〴〵
のまへに
佯
いつはり
て
其
その
氣
き
を
變
へん
じ
執
とら
はれて
狂
きやう
人
じん
のさまをなし
門
もん
の
扉
とびら
に
書
ものか
き
其
その
涎沫
よだれ
を
鬚
ひげ
にながれくだらしむ
14
アキシ
僕
しもべ
に
云
いひ
けるは
汝
なんぢ
らの
見
み
るごとく
此人
このひと
は
狂
きやう
人
じん
なり
何
なん
ぞかれを
我
われ
にひき
來
きた
るや
15
我
われ
なんぞ
狂
きやう
人
じん
を
須
もち
ひんや
汝
なんぢ
ら
此
この
者
もの
を
引
ひき
きたりてわがまへに
狂
くるは
しめんとするや
此
この
者
もの
なんぞ
吾
わ
が
家
いへ
にいるべけんや
〘416㌻〙
第22章
1
是故
このゆえ
にダビデ
其處
そこ
をいでたちてアドラムの
洞穴󠄄
ほらあな
にのがる
其
その
兄弟
きやうだい
および
父󠄃
ちゝ
の
家
いへ
みな
聞
き
きおよびて
彼處
かしこ
にくだり
彼
かれ
の
許
もと
に
至
いた
る
2
また
惱
なや
める
人
ひと
負󠄅債
おひめある
者
もの
心
こゝろ
に
嫌󠄃
あきたら
ぬ
者
もの
皆
みな
かれの
許
もと
にあつまりて
彼
かれ
其
その
長
かしら
となれりかれとともにある
者
もの
はおよそ四
百
ひやく
人
にん
なり
3
ダビデ
其處
そこ
よりモアブのミヅパにいたりモアブの
王
わう
にいひけるは
神
かみ
の
我
われ
をいかがなしたまふかを
知
し
るまでねがはくはわが
父󠄃母
ちちはは
をして
出
いで
て
汝
なんぢ
らとともにをらしめよと
544㌻
4
遂󠄅
つひ
にかれらをモアブの
王
わう
のまへにつれきたるかれらはダビデが
要󠄃害󠄅
えうがい
にをる
間
あひだ
王
わう
とともにありき
5
預言者
よげんしや
ガデ、ダビデに
云
いひ
けるは
要󠄃害󠄅
えうがい
に
住󠄃
とゞま
るなかれゆきてユダの
地
ち
にいたれとダビデゆきてハレテの
叢林
もり
にいたる
6
爰
こゝ
にサウル、ダビデおよびかれとともなる
人々
ひと〴〵
の
見
み
露
あらは
されしを
聞
き
けり
時
とき
にサウルはギベアにあり
手
て
に
槍
やり
を
執
とり
て
岡巒
をか
の
柳
やなぎ
の
樹
き
の
下
もと
にをり
臣僕
けらい
ども
皆
みな
其
その
傍
かたはら
にたてり
7
サウル
側
そば
にたてる
僕
けらい
にいひけるは
汝
なんぢ
らベニヤミン
人
びと
聞
き
けよヱサイの
子
こ
汝
なんぢ
らおのおのに
田
はたけ
と
葡萄園
ぶだうばたけ
をあたへ
汝
なんぢ
らおのおのを
千夫
せんにんの
長
かしら
百夫
ひやくにんの
長
かしら
となすことあらんや
8
汝
なんぢ
ら
皆
みな
我
われ
に
敵
てき
して
謀
はか
り
一人
ひとり
もわが
子
こ
のヱサイの
子
こ
と
契󠄅約
けいやく
を
結
むす
びしを
我
われ
につげしらする
者
もの
なしまた
汝
なんぢ
ら
一人
ひとり
もわがために
憂
うれ
へずわが
子
こ
が
今日
けふ
のごとくわが
僕
しもべ
をはげまして
道󠄃
みち
に
伏
ふし
て
我
われ
をおそはしめんとするを
我
われ
につげしらす
者
もの
なし
9
時
とき
にエドミ
人
びと
ドエグ、サウルの
僕
けらい
の
中
うち
にたち
居
を
りしが
答
こた
へていひけるは
我
われ
ヱサイの
子
こ
のノブにゆきてアヒトブの
子
こ
アヒメレクに
至
いた
るを
見
み
しが
10
アヒメレクかれのためにヱホバに
問
と
ひまたかれに
食󠄃物
しよくもつ
をあたへペリシテ
人
びと
ゴリアテの
劍
かたな
をあたへたりと
11
王
わう
すなはち
人
ひと
をつかはしてアヒトブの
子
こ
祭司
さいし
アヒメレクなよびその
父󠄃
ちゝ
の
家
いへ
すなはちノブの
祭司
さいし
たる
人々
ひと〴〵
を
召
め
したればみな
王
わう
の
許
もと
にきたる
12
サウルいひけるは
汝
なんぢ
アヒトブの
子
こ
聽
きけ
よ
答
こた
へけるは
主
しゆ
よ
我
われ
ここにあり
13
サウルかれにいふ
汝
なんぢ
なんぞヱサイの
子
こ
とともに
我
われ
に
敵
てき
して
謀
はか
り
汝
なんぢ
かれにパンと
劍
かたな
をあたへ
彼
かれ
が
爲
ため
に
神
かみ
に
問
と
ひかれをして
今日
けふ
のごとく
道󠄃
みち
に
伏
ふし
て
我
われ
をおそはしめんとするや
14
アヒメレク
王
わう
にこたへていひけるは
汝
なんぢ
の
臣僕
しもべ
のうち
誰
たれ
かダビデのごとく
忠義
ちゆうぎ
なる
彼
かれ
は
王
わう
の
婿
むこ
にして
親
した
しく
汝
なんぢ
に
見
まみ
ゆるもの
汝
なんぢ
の
家
いへ
に
尊󠄅
たふと
まるる
者
もの
にあらずや
15
我
われ
其時
そのとき
かれのために
神
かみ
に
問
とふ
ことを
始
はじ
めしや
決
きはめ
てしからずねがはくは
王
わう
僕
しもべ
およびわが
父󠄃
ちゝ
の
全󠄃家
ぜんか
に
何
なに
をも
歸
き
するなかれ
其
そ
は
僕
しもべ
この
事
こと
については
多少
たせう
をいはず
何
なに
をもしらざればなり
〘417㌻〙
545㌻
16
王
わう
いひけるはアヒメレク
汝
なんぢ
必
かなら
ず
死
し
ぬべし
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
の
全󠄃家
ぜんか
もしかりと
17
王
わう
旁
かたはら
にたてる
前󠄃驅
さきばしり
の
人々
ひと〴〵
にいひけるは
身
み
をひるがへしてヱホバの
祭司
さいし
を
殺
ころ
せかれらもダビデと
力
ちから
を
合
あは
するが
故
ゆゑ
またかれらダビデの
逃󠄄
にげ
たるをしりて
我
われ
に
吿
つげ
ざりし
故
ゆゑ
なりと
然
され
ど
王
わう
の
僕
けらい
手
て
をいだしてヱホバの
祭司
さいし
を
擊
うつ
ことを
好
この
まざれば
18
王
わう
ドエグにいふ
汝
なんぢ
身
み
をひるがへして
祭司
さいし
をころせとエドミ
人
びと
ドエグ
乃
すなは
ち
身
み
をひるがへして
祭司
さいし
をうち
其
その
日
ひ
布
ぬの
のエポデを
衣
き
たる
者
もの
八十五
人
にん
をころせり
19
かれまた
刃󠄃
やいば
を
以
も
て
祭司
さいし
の
邑
まち
ノブを
擊
う
ち
刃󠄃
やいば
をもて
男
をとこ
女
をんな
童稚
こども
嬰孩
ちのみご
牛
うし
驢馬
ろば
羊
ひつじ
を
殺
ころ
せり
20
アヒトブの
子
こ
アヒメレクの
一人
ひとり
の
子
こ
アビヤタルとなづくる
者
もの
逃󠄄
のが
れてダビデにはしり
從
した
がふ
21
アビヤタル、サウルがヱホバの
祭司
さいし
を
殺
ころ
したることをダビデに
吿
つげ
しかば
22
ダビデ、アビヤタルにいふかの
日
ひ
エドミ
人
びと
ドエグ
彼處
かしこ
にをりしかば
我
われ
かれが
必
かな
らずサウルにつげんことを
知
し
れり
我
われ
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
の
家
いへ
の
人々
ひと〴〵
の
生命
いのち
を
喪
うしな
へる
源由
もと
となれり
23
汝
なんぢ
我
われ
とともに
居
を
れ
懼
おそ
るるなかれわが
生命
いのち
を
求
もと
むる
者
もの
汝
なんぢ
の
生命
いのち
をも
求
もと
むるなり
汝
なんぢ
我
われ
とともにあらば
安全󠄃
あんぜん
なるべし
第23章
1
人々
ひと〴〵
ダビデにつげていひけるは
視
み
よペリシテ
人
びと
ケイラを
攻
せ
め
穀場
うちば
を
掠
かす
むと
2
ダビデ、ヱホバに
問
とふ
ていひけるは
我
われ
ゆきて
是
こ
のペリシテ
人
びと
を
擊
う
つべきかとヱホバ、ダビデにいひたまひけるは
徃
ゆき
てペリシテ
人
びと
をうちてケイラを
救
すく
ヘ
3
ダビデの
從者
じふしや
かれにいひけるは
視
み
よわれら
此
こゝ
にユダにあるすら
尙
な
ほおそる
况
いはん
やケイラにゆきてペリシテ
人
びと
の
軍
ぐん
にあたるをやと
4
ダビデふたゝびヱホバに
問
と
ひけるにヱホバ
答
こたへ
ていひたまひけるは
起󠄃
たち
てケイラにくだれ
我
われ
ペリシテ
人
びと
を
汝
なんぢ
の
手
て
にわたすべし
546㌻
5
ダビデとその
從者
じふしや
ケイラにゆきてペリシテ
人
びと
とたたかひ
彼
かれ
らの
家畜
かちく
を
奪
うば
ひとり
大
おほい
にかれらをうちころせりかくダビデ、ケイラの
居民
ひと〴〵
をすくふ
6
アヒメレクの
子
こ
アビヤタル、ケイラにのがれてダビデにいたれる
時
とき
其
その
手
て
にエポデを
執
とり
てくだれり
7
爰
こゝ
にダビデのケイラに
至
いた
れる
事
こと
サウルに
聞
きこ
えければサウルいふ
神
かみ
かれを
我
わが
手
て
にわたしたまへり
其
そ
はかれ
門
もん
あり
關
くわん
ある
邑
まち
にいりたれば
閉
とぢ
こめらるればなり
8
サウルすなはち
民
たみ
をことごとく
軍
いくさ
によびあつめてケイラにくだりてダビデと
其
その
從者
じふしや
を
圍
かこま
んとす
9
ダビデはサウルのおのれを
害󠄅
がい
せんと
謀
はか
るを
知
し
りて
祭司
さいし
アビヤタルにいひけるはエポデを
持
も
ちきたれと
〘418㌻〙
10
しかしてダビデいひけるはイスラエルの
神
かみ
ヱホバよ
僕
しもべ
たしかにサウルがケイラにきたりてわがために
此
この
邑
まち
をほろぼさんと
求
もと
むるを
聞
きけ
り
11
ケイラの
人々
ひと〴〵
我
われ
をかれの
手
て
にわたすならんか
僕
しもべ
のきけるごとくサウル
下
くだ
るならんかイスラエルの
神
かみ
ヱホバよ
請󠄃
こ
ふ
僕
しもべ
につげたまへとヱホバいひたまひけるは
彼
かれ
下
くだ
るべしと
12
ダビデいひけるはケイラの
人々
ひと〴〵
われとわが
從者
じふしや
をサウルの
手
て
にわたすならんかヱホバいひたまひけるは
彼
かれ
らわたすべし
13
是
こゝ
においてダビデと
其
その
六
百
ぴやく
人
にん
ばかりの
從者
じふしや
起󠄃
たち
てケイラをいで
其
その
ゆきうる
所󠄃
ところ
にゆけりダビデのケイラをにげはなれしことサウルに
聞
きこ
えければサウルいづることを
止
やめ
たり
14
ダビデは
曠野
あらの
にをり
要󠄃害󠄅
えうがい
の
地
ち
にをりまたジフの
野
の
にある
山
やま
に
居
を
るサウル
恒
つね
にかれを
尋󠄃
たづ
ねたれども
神
かみ
かれを
其
その
手
て
にわたしたまはざりき
15
ダビデ、サウルがおのれの
生命
いのち
を
求
もと
めんために
出
いで
たるを
見
み
る
時
とき
にダビデはジフの
野
の
の
叢林
もり
にをりしが
16
サウルの
子
こ
ヨナタンたちて
叢林
もり
にいりてダビデにいたり
神
かみ
によりて
其
その
力
ちから
を
强
つよ
うせしめたり
17
即
すなは
ちヨナタンかれにいひけるに
懼
おそ
るるなかれわが
父󠄃
ちゝ
サウルの
手
て
汝
なんぢ
にとどくことあらじ
汝
なんぢ
はイスラエルの
王
わう
とならん
我
われ
は
汝
なんぢ
の
次
つぎ
なるべし
此事
このこと
はわが
父󠄃
ちゝ
サウルもしれりと
18
かくて
彼
かれ
ら
二人
ふたり
ヱホバのまへに
契󠄅約
けいやく
をむすびダビデは
叢林
もり
にとゞまりヨナタンは
其
その
家
いへ
にかへれり
547㌻
19
時
とき
にジフ
人
びと
ギベアにのぼりサウルの
許
もと
にいたりていひけるはダビデは
曠野
あらの
の
南
みなみ
にあるハキラの
山
やま
の
叢林
もり
の
中
うち
なる
要󠄃害󠄅
えうがい
に
隱
かく
れて
我
われ
らとともにをるにあらずや
20
今
いま
王
わう
汝
なんぢ
のくだらんとする
望󠄇
のぞみ
のごとく
下
くだ
りたまへ
我
われ
らはかれを
王
わう
の
手
て
にわたさんと
21
サウルいひけるは
汝
なんぢ
ら
我
われ
をあはれめば
願
ねがは
くは
汝等
なんぢら
ヱホバより
福祉
さいはひ
をえよ
22
請󠄃
こ
ふゆきて
尙
な
ほ
心
こゝろ
を
用
もち
ひ
彼
かれ
の
踪跡
あと
ある
處
ところ
と
誰
た
がかれを
見
み
たるかを
見
み
きはめよ
其
そ
は
人
ひと
我
われ
にかれが
甚
はなは
だ
機巧
かしこ
く
事
こと
を
爲
な
すを
吿
つげ
たれば
也
なり
23
されば
汝
なんぢ
ら
彼
かれ
が
隱
かく
るる
逃󠄄躱處
かくれが
を
皆
みな
たしかに
見
み
きはめて
再
ふたゝ
び
我
われ
にきたれ
我
われ
汝
なんぢ
らとともにゆかん
彼
かれ
もし
其
その
地
ち
にあらば
我
われ
ユダの
郡中
ぐんちう
をあまねく
尋󠄃
たづ
ねて
彼
かれ
を
獲
え
んと
24
かれらたちてサウルに
先
さきだち
てジフにゆけりダビデと
其
その
從者
じふしや
は
曠野
あらの
の
南
みなみ
のアラバにあるマオンの
野
の
にをる
25
斯
かく
てサウルと
其
その
從者
じふしや
ゆきて
彼
かれ
を
尋󠄃
たづ
ぬ
人々
ひと〴〵
これをダビデに
吿
つげ
ければダビデ
巖
いは
を
下
くだり
てマオンの
野
の
にをるサウル
之
これ
を
聞
きゝ
てマオンの
野
の
に
至
いたり
てダビデを
追󠄃
お
ふ
26
サウルは
山
やま
の
此旁
こなた
に
行
ゆき
ダビデと
其
その
從者
じふしや
は
山
やま
の
彼旁
かなた
に
行
ゆく
ダビデは
周󠄃章
あはて
てサウルの
前󠄃
まへ
を
避󠄃
さけ
んとしサウルと
其
その
從者
じふしや
はダビデと
其
その
從者
じふしや
を
圍
かこ
んで
之
これ
を
取
とらへ
んとす
〘419㌻〙
27
時
とき
に
使者
つかひ
サウルに
來
きたり
て
言
いひ
けるはペリシテ
人
びと
國
くに
ををかす
急󠄃
いそ
ぎきたりたまへと
28
故
ゆゑ
にサウル、ダビデを
追󠄃
おふ
ことを
止
やめ
てかへり
徃
ゆき
てペリシテ
人
びと
にあたるここをもて
人々
ひと〴〵
その
處
ところ
をセラマレコテ(
逃󠄄
のがれ
岩
いは
)となづく
29
ダビデ
其處
そこ
よりのぼりてエンゲデの
要󠄃害󠄅
えうがい
にをる
第24章
1
サウル、ペリシテ
人
びと
を
追󠄃
お
ふことをやめて
還󠄃
かへ
りし
時
とき
人々
ひと〴〵
かれにつげていひけるは
視
み
よダビデはエンゲデの
野
の
にありと
2
サウル、イスラエルの
中
うち
より
選󠄄
えら
みたる三
千
ぜん
の
人
ひと
を
率󠄃
ひき
ゐゆきて
野羊
やぎ
の
巖
いは
にダビデと
其
その
從者
じふしや
を
尋󠄃
たづ
ぬ
3
途󠄃
みち
にて
羊
ひつじ
の
棧
をり
にいたるに
其處
そこ
に
洞穴󠄄
ほらあな
ありサウル
其
その
足
あし
を
掩
おほは
んとていりぬ
時
とき
にダビデと
其
その
從者
じふしや
洞
ほら
の
隅
すみ
に
居
ゐ
たり
548㌻
4
ダビデの
從者
じふしや
これにいひけるはヱホバが
汝
なんぢ
に
吿
つげ
て
視
み
よ
我
われ
汝
なんぢ
の
敵
てき
を
汝
なんぢ
の
手
て
にわたし
汝
なんぢ
をして
善
よし
と
見
み
るところを
彼
かれ
になさしめんといひたまひし
日
ひ
は
今
いま
なりとダビデすなはち
起󠄃
たち
てひそかにサウルの
衣
ころも
の
裾
すそ
をきれり
5
ダビデ、サウルの
衣
ころも
の
裾
すそ
をきりしによりて
後
の
ち
其心
そのこころ
みづから
責
せ
む
6
ダビデ
其
その
從者
じふしや
にいひけるはヱホバの
膏
あぶら
そそぎし
者
もの
なるわが
主
しゆ
にわが
此事
このこと
をなすをヱホバ
禁
きん
じたまふかれはヱホバの
膏
あぶら
そそぎし
者
もの
なればかれに
敵
てき
してわが
手
て
をのぶるは
善
よか
らず
7
ダビデ
此
この
ことばをもって
其
その
從者
じふしや
を
止
とゞ
めサウルに
擊
う
ちかかる
事
こと
を
容
ゆる
さずサウルたちて
洞
ほら
を
出
いで
て
其
その
道󠄃
みち
にゆく
8
ダビデもまた
後
あと
よりたちて
洞
ほら
をいでサウルのうしろに
呼
よば
はりて
我
われ
主
しゆ
王
わう
よといふサウル
後
うしろ
をかへりみる
時
とき
ダビデ
地
ち
にふして
拜
はい
す
9
ダビデ、サウルにいひけるは
汝
なんぢ
なんぞダビデ
汝
なんぢ
を
害󠄅
がい
せん
事
こと
を
求
もと
むといふ
人
ひと
の
言
ことば
を
聽
き
くや
10
視
み
よ
今日
けふ
汝
なんぢ
の
目
め
ヱホバの
汝
なんぢ
を
洞
ほら
のうちにて
今日
けふ
わが
手
て
にわたしたまひしことを
見
み
たり
人々
ひと〴〵
我
われ
に
汝
なんぢ
をころさんことを
勸
すゝ
めたれども
我
われ
汝
なんぢ
を
惜
をし
めり
我
われ
いひけらくわが
主
しゆ
はヱホバの
膏
あぶら
そそぎし
者
もの
なればこれに
敵
てき
してわが
手
て
をのぶべからずと
11
わが
父󠄃
ちゝ
よ
視
み
よわが
手
て
にある
汝
なんぢ
の
衣
ころも
の
裾
すそ
を
見
み
よわが
汝
なんぢ
の
衣
ころも
の
裾
すそ
をきりて
汝
なんぢ
を
殺
ころ
さざるを
見
み
ばわが
手
て
には
惡
あく
も
罪過󠄃
とが
もなきことを
汝
なんぢ
見
み
て
知
し
るべし
我
われ
汝
なんぢ
に
罪
つみ
ををかせしことなし
然
しか
るに
汝
なんぢ
わが
生命
いのち
をとらんとねらふ
12
ヱホバ
我
われ
と
汝
なんぢ
の
間
あひだ
を
審
さば
きたまはんヱホバわがために
汝
なんぢ
に
報
むく
いたまふべし
然
され
どわが
手
て
は
汝
なんぢ
に
加
くは
へざるべし
13
古
いにし
への
諺
ことわざ
にいふごとく
惡
あく
は
惡人
あくにん
よりいづされどわが
手
て
は
汝
なんぢ
にくはへざるべし
〘420㌻〙
14
イスラエルの
王
わう
は
誰
たれ
を
趕
おは
んとて
出
いで
たるや
汝
なんぢ
たれを
追󠄃
お
ふや
死
しに
たる
犬
いぬ
をおひ
一
ひとつ
の
蚤
のみ
をおふなり
15
ねがはくはヱホバ
審判󠄄
さばき
者
て
となりて
我
われ
と
汝
なんぢ
のあひだをさばきかつ
見
み
てわが
訟
うつたへ
を
理
たゞ
し
我
われ
を
汝
なんぢ
の
手
て
よりすくひいだしたまはんことを
549㌻
16
ダビデこれらの
言
ことば
をサウルに
語
かた
りをへしときサウルいひけるはわが
子
こ
ダビデよ
是
これ
は
汝
なんぢ
の
聲
こゑ
なるかとサウル
聲
こゑ
をあげて
哭
な
きぬ
17
しかしてダビデにいひけるは
汝
なんぢ
は
我
われ
よりも
正
たゞ
し
我
われ
は
汝
なんぢ
に
惡
あく
をむくゆるに
汝
なんぢ
は
我
われ
に
善
ぜん
をむくゆ
18
汝
なんぢ
今日
けふ
いかに
汝
なんぢ
が
我
われ
に
善
よ
くなすかを
明
あきら
かにせりヱホバ
我
われ
を
爾
なんぢ
の
手
て
にわたしたまひしに
爾
なんぢ
我
われ
をころさざりしなり
19
人
ひと
もし
其
その
敵
てき
にあはばこれを
安
やす
らかに
去
さら
しむべけんや
爾
なんぢ
が
今日
けふ
我
われ
になしたる
事
こと
のためにヱホバ
爾
なんぢ
に
善
ぜん
をむくいたまふべし
20
視
み
よ
我
われ
爾
なんぢ
が
必
かなら
ず
王
わう
とならんことを
知
し
りまたイスラエルの
王
わう
國
くに
の
爾
なんぢ
の
手
て
によりて
堅
かた
くたたんことをしる
21
今
いま
爾
なんぢ
ヱホバをさして
我
われ
にわが
後
あと
にてわが
子孫
しそん
を
斷
たゝ
ずわが
名
な
をわが
父󠄃
ちゝ
の
家
いへ
に
滅
めつ
せざらんことを
誓
ちか
へと
22
ダビデすなはちサウルにちかふ
是
こゝ
においてサウルは
家
いへ
にかへりダビデと
其
その
從者
じふしや
は
要󠄃害󠄅
えうがい
にのぼれり
第25章
1
爰
こゝ
にサムエル
死
し
にしかばイスラエル
人
びと
皆
みな
あつまりて
之
これ
をかなしみラマにあるその
家
いへ
にてこれを
葬
はう
むれりダビデたちてバランの
野
の
にくだる
2
マオンに
一箇
ひとり
の
人
ひと
あり
其
その
所󠄃有
もちもの
はカルメルにあり
其人
そのひと
甚
はなは
だ
大
おほい
なる
者
もの
にして三
千
ぜん
の
羊
ひつじ
と一
千
せん
の
山羊
やぎ
をもちしがカルメルにて
羊
ひつじ
の
毛
け
を
剪
き
り
居
ゐ
たり
3
其人
そのひと
の
名
な
はナバルといひ
其
その
妻
つま
の
名
な
はアビガルといふアビガルは
賢
かしこ
く
顏
かほ
美
よ
き
婦󠄃
をんな
なりされど
其
その
夫
をつと
は
剛愎
かたくな
にして
其
その
爲
な
すところ
惡
あし
かりきかれはカレブの
人
ひと
なり
4
ダビデ
野
の
にありてナバルが
其
その
羊
ひつじ
の
毛
け
を
剪
き
りをるを
聞
き
き
5
ダビデ
十
じふ
人
にん
の
少者
わかもの
を
遣󠄃
つか
はすダビデ
其
その
少者
わかもの
にいひけるはカルメルにのぼりナバルにいたりわが
名
な
をもてかれに
安否
あんぴ
をとひ
6
かくのごとくいへ
願
ねがは
くは
壽
いのち
ながかれ
爾
なんぢ
平󠄃安
やすらか
なれ
爾
なんぢ
の
家
いへ
やすらかなれ
爾
なんぢ
が
有
もつ
ところの
物
もの
みなやすらかなれ
7
我
われ
爾
なんぢ
が
羊毛
ひつじのけ
を
剪
きら
せをるを
聞
きけ
り
爾
なんぢ
の
牧羊者
ひつじかひ
は
我
われ
らとともにありしが
我
われ
らこれを
害󠄅
がい
せざりきまたかれらがカルメルにありしあひだかれらの
物
もの
何
なに
も
失
うせ
たることなし
8
爾
なんぢ
の
少者
わかもの
に
問
と
へかれら
爾
なんぢ
につげん
願
ねがは
くは
少者
わかもの
をして
爾
なんぢ
のまへに
恩
めぐみ
をえせしめよ
我
われ
ら
吉
よき
日
ひ
に
來
きた
る
請󠄃
こ
ふ
爾
なんぢ
の
手
て
にあるところの
物
もの
を
爾
なんぢ
の
僕
しもべ
らおよび
爾
なんぢ
の
子
こ
ダビデにあたへよ
〘421㌻〙
550㌻
9
ダビデの
少者
わかもの
いたりダビデの
名
な
をもって
是
これ
らのことばの
如
ごと
くナバルに
語
かた
りてやめり
10
ナバル、ダビデの
僕
しもべ
にこたへていひけるはダビデは
誰
たれ
なるヱサイの
子
こ
は
誰
たれ
なる
此
この
頃
ごろ
は
主人
しゆじん
をすてて
遁逃󠄄
のが
るる
僕
しもべ
おほし
11
我
われ
あにわがパンと
水
みづ
およびわが
羊毛
ひつじのけ
をきる
者
もの
のために
殺
ころ
したる
肉
にく
をとりて
何處
いづく
よりか
知
し
れざるところの
人々
ひと〴〵
にあたふべけんや
12
ダビデの
少者
わかもの
ふりかへりて
其
その
道󠄃
みち
に
就
つ
き
歸
かへ
りきたりて
此
これ
等
ら
の
言
ことば
のごとくダビデに
吿
つ
ぐ
13
是
こゝ
においてダビデ
其
その
從者
じふしや
に
爾
なんぢ
らおのおの
劍
かたな
を
帶
おび
よと
言
いひ
ければ
各
おの〳〵
劍
かたな
をおぶダビデもまた
劍
かたな
をおぶ
而
しか
して
四
し
百
ひやく
人
にん
ばかりダビデにしたがひて
上
のぼ
り
二
に
百
ひやく
人
にん
は
輜重
に
のところに
止
とゞま
れり
14
時
とき
にひとりの
少者
わかもの
ナバルの
妻
つま
アビガルに
吿
つげ
ていひけるは
視
み
よダビデ
野
の
より
使者
つかひ
をおくりて
我
われ
らの
主人
しゆじん
を
祝
しゆく
したるに
主人
しゆじん
かれらを
詈
ののし
れり
15
されどかの
人々
ひと〴〵
はわれらに
甚
はなは
だ
善
よ
くなし
我
われ
らは
害󠄅
がい
をかうむらず
亦
また
われら
野
の
にありし
時
とき
かれらとともにをるあひだはなにをも
失
うし
なはざりき
16
我
われ
らが
羊
ひつじ
をかひて
彼
かれ
らとともにありしあひだ
彼
かれ
らは
日夜
ひるよる
われらの
墻
かき
となれり
17
されば
爾
なんぢ
今
いま
しりてなにをなさんかを
考
かんが
ふべし
其
そ
はわれらの
主人
しゆじん
および
主人
しゆじん
の
全󠄃家
ぜんか
に
定
さだ
めて
害󠄅
がい
きたるべければなり
主人
しゆじん
は
邪魔󠄃
よこしま
なる
者
もの
にして
語
かた
ることをえずと
18
アビガルいそぎパン
二
に
百
ひやく
酒
さけ
の
革嚢
かはぶくろ
二
ふたつ
旣
すで
に
調
ととの
へたる
羊
ひつじ
五
いつつ
烘麥
やきむぎ
五
ご
セア
乾葡萄
ほしぶだう
百
ひやく
球
ふさ
乾
ほし
無花果
いちじく
の
團塊
かたまり
二
に
百
ひやく
を
取
とり
て
驢馬
ろば
にのせ
19
其
その
少者
わかもの
にいひけるは
我
わが
先
さき
に
進󠄃
すゝ
め
視
み
よ
我
われ
爾
なんぢ
らの
後
うしろ
にゆくと
然
され
ど
其
その
夫
をつと
ナバルには
吿
つ
げざりき
20
アビガル
驢馬
ろば
にのりて
山
やま
の
僻處
くぼみ
にくだれる
時
とき
視
み
よダビデと
其
その
從者
じふしや
かれにむかひてくだりければかれ
其
その
人々
ひと〴〵
にあふ
551㌻
21
ダビデかつていひけるは
誠
まこと
にわれ
徒
いたづら
に
此人
このひと
の
野
の
にて
有
もて
る
物
もの
をみなまもりてその
物
もの
をして
何
いか
もうせざらしめたりかれは
惡
あく
をもてわが
善
ぜん
にむくゆ
22
ねがはくは
神
かみ
ダビデの
敵
てき
にかくなしまた
重
かさ
ねてかくなしたまへ
明
あくる
晨
あさ
までに
我
われ
はナバルに
屬
ぞく
する
總
すべ
ての
物
もの
の
中
うち
ひとりの
男
をとこ
をものこさざるべし
23
アビガル、ダビデを
視
み
しとき
急󠄃
いそ
ぎ
驢馬
ろば
よりおりダビデのまへに
地
ち
に
俯
ふ
して
拜
はい
し
24
其
その
足
あし
もとにふしていひけるはわが
主
しゆ
よ
此
この
咎
とが
を
我
われ
に
歸
き
したまへ
但
たゞ
し
婢
しもめ
をして
爾
なんぢ
の
耳
みゝ
にいふことを
得
え
さしめ
婢
しもめ
のことばを
聽
きゝ
たまへ
25
ねがはくは
我
われ
主
きみ
この
邪
よこしま
なる
人
ひと
ナバル(
愚
おろか
)の
事
こと
を
意󠄃
こころ
に
介
さしはさ
むなかれ
其
そ
はかれは
其
その
名
な
の
如
ごと
くなればなりかれの
名
な
はナバルにしてかれは
愚
おろか
なりわれなんぢの
婢
しもめ
はわが
主
しゆ
のつかはせし
少
わか
ものを
見
み
ざりき
〘422㌻〙
26
さればわがしゆよヱホバはいくまたなんぢのたましひはいくヱホバなんぢのきたりて
血
ち
をながしまた
爾
なんぢ
がみづから
仇
あた
をむくゆるを
阻
とど
めたまへりねがはくは
爾
なんぢ
の
敵
てき
たるものおよびわが
主
しゆ
に
害󠄅
がい
をくはへんとする
者
もの
はナバルのごとくなれ
27
さて
仕女
つかへめ
がわが
主
しゆ
にもちきたりしこの
禮物
れいもつ
をねがはくはわが
主
しゆ
の
足
あし
迹
あと
にあゆむ
少者
わかもの
にたてまつらしめたまへ
28
請󠄃
こ
ふ
婢
しもめ
の
過󠄃
あやまち
をゆるしたまへヱホバ
必
かなら
ずわが
主
しゆ
のために
堅
かた
き
家
いへ
を
立
たて
たまはん
是
こ
はわが
主
しゆ
ヱホバの
軍
いくさ
に
戰
たゝか
ふにより
又󠄂
また
世
よ
にいでてよりこのかた
爾
なんぢ
の
身
み
に
惡
あし
きこと
見
み
えざるによりてなり
29
人
ひと
たちて
爾
なんぢ
を
追󠄃
お
ひ
爾
なんぢ
の
生命
いのち
を
求
もと
むれどもわが
主
しゆ
の
生命
いのち
は
爾
なんぢ
の
神
かみ
ヱホバとともに
生命
いのち
の
包裏
つつみ
の
中
うち
に
包
つゝ
みあり
爾
なんぢ
の
敵
てき
の
生命
いのち
は
投石器
いしなげ
のうちより
投
なげ
すつる
如
ごと
くヱホバこれをなげすてたまはん
30
ヱホバその
爾
なんぢ
につきて
語
かた
りたまひし
諸
もろ〳〵
の
善
よ
き
事
こと
をわが
主
しゆ
になして
爾
なんぢ
をイスラエルの
主宰
つかさ
に
命
めい
じたまはん
時
とき
にいたりて
31
爾
なんぢ
の
故
ゆゑ
なくして
血
ち
をながしたることも
又󠄂
また
わが
主
しゆ
のみづから
其
その
仇
あだ
をむくいし
事
こと
も
爾
なんぢ
の
憂
うれへ
となることなくまたわが
主
しゆ
の
心
こゝろ
の
責
せめ
となることなかるべし
但
たゞ
しヱホバのわが
主
しゆ
に
善
よ
くなしたまふ
時
とき
にいたらばねがはくは
婢
しもめ
を
憶
おもひ
たまへ
552㌻
32
ダビデ、アビガルにいふ
今日
けふ
汝
なんぢ
をつかはして
我
われ
をむかへしめたまふイスラエルの
神
かみ
ヱホバは
頌美
ほむ
べきかな
33
また
汝
なんぢ
の
智慧󠄄
ちゑ
はほむべきかな
又󠄂
また
汝
なんぢ
はほむべきかな
汝
なんぢ
今日
けふ
わがきたりて
血
ち
をながし
自
みづか
ら
仇
あだ
をむくゆるを
止
とゞ
めたり
34
わが
汝
なんぢ
を
害󠄅
がい
するを
阻
とど
めたまひしイスラエルの
神
かみ
ヱホバは
生
い
く
誠
まこと
にもし
汝
なんぢ
いそぎて
我
われ
を
來
きた
り
迎󠄃
むかへ
ずば
必
かなら
ず
翌󠄃朝󠄃
あくるあさ
までにナバルの
所󠄃
ところ
にひとりの
男
をとこ
ものこらざりしならんと
35
ダビデ、アビガルの
携
たづさ
へきたりし
物
もの
を
其
その
手
て
より
受
うけ
てかれにいひけるは
安
やすら
かに
汝
なんぢ
の
家
いへ
にかへりのぼれ
視
み
よわれ
汝
なんぢ
の
言
ことば
をききいれて
汝
なんぢ
の
顏
かほ
を
立
たて
たり
36
かくてアビガル、ナバルにいたりて
視
みる
にかれは
家
いへ
に
酒宴
しゆえん
を
設
まう
け
居
ゐ
たり
王
わう
の
酒宴
しゆえん
のごとしナバルの
心
こゝろ
これがために
樂
たのし
みて
甚
はなは
だしく
醉
ゑひ
たればアビガル
多少
たせう
をいはず
何
なに
をも
翌󠄃朝󠄃
あくるあさ
までかれにつげざりき
37
朝󠄃
あさ
にいたりナバルの
酒
さけ
のさめたる
時
とき
妻
つま
かれに
是等
これら
の
事
こと
をつげたるに
彼
かれ
の
心
こゝろ
そのうちに
死
しゝ
て
其
その
身
み
石
いし
のごとくなりぬ
38
十
とを
日
か
ばかりありてヱホバ、ナバルを
擊
う
ちたまひければ
死
しね
り
39
ダビデ、ナバルの
死
しに
たるを
聞
きゝ
ていひけるはヱホバは
頌美
ほむ
べきかなヱホバわが
蒙
かう
むりたる
恥辱
はぢ
の
訟
うつたへ
を
理
たゞ
してナバルにむくい
僕
しもべ
を
阻
とど
めて
惡
あく
をおこなはざらしめたまふ
其
そ
はヱホバ、ナバルの
惡
あく
を
其
その
首
かうべ
に
歸
き
し
賜
たま
へばなりと
爰
こゝ
にダビデ、アビガルを
妻
つま
にめとらんとて
人
ひと
を
遣󠄃
つか
はしてこれとかたらはしむ
〘423㌻〙
40
ダビデの
僕
しもべ
カルメルにをるアビガルの
許
もと
にいたりてこれにかたりいひけるはダビデ
汝
なんぢ
を
妻
つま
にめとらんとて
我
われ
らを
汝
なんぢ
に
遣󠄃
つか
はすと
41
アビガルたちて
地
ち
にふして
拜
はい
しいひけるは
視
み
よ
婢
しもめ
はわが
主
しゆ
の
僕
しもべ
等
たち
の
足
あし
を
洗
あら
ふ
仕女
つかへめ
なりと
42
アビガルいそぎたちて
驢馬
ろば
に
乘
の
り
五
ご
人
にん
の
侍女
こしもと
とともにダビデの
使者
つかひ
にしたがひゆきてダビデの
妻
つま
となる
553㌻
43
ダビデまたヱズレルのアヒノアムを
娶
めと
れり
彼
かれ
ら
二人
ふたり
ダビデの
妻
つま
となる
44
但
たゞ
しサウルはダビデの
妻
つま
なりし
其
その
女
むすめ
ミカルをガリムの
人
ひと
なるライシの
子
こ
パルテにあたへたり
第26章
1
ジフ
人
びと
ギベアにきたりサウルの
許
もと
にいたりてひけるはダビデは
曠野
あらの
のまへなるハキラの
山
やま
にかくれをるにあらずやと
2
サウルすなはち
起󠄃
た
ちジフの
野
の
にダビデを
尋󠄃
たづ
ねんとイスラエルの
中
うち
より
選󠄄
えら
みたる三
千
ぜん
の
人
ひと
をしたがへてジフの
野
の
にくだる
3
サウルは
曠野
あらの
のまへなるハキラの
山
やま
において
路
みち
のほとりに
陣
ぢん
を
取
と
るダビデは
曠野
あらの
に
居
をり
てサウルのおのれをおふて
曠野
あらの
にきたるをさとりければ
4
ダビデ
斥候
ものみ
を
出
いだ
してサウルの
誠
まこと
に
來
きたり
しをしれり
5
ここにおいてダビデたちてサウルの
陣
ぢん
をとれるところにいたりサウルおよび
其
その
軍
ぐん
の
長
かしら
ネルの
子
こ
アブネルの
寢
いね
たるところを
見
み
たりすなはちサウルは
車
くるま
營
がこひ
の
中
うち
に
寢
い
ぬ
民
たみ
其
その
まはりに
陣
ぢん
をはれり
6
ダビデ
答
こた
へてヘテ
人
びと
アヒメレクおよびゼルヤの
子
こ
にしてヨアブの
兄弟
きやうだい
なるアビシヤイにいひけるは
誰
たれ
か
我
われ
とともにサウルの
陣
ぢん
にくだらんかとアビシヤイいふ
我
われ
汝
なんぢ
とともに
下
くだ
らん
7
ダビデとアビシヤイすなはち
夜
よ
にいりて
民
たみ
の
所󠄃
ところ
にいたるに
視
み
よサウルは
車
くるま
營
がこひ
のうちに
寢
ね
臥
ふ
し
其
その
槍
やり
地
ち
にさして
枕
まくら
邊
もと
にありアブネルと
民
たみ
は
其
その
まはりに
寢
いね
たり
8
アビシヤイ、ダビデにいひけるは
神
かみ
今日
けふ
爾
なんぢ
の
敵
てき
を
爾
なんぢ
の
手
て
にわたしたまふ
請󠄃
こ
ふいま
我
われ
に
槍
やり
をもてかれを
一度
ひとたび
地
ち
にさしとほさしめよ
再
ふたゝ
びするにおよばじ
9
ダビデ、アビシヤイにいふ
彼
かれ
をころすなかれ
誰
たれ
かヱホバの
膏
あぶら
そそぎし
者
もの
に
敵
てき
して
其
その
手
て
をのべて
罪
つみ
なからんや
10
ダビデまたいひけるはヱホバは
生
い
くヱホバかれを
擊
うち
たまはんあるひはその
死
し
ぬる
日
ひ
來
きた
らんあるひは
戰
たゝか
ひにくだりて
死
しに
うせん
11
わがヱホバのあぶらそそぎしものに
敵
てき
して
手
て
をのぶることはきはめて
善
よか
らずヱホバ
禁
きん
じたまふされどいま
請󠄃
こ
ふ
爾
なんぢ
そのまくらもとの
槍
やり
と
水
みづ
の
瓶
びん
をとれしかして
我
われ
らさりゆかんと
〘424㌻〙
554㌻
12
ダビデ、サウルの
枕
まくら
邊
もと
より
槍
やり
と
水
みづ
の
瓶
びん
を
取
と
りてかれらさりゆきしが
誰
たれ
も
見
み
ず
誰
たれ
もしらず
誰
たれ
も
目
め
を
醒
さま
さざりき
其
そ
はかれら
皆
みな
眠
ねむ
り
居
ゐ
たればなり
即
すなは
ちヱホバかれらをふかく
睡
ねむ
らしめたまふ
13
かくてダビデは
彼旁
かなた
にわたりて
遙
はるか
に
山
やま
の
頂
いたゞき
にたてり
彼
かれ
と
此
これ
とのへだたり
大
おほい
なり
14
ダビデ
民
たみ
とネルの
子
こ
アブネルによばはりいひけるはアブネルよ
爾
なんぢ
こたへざるかアブネルこたへていふ
王
わう
をよぶ
爾
なんぢ
はたれなるや
15
ダビデ、アブネルにいひけるは
爾
なんぢ
は
勇士
をとこ
ならずやイスラエルの
中
うち
にて
誰
たれ
か
爾
なんぢ
に
如
しく
ものあらんしかるに
爾
なんぢ
なんぞ
爾
なんぢ
の
主
しゆ
なる
王
わう
をまもらざるや
民
たみ
のひとり
爾
なんぢ
の
主
しゆ
なる
王
わう
を
殺
ころ
さんとていりぬ
16
爾
なんぢ
がなせる
此事
このこと
よからずヱホバは
生
い
くなんぢらの
罪
つみ
死
し
にあたれり
爾
なんぢ
らヱホバの
膏
あぶら
そそぎし
爾
なんぢ
らの
主
しゆ
をまもらざればなり
今
いま
王
わう
の
槍
やり
と
王
わう
の
枕
まくら
邊
もと
にありし
水
みづ
の
瓶
びん
はいづくにあるかを
見
み
よ
17
サウル、ダビデの
聲
こゑ
をしりていひけるはわが
子
こ
ダビデよ
是
これ
は
爾
なんぢ
の
聲
こゑ
なるかダビデいひけるは
王
わう
わが
主
しゆ
よわが
聲
こゑ
なり
18
ダビデまたいひけるはわが
主
しゆ
なにゆゑに
斯
か
くその
僕
しもべ
をおふや
我
われ
なにをなせしや
何
なん
の
惡
あし
き
事
こと
わが
手
て
にあるや
19
王
わう
わが
主
しゆ
よ
請󠄃
こ
ふいま
僕
しもべ
の
言
ことば
を
聽
き
きたまへ
若
も
しヱホバ
爾
なんぢ
を
我
われ
に
敵
てき
せしめたまふならばねがはくはヱホバ
禮物
そなへもの
をうけたまへされど
若
も
し
人
ひと
ならばねがはくは
其
その
人々
ひと〴〵
ヱホバのまへにのろはれよ
其
そ
は
彼等
かれら
爾
なんぢ
ゆきて
他
ほか
の
神
かみ
につかへよといひて
今日
こんにち
我
われ
を
追󠄃
お
ひヱホバの
產業
さんげふ
に
連󠄃
つら
なることをえざらしむるが
故
ゆゑ
なり
20
ねがはくは
我
わが
血
ち
をしてヱホバのまへをはなれて
地
ち
におちしむるなかれそは
人
ひと
の
山
やま
にて
鷓鴣
しやこ
をおふがごとくイスラエルの
王
わう
一
ひとつ
の
蚤
のみ
をたづねにいでたればなり
21
サウルいひけるは
我
われ
罪
つみ
ををかせりわが
子
こ
ダビデよ
歸
かへ
れわが
生命
いのち
今日
けふ
爾
なんぢ
の
目
め
に
寶
たから
と
見
み
なされたる
故
ゆゑ
により
我々
われ
かさねて
爾
なんぢ
に
害󠄅
がい
を
加
くは
へざるべし
嗚呼
あゝ
われ
愚
おろか
なることをなして
甚
はなは
だしく
過󠄃
あやま
てり
555㌻
22
ダビデこたへていひけるは
王
わう
よ
槍
やり
を
視
み
よ
請󠄃
こ
ふひとりの
少者
わかもの
をしてわたりてこれを
取
とら
しめよ
23
ねがはくはヱホバおのおのに
其
その
義
ぎ
と
眞實
しんじつ
とにしたがひて
報
むく
いたまへ
共
とも
はヱホバ
今日
けふ
爾
なんぢ
をわが
手
て
にわたしたまひしに
我
われ
ヱホバの
受膏
あぶらそそぎし
者
もの
に
敵
てき
してわが
手
て
をのぶることをせざればなり
24
爾
なんぢ
の
生命
いのち
を
今日
けふ
わがおもんぜしごとくねがはくはヱホバわが
生命
いのち
をおもんじて
諸
もろ〳〵
の
艱難
かんなん
のうちより
我
われ
をすくひいだしたまへ
25
サウル、ダビデにいひけるはわが
子
こ
ダビデよ
爾
なんぢ
はほむべきかな
爾
なんぢ
大
おほい
なる
事
こと
を
爲
な
さん
亦
また
かならず
勝󠄃
かち
をえんとしかしてダビデは
其
その
道󠄃
みち
にさりサウルはおのれの
所󠄃
ところ
にかへれり
〘425㌻〙
第27章
1
ダビデ
心
こゝろ
の
中
うち
にいひけるは
是
かく
のごとくば
我
われ
早晩
いつか
サウルの
手
て
にほろびん
速󠄃
すみやか
にペリシテ
人
びと
の
地
ち
にのがるるにまさることあらず
然
しか
らばサウルかさねて
我
われ
をイスラエルの
四方
よも
の
境
さかひ
にたづぬることをやめて
我
われ
かれの
手
て
をのがれんと
2
ダビデたちておのれとともな六
百
ぴやく
人
にん
のものとともにわたりてガテの
王
わう
マオクの
子
こ
アキシにいたる
3
ダビデと
其
その
從者
じふしや
ガテにてアキシとともに
住󠄃
すみ
ておのおの
其
その
家族
かぞく
とともにをるダビデはその
二人
ふたり
の
妻
つま
すなはちヱズレル
人
びと
アヒノアムとカルメル
人
びと
ナバルの
妻
つま
なりしアビガルとともにあり
4
ダビデのガテににげしことサウルにきこえければサウルかさねてかれをたづねざりき
5
こゝにダビデ、アキシにいひけるは
我
われ
もし
爾
なんぢ
のまへに
恩
めぐみ
を
得
え
たるならばねがはくは
郷里
ゐなか
にある
邑
まち
のうちにて
一
ひとつ
のところを
我
われ
にあたへて
其處
そこ
にすむことを
得
え
さしめよ
僕
しもべ
なんぞ
爾
なんぢ
とともに
王城
みやこ
にすむべけんやと
6
アキシ
其
その
日
ひ
チクラグをかれにあたへたり
是故
このゆえ
にチクラグは
今日
こんにち
にいたるまでユダの
王
わう
に
屬
ぞく
す
7
タビデのペリシテ
人
びと
の
國
くに
にをりし
日
ひ
數
かず
は
一
いち
年
ねん
と
四箇
しか
月
げつ
なりき
556㌻
8
ダビデ
其
その
從者
じふしや
と
共
とも
にのぼりゲシユル
人
びと
ゲゼリ
人
びと
アマレク
人
びと
を
襲
おそ
ふたり
昔
むかし
より
是等
これら
はシユルにいたる
地
ち
にすみてエジプトの
地
ち
にまでおよべり
9
ダビデ
其
その
地
ち
をうちて
男
をとこ
をも
女
をんな
をも
生
いか
し
存
のこ
さず
羊
ひつじ
と
牛
うし
と
駱駝
らくだ
と
衣服󠄃
いふく
をとりて
還󠄃
かへ
りてアキシに
至
いた
る
10
アキシいひけるは
爾
なんぢ
ら
今日
けふ
何地
いづく
を
襲
おそ
ひしやダビデいひけるはユダの
南
みなみ
とヱラメルの
南
みなみ
とケニ
人
びと
の
南
みなみ
ををかせりと
11
ダビデ
男
をとこ
も
女
をんな
も
生存
いきのこ
らしめずして
一人
ひとり
をもガテにひきゆかざりき
其
そ
はダビデ
恐
おそら
くは
彼
かれ
らダビデかくなせりといひて
我儕
われら
の
事
こと
を
吿
つげ
んといひたればなりダビデ、ペリシテ
人
びと
の
地
ち
にすめるあひだは
其
その
なすところ
常
つね
にかくのごとくなりき
12
アキシ、ダビデを
信
しん
じていひけるは
彼
かれ
は
其
その
民
たみ
イスラエルをして
全󠄃
まつた
くおのれを
惡
にく
ましむされば
永
なが
くわが
僕
しもべ
となるべし
第28章
1
其
その
頃
ころ
ペリシテ
人
びと
イスラエルと
戰
たゝか
はんとて
軍
いくさ
のために
軍勢
ぐんぜい
を
集
あつ
めたればアキシ、ダビデにいひけるは
爾
なんぢ
明
あきら
かにこれをしれ
爾
なんぢ
と
爾
なんぢ
の
從者
じふしや
我
われ
とともに
出
いで
て
軍
いくさ
にくははるべし
2
ダビデ、アキシにいひけるはされば
爾
なんぢ
僕
しもべ
のなさんところをしるべしとアキシ、ダビデにさらば
我
われ
爾
なんぢ
を
永
なが
く
我
わが
身
み
をまもる
者
もの
となさんといへり
〘426㌻〙
3
サムエルすでに
死
しに
たればイスラエルみなこれをかなしみてこれをそのまちラマにはうむれりまたサウルは
口寄者
くちよせ
と
卜筮師
うらなひし
を
其
その
地
ち
よりおひいだせり
4
ペリシテ
人
びと
あつまりきたりてシユネムに
陣
ぢん
をとりければサウル、イスラエルを
悉
こと〴〵
くあつめてギルボアに
陣
ぢん
をとれり
5
サウル、ペリシテ
人
びと
の
軍
ぐん
を
見
み
しときおそれて
其心
そのこころ
大
おほい
にふるへたり
6
サウル、ヱホバに
問
と
ひけるにヱホバ
對
こたへ
たまはず
夢
ゆめ
に
因
より
てもウリムによりても
預言者
よげんしや
によりてもこたへたまはず
7
サウル
僕
しもべ
等
ら
にいひけるは
口
くち
寄
よせ
の
婦󠄃
をんな
を
求
もと
めよわれそのところにゆきてこれに
尋󠄃
たづ
ねんと
僕
しもべ
等
ら
かれにいひけるは
視
み
よエンドルに
口
くち
寄
よせ
の
婦󠄃
をんな
あり
557㌻
8
サウル
形
かたち
を
變
か
へて
他
ほか
の
衣服󠄃
きもの
を
著
き
二人
ふたり
の
人
ひと
をともなひてゆき
彼等
かれら
夜
よ
の
間
ま`
に
其
その
婦󠄃
をんな
の
所󠄃
ところ
にいたるサウルいひけるは
請󠄃
こ
ふわがために
口
くち
寄
よせ
の
術
じゆつ
をおこなひてわが
爾
なんぢ
に
言
い
ふ
人
ひと
をわれに
呼
よび
おこせ
9
婦󠄃
をんな
かれにいひけるはなんぢサウルのなしたる
事
こと
すなはち
如何
いか
にかれが
口寄者
くちよせ
と
卜筮師
うらなひし
を
國
くに
より
斷
たち
さりたるを
知
し
る
爾
なんぢ
なんぞ
我
われ
を
死
しな
しめんとてわが
生命
いのち
を
亡
ほろぼ
す
謀計
はかりごと
をなすや
10
サウル、ヱホバを
指
さし
てかれに
誓
ちか
ひいひけるはヱホバは
生
い
く
此
この
事
こと
のためになんぢ
罪
つみ
にあふことあらじ
11
婦󠄃
をんな
いひけるは
誰
たれ
を
我
われ
なんぢに
呼
よび
起󠄃
おこ
すべきかサウルいふサムエルをよびおこせ
12
婦󠄃
をんな
サムエルを
見
み
て
大
おほい
なる
聲
こゑ
にてさけびいだせりしかして
婦󠄃
をんな
サウルにいひけるは
爾
なんぢ
なにゆゑに
我
われ
を
欺
あざむ
きしや
爾
なんぢ
はすなはちサウルなり
13
王
わう
かれにいひけるは
恐
おそ
るるなかれ
爾
なんぢ
なにを
見
み
しや
婦󠄃
をんな
サウルにいひけるは
我
われ
神
かみ
の
地
ち
よりのぼるを
見
み
たり
14
サウルかれにいひけるは
其
その
形容
かたち
は
如何
いかん
彼
かれ
いひけるは
一人
ひとり
の
老翁
おきない
のぼる
其人
そのひと
明衣
うはぎ
を
衣
き
たりサウル
其人
そのひと
のサムエルなるをしりて
地
ち
にふして
拜
はい
せり
15
サムエル、サウルにいひけるは
爾
なんぢ
なんぞ
我
われ
をよびおこして
我
われ
をわづらはすやサウルこたへけるは
我
われ
いたく
惱
なや
むペリシテ
人
びと
我
われ
にむかひて
軍
いくさ
をおこし
又󠄂
また
神
かみ
我
われ
をはなれて
預言者
よげんしや
によりても
又󠄂
また
夢
ゆめ
によりてもふたゝび
我
われ
にこたへたまはずこのゆゑに
我
われ
なすべき
事
こと
を
爾
なんぢ
にまなばんとて
爾
なんぢ
を
呼
よべ
り
16
サムエルいひけるはヱホバ
爾
なんぢ
をはなれて
爾
なんぢ
の
敵
てき
となりたまふに
爾
なんぢ
なんぞ
我
われ
にとふや
17
ヱホバわれをもて
語
かた
りたまひしことをみづから
行
おこな
ひてヱホバ
國
くに
を
爾
なんぢ
の
手
て
より
割󠄅
さ
きはなち
爾
なんぢ
の
隣人
となりびと
ダビデにあたへたまふ
18
爾
なんぢ
ヱホバの
言
ことば
にしたがはず
其
その
烈
はげ
しき
怒
いかり
をアマレクにもらさざりしによりてヱホバ
此事
このこと
を
今日
こんにち
爾
なんぢ
になしたまふ
〘427㌻〙
19
ヱホバ、イスラエルをも
爾
なんぢ
とともにペリシテ
人
びと
の
手
て
にわたしたまふべし
明日
あす
爾
なんぢ
と
爾
なんぢ
の
子等
こら
我
われ
とともなるべしまたイスラエルの
陣
ぢん
營
えい
をもヱホバ、ペリシテ
人
びと
の
手
て
にわたしたまはんと
558㌻
20
サウル
直
たゞ
ちに
地
ち
に
伸
の
びたふれサムエルの
言
ことば
のために
痛
いた
くおそれ
又󠄂
また
其
その
力
ちから
を
失
うしな
へり
其
そ
はかれ
其
その
一日
いちにち
一夜
いちや
物
もの
食󠄃
くは
ざりければなり
21
かの
婦󠄃
をんな
サウルにいたり
其
その
痛
いた
く
慄
をのの
くを
見
み
てこれにいひけるは
視
み
よ
仕女
つかへめ
爾
なんぢ
の
言
ことば
をききわが
生命
いのち
をかけて
爾
なんぢ
が
我
われ
にいひし
言
ことば
にしたがへり
22
されば
請󠄃
こ
ふ
爾
なんぢ
も
仕女
つかへめ
の
言
ことば
を
聽
きゝ
て
我
われ
をして
一
ひと
口
くち
のパンを
爾
なんぢ
のまへにそなへしめよしかして
爾
なんぢ
くらひて
途󠄃
みち
に
就
つ
く
時
とき
に
力
ちから
を
得
え
よ
23
されどサウル
否
いな
みて
我
われ
は
食󠄃
くら
はじといひしを
其
その
僕
しもべ
および
婦󠄃
をんな
强
しひ
ければ
其
その
言
ことば
をききいれて
地
ち
より
立
たち
あがり
床
とこ
のうへに
坐
ざ
せり
24
婦󠄃
をんな
の
家
いへ
に
肥
こえ
たる
犢
こうし
ありしかば
急󠄃
いそ
ぎて
之
これ
を
殺
ころ
しまた
粉
こな
をとり
摶
こね
て
酵
たね
いれぬパンを
炊
や
き
25
サウルのまへと
其
その
僕
しもべ
等
ら
のまへに
持
も
ちきたりければ
彼等
かれら
くらひて
立
た
ちあがり
其
その
夜
よ
のうちにされり
第29章
1
爰
こゝ
にペリシテ
人
びと
其
その
軍
ぐん
をことごとくアペクにあつむイスラエルはヱズレルにある
泉水
いづみ
の
傍
かたはら
に
陣
ぢん
をとる
2
ペリシテ
人
びと
の
君等
きみたち
あるひは
百
ひやく
人
にん
或
あるひ
は
千
せん
人
にん
をひきゐて
進󠄃
すゝ
みダビデと
其
その
從者
じふしや
はアキシとともに
其
その
後
うしろ
にすすむ
3
ペリシテ
人
びと
の
諸伯
きみたち
いひけるは
是等
これら
のヘブル
人
びと
は
何
なに
なるやアキシ、ペリシテ
人
びと
の
諸伯
きみたち
にいひけるは
此
これ
はイスラエルの
王
わう
サウルの
僕
しもべ
ダビデにあらずやかれ
此
この
日
ひ
ごろ
此
この
年
とし
ごろ
我
われ
とともにをりしがその
逃󠄄
に
げおちし
日
ひ
より
今日
けふ
にいたるまで
我
われ
かれの
身
み
に
咎
とが
あるを
見
み
ずと
4
ペリシテ
人
びと
の
諸伯
きみたち
これを
怒
いか
る
即
すなは
ちペリシテ
人
びと
の
諸伯
きみたち
彼
かれ
にいひけるは
此人
このひと
をかへらしめて
爾
なんぢ
が
之
これ
をおきし
其
その
所󠄃
ところ
にふたゝびいたらしめよ
彼
かれ
は
我
われ
らとともに
戰
たゝか
ひにくだるべからず
然
さら
ば
彼
かれ
戰爭
たたかひ
においてわれらの
敵
てき
とならざるべしかれ
其
その
主
しゆ
と
和
やはら
がんとせば
何
なに
をもてすべきやこの
人々
ひと〴〵
の
首級
くび
をもてすべきにあらずや
559㌻
5
是
これ
はかつて
人々
ひと〴〵
が
舞踏
をどり
の
中
うち
にて
歌
うた
ひあひサウルは
千
せん
をうちころしダビデは
萬
まん
をうちころすといひたるダビデにあらずや
6
アキシ、ダビデをよびてこれにいひけるはヱホバは
生
い
くまことになんぢは
正
たゞ
し
爾
なんぢ
の
我
われ
とともに
陣
ぢん
營
えい
に
出
で
入
いり
するはわが
目
め
には
善
よし
と
見
み
ゆ
其
そ
は
爾
なんぢ
が
我
われ
に
來
きた
りし
日
ひ
より
今日
けふ
にいたるまで
我
われ
爾
なんぢ
の
身
み
に
惡
あし
き
事
こと
あるを
見
み
ざればなり
然
され
ど
諸伯
きみたち
の
目
め
には
爾
なんぢ
よからず
7
されば
今
いま
かへりて
安
やすら
かにゆきペリシテ
人
びと
の
諸伯
きみたち
の
目
め
に
惡
あし
く
見
み
ゆることをなすなかれ
〘428㌻〙
8
ダビデ、アキシにいひけるは
我
われ
何
なに
をなせしやわが
爾
なんぢ
のまへに
出
いで
し
日
ひ
より
今日
けふ
までに
爾
なんぢ
何
なに
を
僕
しもべ
の
身
み
に
見
み
たればか
我
われ
ゆきてわが
主
しゆ
なるわうの
敵
てき
とたたかふことをえざると
9
アキシこたへてダビデにいひけるは
我
われ
爾
なんぢ
のわが
目
め
には
神
かみ
の
使
つかひ
のごとく
善
よ
きをしるされどペリシテ
人
びと
の
諸伯
きみたち
かれは
我
われ
らとともに
戰
たゝか
ひにのぼるべからずといへり
10
されば
爾
なんぢ
および
爾
なんぢ
の
主
しゆ
の
僕
しもべ
の
爾
なんぢ
とともにきたれる
者
もの
明
あくる
朝󠄃
あさ
夙
はや
く
起󠄃
おき
よ
爾
なんぢ
ら
朝󠄃
あさ
はやくおきて
夜
よ
のあくるに
及
およ
ばばさるべし
11
是
これ
をもてダビデと
其
その
從者
じふしや
ペリシテ
人
びと
の
地
ち
にかへらんと
朝󠄃
あさ
はやく
起󠄃
おき
てされりしかしてペリシテ
人
びと
はヱズレルにのぼれり
第30章
1
ダビデと
其
その
從者
じふしや
第三日
みつかめ
にチクラグにいたるにアマレク
人
びと
すでに
南
みなみ
の
地
ち
とチクラグを
侵
をか
したりかれらチクラグを
擊
う
ち
火
ひ
をもて
之
これ
を
燬
や
き
2
其
その
中
うち
に
居
を
りし
婦󠄃女
をんな
を
擄
とりこ
にし
老
おい
たるをも
若
わか
きをも
一人
ひとり
も
殺
ころ
さずして
之
これ
をひきて
其
その
途󠄃
みち
におもむけり
3
ダビデと
其
その
從者
じふしや
邑
まち
にいたりて
視
みる
に
邑
まち
は
火
ひ
に
燬
や
けその
妻
つま
と
男子
むすこ
女子
むすめ
は
擄
とりこ
にせられたり
4
ダビデおよびこれとともにある
民
たみ
聲
こゑ
をあげて
哭
な
き
終󠄃
つひ
に
哭
な
く
力
ちから
もなきにいたれり
5
ダビデのふたりの
妻
つま
すなはちヱズレル
人
びと
アヒノアムとカルメル
人
びと
ナバルの
妻
つま
なりしアビガルも
虜
とりこ
にせられたり
6
時
とき
にダビデ
大
おほい
に
心
こゝろ
を
苦
くるし
めたり
其
そ
は
民
たみ
おのおの
其
その
男子
むすこ
女子
むすめ
のために
氣
き
をいらだてダビデを
石
いし
にて
擊
うた
んといひたればなりされどダビデ
其
その
神
かみ
ヱホバによりておのれをはげませり
560㌻
7
ダビデ、アヒメレクの
子
こ
祭司
さいし
アビヤタルにいひけるは
請󠄃
こ
ふエポデを
我
われ
にもちきたれとアビヤタル、エポデをダビデにもちきたる
8
ダビデ、ヱホバに
問
とふ
ていひけるは
我
われ
此
この
軍
ぐん
の
後
あと
を
追󠄃
お
ふべきや
我
われ
これに
追󠄃
おひ
つくことをえんかとヱホバかれにこたへたまはく
追󠄃
お
ふべし
爾
なんぢ
かならず
追󠄃
おひ
つきてたしかに
取
とり
もどすことをえん
9
ダビデおよびこれとともなる六
百
ぴやく
人
にん
の
者
もの
ゆきてベソル
川
がは
にいたれり
後
あと
にのこれる
者
もの
はここにとゞまる
10
即
すなは
ちダビデ四
百
ひやく
人
にん
をひきゐて
追󠄃
おひ
ゆきしが
憊
つか
れてベソル
川
がは
をわたることあたはざる
者
もの
二
百
ひやく
人
にん
はとゞまれり
11
衆人
ひと〴〵
野
の
にて
一人
ひとり
のエジプト
人
びと
を
見
み
これをダビデにひききたりてこれに
食󠄃物
くひもの
をあたへければ
食󠄃
くら
へりまたこれに
水
みづ
をのませたり
12
すなはち
一段
ひときれ
の
乾
ほし
無花果
いちじく
と
二
ふた
球
ふさ
の
乾葡萄
ほしぶだう
をこれにあたへたり
彼
かれ
くらひて
其
その
氣
き
ふたゝび
爽
さはや
かになれりかれは
三日三夜
みつかみよ
物
もの
をもくはず
水
みづ
をものまざりしなり
〘429㌻〙
13
ダビデかれにいひけるは
爾
なんぢ
は
誰
たれ
の
人
ひと
なる
爾
なんぢ
はいづくの
者
もの
なるやかれいひけるは
我
われ
はエジプトの
少者
わかもの
にて
一人
ひとり
のアマレク
人
びと
の
僕
しもべ
なり
三日
みつか
まへに
我
われ
疾
やまひ
にかかりしゆゑにわが
主人
あるじ
我
われ
をすてたり
14
我
われ
らケレテ
人
びと
の
南
みなみ
とユダの
地
ち
とカレブの
南
みなみ
ををかしまた
火
ひ
をもてチクラグをやけり
15
ダビデかれにいひけるは
爾
なんぢ
我
われ
を
此
この
軍
ぐん
にみちびきくだるやかれいひけるは
爾
なんぢ
我
われ
をころさずまた
我
われ
をわが
主人
しゆじん
の
手
て
にわたさざるを
神
かみ
をさして
我
われ
に
誓
ちか
へ
我
われ
爾
なんぢ
を
此
この
軍
ぐん
にみちびきくだらん
16
かれダビデをみちびきくだりしが
視
み
よ
彼等
かれら
はペリシテ
人
びと
の
地
ち
とユダの
地
ち
より
奪
うば
ひたる
諸
もろ〳〵
の
大
おほい
なる
掠取物
ぶんどりもの
のためによろこびて
飮
のみ
食󠄃
くひ
し
踴
をど
りつつ
地
ち
にあまねく
散
ちり
ひろがりて
居
を
る
17
ダビデ
暮
くれ
あひより
次
つぐ
日
ひ
の
晩
よひ
にいたるまでかれらを
擊
うち
しかば
駱駝
らくだ
にのりて
逃󠄄
に
げたる四
百
ひやく
人
にん
の
少者
わかきもの
の
外
ほか
は
一人
ひとり
ものがれたるもの
无
なか
りき
561㌻
18
ダビデはすべてアマレク
人
びと
の
奪
うば
ひたる
物
もの
を
取
と
りもどせり
其
その
二人
ふたり
の
妻
つま
もダビデとりもどせり
19
小
ちひさ
きも
大
おほい
なるも
男子
むすこ
も
女子
むすめ
も
掠取物
ぶんどりもの
もすべてアマレク
人
びと
の
奪
うばひ
さりし
物
もの
は
一
ひとつ
も
失
うしな
はずダビデことごとく
取
とり
かへせり
20
ダビデまた
凡
すべて
の
羊
ひつじ
と
牛
うし
をとれり
人々
ひと〴〵
この
家畜
かちく
をそのまへに
驅
おひ
きたり
是
これ
はダビデの
掠取物
ぶんどりもの
なりといへり
21
かくてダビデかの
憊
つか
れてダビデにしたがひ
得
え
ずしてベソル
川
がは
のほとりに
止
とゞ
まりし二
百
ひやく
人
にん
の
者
もの
のところにいたるに
彼
かれ
らダビデをいでむかへまたダビデとともなる
民
たみ
をいでむかふダビデかの
民
たみ
にちかづきてその
安否
あんぴ
をたづぬ
22
ダビデとともにゆきし
人々
ひと〴〵
の
中
うち
の
惡
あし
く
邪
よこしま
なる
者
もの
みなこたへていひけるは
彼等
かれら
は
我
われ
らとともにゆかざりければ
我
われ
らこれに
取
と
りもどしたる
掠取物
ぶんどりもの
をわけあたふべからず
唯
たゞ
おのおのにその
妻
つま
子
こ
をあたへてこれをみちびきさらしめん
23
ダビデ
言
いひ
けるはわが
兄弟
きやうだい
よヱホバ
我
われ
らをまもり
我
われ
らにせめきたりし
軍
ぐん
を
我
われ
らの
手
て
にわたしたまひたれば
爾
なんぢ
らヱホバのわれらにたまひし
物
もの
をしかするは
宜
よろし
からず
24
誰
たれ
か
爾
なんぢ
らにかかることをゆるさんや
戰
たゝか
ひにくだりし
者
もの
の
取
と
る
分󠄃
ぶん
のごとく
輜重
に
のかたはらに
止
とゞ
まりし
者
もの
の
取
と
る
分󠄃
ぶん
もまた
然
しか
あるべし
共
とも
にひとしく
取
と
るべし
25
この
日
ひ
よりのちダビデこれをイスラエルの
法
おきて
となし
例
のり
となせり
其
その
事
こと
今日
こんにち
にいたる
26
ダビデ、チクラグにいたりて
其
その
掠取
ぶんどり
物
もの
をユダの
長老
としより
なる
其
その
朋友
ともだち
にわかちおくりて
曰
いは
しめけるは
是
これ
はヱホバの
敵
てき
よりとりて
爾
なんぢ
らにおくる
饋物
おくりもの
なり
27
ベテルにをるもの
南
みなみ
のラモテにをるものヤツテルにをる
者
もの
〘430㌻〙
28
アロエルにをる
者
もの
シフモテにをるものエシテモにをるもの
29
ラカルにをるものヱラメル
人
びと
の
邑
まち
にをるものケニ
人
びと
の
邑
まち
にをるもの
30
ホルマにをるものコラシヤンにをるものアタクにをるもの
31
ヘブロンにをるものおよびすべてダビデが
其
その
從者
じふしや
とともに
每
つね
にゆきし
所󠄃
ところ
にこれをわかちおくれり
562㌻
第31章
1
ペリシテ
人
びと
イスラエルと
戰
たゝか
ふイスラエルの
人々
ひと〴〵
ペリシテ
人
びと
のまへより
逃󠄄
に
げ
負󠄅傷者
ておひ
ギルボア
山
やま
に
斃
たふ
れたり
2
ペリシテ
人
びと
サウルと
其
その
子等
こら
に
攻
せめ
よりペリシテ
人
びと
サウルの
子
こ
ヨナタン、アビナダブおよびマルキシユアを
殺
ころ
したり
3
戰
たたかひ
はげしくサウルにせまりて
射手
いて
の
者
もの
サウルを
射
い
とめければ
彼
かれ
痛
いた
く
射手
いて
の
者
もの
のために
苦
くる
しめり
4
サウル
武器
ぶき
を
執
と
る
者
もの
にいひけるは
爾
なんぢ
の
劍
かたな
を
拔
ぬ
き
其
それ
をもて
我
われ
を
刺
さし
とほせ
恐
おそ
らくは
是等
これら
の
割󠄅禮
かつれい
なき
者
もの
きたりて
我
われ
を
刺
さ
し
我
われ
をはづかしめんと
然
しかれ
ども
武器
ぶき
をとるもの
痛
いた
くおそれて
肯
がへん
ぜざればサウル
劍
かたな
をとりて
其
その
上
うへ
に
伏
ふし
したり
5
武器
ぶき
を
執
と
るものサウルの
死
しに
たるを
見
み
ておのれも
劍
かたな
の
上
うへ
にふしてかれとともに
死
しね
り
6
かくサウルと
其
その
三
さん
人
にん
の
子
こ
およびサウルの
武器
ぶき
をとるもの
並
ならび
に
其
その
從者
じふしや
みな
此
この
日
ひ
俱
とも
に
死
しね
り
7
イスラエルの
人々
ひと〴〵
の
谷
たに
の
對向
むかひ
にをるもの
及
およ
びヨルダンの
對面
むかひ
にをるものイスラエルの
人々
ひと〴〵
の
逃󠄄
にぐ
るを
見
み
サウルと
其
その
子等
こら
の
死
しぬ
るをみて
諸邑
まち〳〵
を
棄
すて
て
逃󠄄
にげ
ければペリシテ
人
びと
きたりて
其
その
中
うち
にをる
8
明日
あくるひ
ペリシテ
人
びと
戰沒
うちじに
せる
者
もの
を
剝
はが
んとてきたりサウルと
其
その
三
さん
人
にん
の
子
こ
のギルボア
山
やま
にたふれをるを
見
み
たり
9
彼等
かれら
すなはちサウルの
首
くび
を
斬
き
り
其
その
鎧甲
よろひ
をはぎとりペリシテ
人
びと
の
地
ち
の
四方
しはう
につかはして
此
この
好
よき
報
たより
を
其
その
偶像
ぐうざう
の
家
いへ
および
民
たみ
の
中
うち
につげしむ
10
またかれら
其
その
鎧甲
よろひ
をアシタロテの
家
いへ
におき
其
その
體
からだ
をベテシヤンの
城垣
いしがき
に
釘
うちつ
けたり
11
ヤベシギレアデの
人々
ひと〴〵
ペリシテ
人
びと
のサウルになしたる
事
こと
を
聞
き
きしかば
12
勇士
ゆうし
みなおこり
終󠄃夜
よもすがら
ゆきてサウルの
體
からだ
と
其
その
子等
こども
の
體
からだ
をベテシヤンの
城垣
いしがき
よりとりおろしヤベシにいたりて
之
これ
を
其處
そこ
に
焚
や
き
13
其
その
骨
ほね
をとりてヤベシの
柳
やなぎの
樹
き
の
下
もと
にはうむり
七日
なぬか
のあひだ
斷食󠄃
だんじき
せり
〘431㌻〙
563㌻